FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:年金など機関投資家買いや先物主導で上げ幅拡大

米国での長期金利の低下、株価の上昇を好感して寄り付きから全面高の展開になった。買い戻しが活発化して戻りが加速、踏み上げ相場の印象が強い相場となった。北朝鮮によるミサイル発射問題がマイナス材料として浮上したが、株価に与える影響は限定的だった。相場に順張りするCTA(商品投資顧問)の先物買いが続いた。また、下期入りでポジションをとりやすくなった年金など機関投資家の買いが入ったとの見方もあった。結局、前営業日比776円高の2万6992円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円は144円台半ばから後半でもみ合い

ドル/円は、米長期金利が低下していることで、ドル売り・円買いが先行し、一時144.41円まで値を下げたものの、日経平均株価が堅調な出だしとなったことで、ドルは即座に買い戻され、144.60円台まで反転した。その後、仲値にかけて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、144.75円付近までじり高となった。仲値発表後は、日経平均株価や米長期金利を眺めて、上値を144.92円付近まで伸ばした。ただ、心理的節目の145円や為替介入に対する警戒感から伸び悩み、その後は144.80円台へ小幅に値を下げた。午後は、米長期金利が低下に転じたことをきっかけとして、ドル売り・円買いが先行、144.60円台までじり安に推移した。ただ、日米金融政策スタンスの違いは引き続き意識されていることから、ドル買い・円売りも見られ、144.80円台まで下げ幅を縮小した。その後は、今晩予定されている米経済指標やFRB当局者の発言内容を見極めたいとのムードが広がり、144円台後半で小動きとなった。ユーロ/ドルは、米国株指数先物が上昇していることで、リスク選好のユーロ買い・ドル売りが先行し、0.982ドル付近から0.9848ドル付近までじり高に推移した。

 

トルコでは実質金利マイナス幅拡大が見込まれリラの重し

欧州序盤に発表された9月トルコ消費者物価指数(CPI)は前月比3.08%、前年比83.45%の伸び率と予想を若干ながら下回ったが、前回からの加速は確認された。特に前年比は24年ぶりの高水準を記録した。また同時に発表された、同月の製造業購買担当者景気指数(PMI)も46.9と前回から下振れ、景況判断の境目となる50を7カ月連続下回った。エルドアン・トルコ大統領は『金利の高さが物価上昇に繋がっている』という従来の経済理論に反する考えに固執している。トルコの最高権力者である大統領が更なる利下げをトルコ中銀に要求しているため、今月の金融政策委員会(MPC)でも3会合連続の政策金利引き下げを予想する向きが多くなりつつある。実質金利マイナス幅が広がる国への資金流入は期待できそうにない。

 

南ア燃料価格の低下はポジティブなニュース

南アが毎月第1水曜日に公表する燃料価格の基準価格は、今月はガソリン価格は引き下げ、ディーゼル価格は引き上げになる。無鉛ガソリンの価格は1リットルあたり約1.02レアル下がり、今年5月以来の意水準になると予想されている。このまま燃料価格が低下すればインフレ抑制にも役立つため、ポジティブなニュースと言える。

 

メキシコと米国では農業面でも対立生じる可能性

メキシコのエネルギー政策を巡って米国と軋轢が生じているが、農業面でも対立が生じる可能性が出てきた。問題となっているのはメキシコ政府が2020年末に出した法令で、2024年までに遺伝子組み換えコーンを段階的に禁止するというものである。メキシコは米国産コーンの最大の輸入国ということもあり、米国はメキシコ政府の対応について警戒感を強めている。メキシコ側は遺伝子組み換え禁止の法令によって、米国からのコーン輸入が中断されることはないと示唆しているが、公式な文書によって示されたわけではないため、米農家の懸念は解消されていない。米農務長官はこの問題について2024年までに『必要かつ適切なあらゆる手段を講じる』と言及した。米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を基に異議を唱える可能性も示唆している。また、メキシコ側にとっても主食トルティーヤの材料であるコーンを巡る問題は重要である。メキシコのコーン総輸入量の20%近くを米国が占めているだけに市民生活への影響も大きく、問題の早期解決を期待したいところである。

 

S&P500の年末目標を引き下げ:HSBC

HSBCは4日付リポートで、資産配分でグローバル株式やグローバル・ハイイールド・クレジット、先進国ソブリン債を最大限アンダーウェートにしていると強調しつつ、S&P500指数の年末目標を下方修正した。従来は4450とみていたが、2022年10~12月期に3200まで下落する可能性があり、12月末には3500で着地すると予想した。23年の年初は、米国や世界的な景気後退のリスクがますます顕在化し、リスク資産の最低水準を示す恐れがあるとしつつも、その後は『米FRBが金利引き上げサイクルを一時停止、あるいは終了のシグナルを送ることで、23年末までにS&P500は4000に回復する』と見込んだ。23年に入ってもバリューエーション(投資尺度)の逆風は続くとし、今後数ヵ月の下落のほとんどは収益性の低下によるものと見ている。こうした環境では、高配当や低ベータ、ディフェンシブセクターにい投資妙味がるとの見解を示した。

 

米共和党が多数派になると金利急低下する可能性:ゴールドマン

11月8日に米中間選挙が実施される。ゴールドマン・サックスは3日付リポートで『今後の財政政策の影響は、中間選挙の結果と経済情勢の2つの要因に左右される』と指摘した。上院・下院で多数派政党が分裂したり、両院で共和党が過半数を奪還する場合は『景気後退の際に下振れリスクを抑えるカウンターシクリカルな財政政策の可能性が低下し、特にインフレ率が上昇し続ける場合、歳出削減の可能性が高まる』とみていた。米FRBの政策に与える影響も少なくなるといい、『リセッション(景気後退)以外で財政をもう少し抑制すれば、24年以降の利下げの可能性とベースは高まるだろう。景気後退の場合、議会が分裂していたり共和党が多数派であったりすると、どのような景気対策であっても可能性が低く、規模も小さいということは、他のシナリオと比べて金利がやや急激に低下する可能性があることを意味する』とみていた。

 

欧米市場イベント

○18:00   8月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比5.0%/前年比43.2%)
○21:30   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○22:00   ローガン米ダラス連銀総裁、あいさつ
○22:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○22:15   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○23:00   8月米製造業新規受注(予想:前月比横ばい)
○24:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○5日00:45   ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○5日02:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○欧州連合(EU)財務相理事会

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