FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:買い一巡後は利益確定の売りが上値を抑える

主要中銀による金融引き締めが鈍化するとの思惑で、前日の米国株が上昇した流れを引き継ぎ、日経平均は堅調な展開となった。ただ、日経平均は前日までの2営業日で1000円以上上昇していたこともあり、徐々に上げ幅を縮小した。値がさ株が底堅く推移した一方で、半導体関連などが軟調で相場の重しになった。結局、前営業日比128円高の2万7120円と3日続伸して終了した。信用評価損益率は9月30日申し込み時点でマイナス13.07%と、前週のマイナス10.76%からマイナス幅が2.31ポイント悪化となり、悪化は3週連続となった。

 

東京外国為替市場:米長期金利を眺めながら144円台前半でもみ合い

ドル/円は、前日に発表された米雇用関連指標が低調で、米FRBの利上げペースが鈍化するとの思惑からドル売りが先行、143.53円付近まで下落した。しかし、本日は五・十日にあたり、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、144.00円付近へ値を戻した。その後も、日米金融政策の違いを意識したドル買い・円売りが見られ、144.30円台まで上昇する場面があった。午後は、日経平均株価や米長期金利を眺めながら、小幅に値を下げて144.10円を挟んでもみ合いとなった。今晩発表される9月ADP雇用レポートや9月米ISM非製造業軽挙指数を見極めたいとのムードが広がっている。ユーロ/ドルは、0.99ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

9月日銀短観の景況感は非製造業が優位:SMBC日興

SMBC日興証券では9月調査の日銀短観に関するリポートの中で、6月調査以降、非製造業優位の状態が続いていることを指摘している。9月の大企業・製造業DIは1ポイント悪化して8となり、非製造業は1ポイント改善して14となった。コロナ感染の収束を受け、コロナ特需の恩恵を受けた素材業種やハイテク、機械、海運、商社の好環境が一服し、一方で自動車やリオープン産業が持ち直す状況にある。また、設備投資はコロナ禍で蓄積されたペントアップ需要から極めて強い計画となっているとのこと。今後の日本経済は、サービス消費や設備投資関連の需要がけん引役となって景気回復を支えていくとSMBC日興では予想している。

 

英国の減税方針の一部撤回でも財政の目立った改善にはつながらない

与党内からの政治的な反発の高まりを受け、英国のトラス新政権は3日、金持ち優遇との批判が多かった所得税の最高税率の引き下げ方針を撤回した。政権発足直後の政策迷走により、政府の政策運営に対する信頼と政策の遂行能力が損なわれた。今回の方針転換は政治的には重要な意味を持つが、大型減税とエネルギー料金凍結で悪化する英国の財政状況の目立った改善にはつながらない。BOE(※イングランド銀行、英国中銀)の時限的な市場介入が終了すれば、国債需給は再び悪化する。中期的な財政健全化を達成するには、歳出削減など追加の財政方針の軌道修正を余儀なくされる。市場の動揺がやや沈静化したことと政府の減税方針の部分修正を受け、BOEが11月3日の政策委員会(MPC)を待たずに緊急利上げをする可能性は遠退いた。だが、大型減税で中期的な物価の上振れリスクが高まったことから、今後も大幅利上げが必要な状況には変わりがない。

 

トルコでは為替差損を保証するリラ建て定期預金を延長

来年6月までに実施されるトルコ大統領選に向け支持率で苦戦している現職の大統領は、金融緩和の強化が支援者を引き付けると本気で思っているようである。足もとではインフレ率が24年ぶりの高水準であるにもかかわらず、エルドアン大統領が非正統的な金融政策を中銀に押し付けている間はリラの買い難さは変わらない。なお、エルドアン氏が率いる与党・公正発展党(AKP)は、昨年12月に導入した為替差損を保証するリラ建て定期預金を2023年末まで延長する。同預金は先月23日現在で1兆3700億リラの残高があるとされ、政府負担は対ドルでリラ安が進んだこの3カ月で211億リラにも達したと報じられている。

