FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米雇用統計の発表を控え警戒感が相場の重し

前日の米国市場での長期金利上昇や株安が嫌気された。米雇用統計の発表を控え、警戒感も相場の重しになった。ただ、安く始まった後は半導体関連株などが下げ幅を縮小し、底堅さも意識された。一時は縮小していた半導体関連株の下げ幅が再び拡大した。市場では、半導体関連株は、悪材料と値ごろ感とが綱引きになっているとの声が聞かれた。結局、前営業日比195円安の2万7116円と5営業日ぶりに反落して終了した。

 

東京外国為替市場:145円を挟んで方向感の乏しい展開

ドル/円は、仲値にかけて本邦輸出勢からドル売り・円買いが通常より多く持ち込まれ、144.85円付近まで下落した。政府・日銀による為替介入への警戒感から、ポジション調整のドル売り・円買いも観測された。ただ、このところ米FRB当局者がタカ派的な発言が相次ぎ、日米金融政策の違いが鮮明になっていることもあり、下値を追う動きは限られた。その後、米金利先高観からドルの押し目買いが入り、値を切り返して145.00円前後でもみ合いとなった。昼前に、岸田首相が参院代表質問の答弁で『最近みられたような急速で一方的な円安進行は望ましくない』と発言すると、やや円買いで反応する場面があった。午後は、週末を控えて積極的な売り買いは目立たず、145.00円を挟んで方向感に乏しい値動きが続いた。今晩発表される9月米雇用統計のイベントを前に、様子見ムードが広がっている。ユーロ/ドルは、欧州の景気減速に対する根強い懸念から、持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いに押され、0.979ドル近くへ下落する場面があった。

 

英長期金利に再び上昇圧力:英中銀が購入を抑える姿勢を示し不透明感強まる

5日の欧州債券市場で英国10年債利回りが4%台に乗せ、英30年債利回りは一時4.3%台まで上昇し1週間ぶりの高水準をつけた。英中銀の国債購入の減少による債券需給緩和への警戒感が浮上し、米長期金利に再び上昇圧力がかかっている。英長期金利は9月下旬、トラス政権の大減税による財政悪化を嫌気して急上昇し、英中銀が金融安定のため残存20年超の国債を10月14日まで買い入れる緊急措置を決めたが、金利が低下して購入を抑える姿勢を示し不透明感が強まった。

 

韓国とトルコ中銀が先週通貨スワップ取引

一部通信社が報じたところによれば韓国とトルコの中銀は先週、7.8億ドルの通貨スワップ取引を実行した。両中銀は最大で20億ドル規模の通貨スワップ協定を昨年締結した。ところで、トルコ中銀が昨日発表した9月末時点での外貨準備高はネットで97.2億ドルだった。前週から僅かに増加したが、直近で最多となった8月初旬からだと38%も減少している。韓国中銀とのスワップも焼け石に水かもしれない。

 

世界銀行はサハラ以南のアフリカの成長率を下方修正

先日世界銀行は、サブサハラ(サハラ以南のアフリカ)の今年の成長率を2021年の4.1%、そして今年4月に予想した3.6%から3.3%に引き下げた。中国のロックダウンがサプライチェーンを混乱させ、アフリカの商品に対する需要を押し下げていること、ウクライナでの戦争、および先進国の金利の引き上げが下方修正の要因としていた。

 

OPECプラスの協調減産は現実に供給減につながるかは不透明

足下の世界経済は全体として景気減速が警戒されている。さらに、米FRB(連邦準備理事会)などのタカ派傾斜はマネーフローに影響を与えており、世界経済の足を引っ張る悪循環に陥る懸念も高まっている。コロナ禍対応を目的に主要産油国の枠組(OPECプラス)は過去最大の協調減産に動いたが、昨年以降は世界経済の回復に歩を併せて段階的な減産縮小に動いた。ウクライナ情勢の悪化後の原油価格の上振れを受けて米国などは増産を要請してきたが、世界経済の減速に伴い原油価格は調整の動きを強めており、OPECプラス内では減産に向けて思惑が一致し、5日の閣僚協議で11月からは日量200万バレルの協調減産を決定した。なお、8月時点のOPECプラスの産油量は目標に対して日量約360万バレル未達であり、今回の決定が現実的な供給減となるかは不透明である。他方、米バイデン政権は中間選挙前のタイミングも重なり反発を強めており、原油高による世界的なインフレが世界経済の不透明要因を増す可能性も高まっていると判断出来る。

 

米労働市場ひっ迫緩和の兆候も見られるもFRBの利上げ路線は変わらず

一部の指標によると、労働市場のひっ迫緩和の兆候も見られる。米労働省が発表した8月JOLT求人件数は1005.3万件と、7月1117万件から10%減少、予想も下回り昨年6月来で最低となった。減少幅はパンデミック発生時2020年を除いては過去最大を記録。また、米先週分新規失業保険申請件数が予想以上に増加し8月末以来の高水準となった。市場では23年にFRBが利下げに転じるとの思惑も再燃した。一方で、最新9月雇用統計で、失業率は依然50年ぶり低水準付近を維持する見込みでFRBはインフレ抑制の積極的な利上げ計画を緩める姿勢は全く見せていない。

 

米国株が大荒れで短期オプション人気急増

米ウォールストリート・ジャーナル紙は、短期オプションの人気急増、米国株が大荒れで、満期がわずか数時間や数日のオプションに賭ける、と伝えた。米国の株式オプション市場が活況を呈している。株価が大荒れとなる中、満期がわずか数時間や数日のオプションに賭けるトレーダーが急増している。デリバティブ(金融派生商品)分析会社のスポットガンマによると、米国の上場オプション市場全体の売買高のうち、満期が1週間未満のオプション契約は約半分を占めている。2021年の約45%や19年の約33%を上回る規模だ。一部のトレーダーにとって短期オプションは、2022年の市場の特徴の一つとなっている「一日の急変動」から利益を得たり、日中の勢いに乗じたりする方法の一つだ。相場が不安定な時期に保有資産のリスクを管理する目的で短期オプションを利用しているトレーダーもいる。

 

欧米市場イベント

○14:45   9月スイス失業率(季節調整前、予想:2.0%)
○15:00   8月独鉱工業生産(予想:前月比▲0.5%/前年同月比2.3%)
○15:00   8月独小売売上高(予想:前月比▲1.1%/前年比▲4.3%)
○15:00   8月独輸入物価指数(予想:前月比2.0%/前年比29.9%)
○15:45   8月仏貿易収支(予想:148.30億ユーロの赤字)
○15:45   8月仏経常収支
○19:25   ラムスデン・イングランド銀行(英中銀、BOE)副総裁、講演
○20:00   9月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比8.75%)
○21:00   8月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比横ばい)
○21:30   9月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化2.00万人/失業率5.4%)
○21:30   9月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化25.0万人/失業率3.7%/平均時給、前月比0.3%/前年比5.1%)
○23:00   8月米卸売売上高(予想:前月比0.4%)
○23:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、質疑応答
○24:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○8日01:00   9月ロシアCPI(予想:前月比▲0.1%)
○8日01:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○8日04:00   8月米消費者信用残高(予想:245.0億ドル)

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