FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株先物が堅調推移したことで底堅い展開

雇用関連指標が底堅い内容と米FRB高官のタカ派見通しが嫌気され、米国主要3指数がそろって下落した。しかし、時間外取引で先物が堅調となったことが好感され、相場前全体は戻りに弾みを加える展開となった。週末の米雇用統計の発表が意識されるほか、急な戻りに対する警戒感が生じているのに加えて、チャート上の節目に来ていることが意識された。東エレクやアドテストなど日本の半導体関連株にも買いが波及し、日経平均を押し上げた。結局、前営業日比190円高の2万7311円と4日続伸して終了した。6日に発表した9月第4週(26日~30日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は5644億円売り越しとなり、売り越しは7週連続となった。個人投資家は6206億円の買い越しとなり、買い越しは3週連続となった。信託銀行は641億円の買い越しとなり、買い越しは6週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:様子見ムード強く144円台半ばでもみ合い

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、144.70円付近まで値を上げた。日経平均株価の上げ幅拡大で、リスク選好が高まったことも円売りを誘った。ただ、明日発表される9月米雇用統計を前に、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて144.60円を挟んでもみ合いとなった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、144.50円台を中心とする狭いレンジ取引された。今晩予定されているFRB当局者の講演内容を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、0.99ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

IMFが投信からの資金流出に警鐘

国際通貨基金(IMF)は流動性が低い資産に投資する投資信託からの資金流出が市場のショックを増幅する恐れがあると警告した。米FRBの利上げサイクル入りに伴い社債などに投資する投資信託からの資金流出が顕著となっており運用資産の流動性の監視や管理が重要になると指摘している。特に、投資家がいつでも解約できる「オープンエンド型」投信の運用額は世界全体で41兆ドル(約5900兆円)にのぼり、銀行以外の金融セクターが保有する資産の5分の1の規模に成長、資本の流れの影響力が増大している。

 

第2・四半期はヘッジファンドから320億ドルの資金流出:ロイター

調査会社プレキンによると、今年第2・四半期はヘッジファンドから320億ドルの資金が流出したと、ロイター通信が伝えた。インフレ、地政学的な緊張、ウクライナ戦争を背景に投資家が資金を引き揚げた。流出額は2020年第1・四半期に新型コロナウイルスの流行が始まって以降で最大となった。プレキンは、中央銀行の利上げ継続を受けて、資金流出が続く可能性があると指摘した。世界的な不透明感で『市場に大きな圧力がかかり、投資家が資金配分の見直しを余儀なくされた』という。第2・四半期は運用成績も低迷した。北米に特化したヘッジファンドの運用成績はマイナス8.82%だった。欧州に特化したヘッジファンドはマイナス5.78%、アジア太平洋に特化したヘッジファンドはマイナス4.45%だった。

 

トルコの外貨不足は深刻:ルーブルによる天然ガスの一部支払いを延期

9月原油相場の下落基調は、トルコ経済にとって数少ないポジティブな材料の1つである。しかしながら、OPECプラスが200万バレル減産を決定して原油価格の下支えに本格的に乗り出したことは、トルコ経済にとっては痛手でる。赤字が拡大するばかりのトルコ貿易収支の悪化にも繋がり、リラ売り外貨買いを連想させることになる。エネルギー関連では他にも、トルコ国営の石油パイプライン会社ボタシュがロシア国営ガスプロムに対し、『天然ガス代金の一部支払いを2024年まで延期』を求めたことが報じられた。トルコは、天然ガス輸入の4割以上をロシアに依存しているとされている。トルコ露首脳は先月、ガス取引のルーブル決済に合意したと伝わっているが、トルコの外貨不足は深刻なようである。

 

南アでは金利高が景気に悪影響を及ぼすとの見方からランドの重しに

南アフリカ準備銀行(SARB)が半期ごとに発表する金融政策レビューによれば、「依然として金利を『安定した見通しと一致するレベル』まで引き上げる必要がある可能性」との見解が示された。前会合でSARBは政策金利を0.75%引き上げた。金融引き締め強化の効果で、徐々にインフレは抑えられている。しかし、SARBの目標バンドの中心4.5%に近づくまでは引き締め姿勢を継続するのでは、との声がエコノミストの間では広がりつつある。本来であれば金融引き締めでランドがより積極的に買われてもよいが、ここ最近は金利高が景気に悪影響を及ぼす可能性や、株安などにも波及することで、レビュー発表後の市場の反応は限られている。

 

米住宅ローン金利が7週連続上昇:16年ぶりの高水準

米住宅ローン金利は7週連続で上昇し、16年ぶり高水準となった。全米抵当貸付銀行協会(MBA)の5日発表によると、30年物固定金利は6.75%と、前週から0.25ポイント近く上がった。住宅ローン申請指数は前週比で14%超のマイナスと、新型コロナウイルス禍の最悪期以来の大きな落ち込みとなった。

 

米9月雇用統計ではFRBの大幅利上げ継続の必要性の有無に注目

米労働省が発表する最新9月雇用統計で失業率は引き続き50年ぶりの低水準付近が維持される見込みとなっている。非農業部門雇用者数も前月比+25万人前後と、伸びは縮小傾向にあるもののパンデミック前の水準に戻りつつある。雇用統計の先行指標のひとつ民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計の9月分は新しい算出方法で発表が再開されてまだ2カ月でその相関性は不透明。ただ、20万件増と堅調な伸びとなった。週次の失業保険申請件数も大幅な増加は見られず、労働市場が引き続き強い状況が示唆されている。全米の製造業活動を示すISM製造業景況指数の9月分の雇用項目は48.7と、50割れと活動の縮小に陥ったが、消費が成長の7割を占めるため注目されるISM非製造業景況指数の雇用は53.0と、前月50.2から上昇しており、まちまちの結果となった。
同時に、米労働省が発表した8月JOLT求人件数は1005.3万件と、7月1117万件から10%減少、予想も下回り昨年6月来で最低となった。減少幅はパンデミック発生時2020年を除いては過去最大となるなど、今後労働市場の拡大が鈍化する可能性も示されている。

 

◇予想:市場エコノミスト予想失業率:3.7%(8月3.7%)非農業部門雇用者数:前月比+26万人(+31.5 万人)民間部門雇用者数:前月比+27.5万人(+30.8万人)平均時給:予想:前月比+0.3%、前年比+5.0%(+0.3%、+5.2%) 

 

欧米市場イベント

○15:00   8月独製造業新規受注(予想:前月比▲0.7%/前年同月比▲5.5%)
○17:30   9月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:48.0)
○18:00   8月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲0.4%/前年比▲1.7%)
○20:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(9月8日分)
○20:30   9月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:20.3万件/134.5万人)
○21:50   メスター米クリーブランド連銀総裁、あいさつ
○23:00   9月カナダIvey購買部協会景気指数
○7日02:00   エバンズ米シカゴ連銀総裁、質疑応答に参加
○7日02:00   クック米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○7日02:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○7日02:00   ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○7日06:00   ウォラーFRB理事、講演

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