 

南アでは12月選挙に向け現大統領の動向に注目

昨日は南アが世界一の生産量を誇るプラチナの価格が9月22日以来となる高値を付けたことなどもランド買いを促した。12月の総選挙に向け、ズマ前大統領の元夫人ドラミニ・ズマ氏と南アの著名政治家の娘で、国際関係・協力相でもあるリンディウェ・ノンセバ・シスル氏が共同でアフリカ民族会議(ANC)の代表と副代表を目指すことが発表された。ANCの人気に陰りが見えてきている中で、ラマポーザ現大統領の動向にも注目される。

 

機関投資家調査では全員が米国の景気高後退を予測:エバコア

エバコアISIは4日付リポートで、3日に行った機関投資家調査を結果を示した。調査対象者の考える22年末のS&P500種株価指数の目標値は3490と、3日終値を5%下回るものだった。22年末のフェデラル・ファンド金利見通しは4.0%と市場予想を下回る結果となった。23年末の米消費者物価指数(CPI)のコア指数(変動の激しい食品とエネルギー除く)は4.2%と、市場予想を1%上回った。対象者のすべてが米国の景気後退を予想しており、割合としては22年に11%、23年に89%の人が景気後退すると見込んでいる。

 

米労働市場のひっ迫緩和の兆しでFRBの大幅利上げの思惑が後退

米労働省が発表した8月JOLT求人件数は1005.3万件と、7月1117万件から10%減少、予想も下回り昨年6月来で最低となった。減少幅はパンデミック発生時2020年を除いては過去最大。失業者総数を依然403.9万上回るものの、その差は昨年10月来で最小で、連邦準備制度理事会(FRB)が警戒していた労働市場の需給の不均衡が解消されつつある。採用は627.7万だが7月分が630万超から638.8万人に大幅下方修正されたため小幅な伸びにとどまったが減少傾向にある。自主退職は10万人増の416万人に達した。退職率(Quits rate)は2.7%で前月から変わらず。労働市場のひっ迫鎮静化の兆候を受けて、FRBの11月連邦公開市場委員会(FOMC)での75BPの利上げの思惑が後退。一方で、小幅な50BPの利上げの思惑が強まりつつある。9月雇用統計の結果でも労働市場の伸び鈍化の兆候が見られた場合、11月FOMCで小幅な利上げ観測がより強まりドル買いの手仕舞いが強まる可能性がある。

 

米国市場では8月貿易収支が公表:予想は-677億ドルの赤字

参考となる7月実績は-706億ドルだった。輸出増加で赤字幅は縮小予想となっている。サプライチェーンの混乱が一部解消し、自動車や産業機械、通信機器などの出荷が増えた。8月については、消費財の輸入は増加する可能性があるものの、輸出は総じて順調に推移するとみられており、貿易赤字は7月実績を下回る見込みとなっている。

 

欧米市場イベント

○15:00   8月独貿易収支(予想:40億ユーロの黒字)
○15:45   8月仏鉱工業生産(予想:前月比横ばい)
○16:50   9月仏サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値(予想:53.0)
○16:55   9月独サービス部門PMI改定値(予想:45.4)
○17:00   9月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:48.9)
○17:30   9月英サービス部門PMI改定値(予想:49.2)
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:7.00%に引き上げ)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:15   9月ADP全米雇用報告(予想:20.0万人)
○21:30   8月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲0.5%)
○21:30   8月カナダ貿易収支(予想:34.5億カナダドルの黒字)
○21:30   8月米貿易収支(予想:677億ドルの赤字)
○22:45   9月米サービス部門PMI改定値(予想:49.2)
○22:45   9月米総合PMI改定値(予想:49.3)
○23:00   9月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:56.0)
○23:30   EIA週間在庫統計
○6日01:00   4-6月期ロシア国内総生産(GDP)確報値(予想:前年比▲4.1%)
○6日05:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」閣僚級会合
○中国(国慶節)、インド(ヒンドゥー教ダシェラ祭)、休場

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