FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:テクニカル的なポイントを維持したことで買い戻しの流れ

前週末の米国株安を受けて売り優勢で始まったものの、売り一巡後は半導体関連株が堅調となり、全般的に買い戻しが活発化し2万6000円を回復した。本日から名実ともに下半期入りで実需買いの流入も観測されている。市場では、6月安値2万5520.23円を維持できるかが今日のポイントとの声があったが、チャート上の重要なポイントを割らずに粘ったことが相場の流れを変えた。また、年金基金などの買いを指摘する声もあった。結局、前営業日比278円高の2万6215円で終了した。

 

東京外国為替市場:145円抜けでは為替介入警戒感強く上値は重い

ドル/円は、短期筋のドル売り・円買いが先行し144.50円付近へ急速に値を下げた。しかし、仲値に向けた国内輸入企業などがドル買い・円売りに動き、144.85円付近へ上昇した。日経平均株価がマイナス圏からプラス圏へ転じ、リスク回避姿勢を和らいがことも円売りを誘った。仲値発表後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、小幅に値を下げて144.70円台を中心とする狭いレンジでもみ合いとなった。午後のドル/円は、海外勢などからストップロスを狙った仕掛け的なドル買い・円売りが持ち込まれ、145.30円付近まで急上昇する場面があった。しかし、政府・日銀による為替介入への警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いが入り、144円台後半へ押し戻される荒い値動きとなった。鈴木財務相が『必要に応じて断固たる措置をとる考えに変更はない』と改めて表明したことも円の買い戻しにつながった。ユーロ/ドルは、欧州景気の減速を懸念したユーロ売り・ドル買いが入り、0.98ドルを割り込んで0.9785ドル付近へ値を下げた。しかし、ポンド/ドルの急速なポンド高・ドル安が波及し、0.98ドル台前半へ持ち直した。

 

ドル買い・ポンド買い比率低下:前週のFX

QUICKが3日に算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、 『ドル/円』取引で円に対するドルの買い比率は9月30日時点で55.2%だった。前の週末から6.2ポイント低下し、9月上旬以来およそ1ヵ月ぶりの低水準となった。日本政府・日銀が約24年ぶりに円買い・ドル売りの為替介入を実施した後も円相場は1ドル=144円台後半で軟調に推移しており、個人投資家は利益確定を目的とした円買い・ドル売りを増やした。『英ポンド/円』取引でポンドの買い比率は急低下し、前の週末から20.1ポイント低い50.8%になった。トラス英政権の大型減税策で財政不安やインフレ加速への懸念が高まり、ポンドは9月26日に対ドルで最安値を更新した。対円でも急速にポンド安が進んだものの、英イングランド銀行(中央銀行)が市場安定に向けて臨時の国債購入策を決めたことでポンド相場が持ち直し「個人投資家は『逆張り』戦略をとったようだ』といい、円買い・ポンド売りが活発となった。

 

英国の『成長計画2022』ショック:英債券市場の落ち着き度を見極める必要

クワーテング英財務相は23日、大型減税案を柱とする「成長計画2022」を公表した。1972年以来の規模となる減税は、政策効果がすべて出る26年度には450億ポンド規模とされた。他、高騰するエネルギー価格への対策として半年で600億ポンドを注入することも決まっている。資金需要に対応するため、英政府は22年度の国債発行額を当初予定より5割以上も拡大せねばならない。財政や債券需給の悪化懸念が一気に強まり、英国債は一時大きく売られた(利回りは上昇)。その後、金融市場の不安を抑えるため、イングランド銀行(英中銀、BOE)は20年超の国債を対象に10月14日まで無制限購入を決定。また、前回の金融政策委員会(MPC)で決めた保有債券の売却も、同月初めの予定から月末まで延期した。ただMPCの引き締め強化スタンスとは逆の方向性であり、矛盾は否めない。安定策を受けて英国債市場は大幅に反発したものの、1日で流れは反転。あくまで『時間稼ぎのための付け焼き刃』と見る向きは多いようだ。いずれにせよ、今後も急落・急騰となった英債券市場の落ち着き度を見極める必要がある。

 

トルコでは9月インフレ指標に注目:インフレ高進の可能性

本日発表されるトルコの9月インフレ指標を確かめることになる。消費者物価指数(CPI)は前月比・前年比ともに前回値から伸び率加速が見込まれ、特に前回80%台に乗せた前年比は83%台まで上昇が予想されている。2会合連続で利下げを実施したトルコ中銀は『物価の番人』という役割を捨てており、インフレが改善する兆候はない。 先週末にはエルドアン・トルコ大統領が中銀の金融政策委員会(MPC)に対して更なる緩和を要求したと報じられた。現在12%の主要政策金利を年末までに一桁台にするよう望んでいる。トルコ中銀はMPCを毎月開催しており、今年は残り3会合である。MPCは8、9月と1%の利下げを実施しており、同様な決定となれば年末の金利は9%になる。大統領が人事権を握っているため、独立性を奪われた中銀が言われるままに一桁台まで政策金利を引き下げる可能性は十分にあり得る。

 

南アでは電力問題が経済成長の足かせ

南ア国内では先週末を含め、厳しい電力の負荷制限が継続されたままである。いつまで経っても解決のめどが立たない電力不足は、南ア経済にとっては致命的である。ゴーダン公共事業相は先週、国営電力会社エスコムの取締役会改革を行うとし、現CEOのデ・ルイター氏の去就も取締役会に委ねると発言した。しかし、同氏がCEOに決定したのが2019年11月、着任が20年1月15日であり、まだ数年しか経過していない。CEOや取締役を交代しても、電力問題が解決できるとは思えず、今後も南アの経済成長の足かせになる。

 

メキシコ中銀は3会合連続での大幅利上げ実施

メキシコ中銀が30日、インフレ抑制のために3会合連続で0.75%の利上げを決行した。声明文では、最終段落の文言変更はなく、『インフレ圧力、および予想されるインフレ経路とその期待に影響を与えるすべての要因を徹底的に監視する』とし、大幅な利上げ政策を緩めるサインなどは出なかった。また、インフレ見通しについては、3%前後に落ち着く時期を前回の2024年第1四半期から2024年第3四半期に後ずれさせたほか、インフレのピーク時期も2022年第3四半期の+8.5%から2022年第4四半期の+8.6%と後ずれプラス上方修正するなど、インフレについては毎会合ごとに上方修正と後ずれを繰り返す状況となっている。

 

米国市場では9月ISM製造業景況指数が公表:予想は52.2

8月実績は52.8となった。雇用と新規受注は回復した。仕入れ価格指数は低下し、2020年6月以来の低水準となった。物価上昇圧力は緩和し、インフレがピークを越えた可能性を示唆した。9月については、サプライチェーンは改善しつつあるが、新規受注は弱含みとなる可能性があることから、8月実績をやや下回り可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:30   9月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%)
○16:00   9月トルコ製造業購買担当者景気指数(PMI)
○16:00   9月トルコCPI(予想:前月比3.15%/前年比83.50%)
○16:30   9月スイス製造業PMI(予想:54.6)
○16:50   9月仏製造業PMI改定値(予想:47.8)
○16:55   9月独製造業PMI改定値(予想:48.3)
○17:00   9月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:48.5)
○17:30   9月英製造業PMI改定値(予想:48.5)
○22:05   ボスティック米アトランタ連銀総裁、あいさつ
○22:45   9月米製造業PMI改定値(予想:51.8)
○23:00   9月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:52.2)
○23:00   8月米建設支出(予想:前月比▲0.3%)
○23:30   9月メキシコ製造業PMI
○4日03:00   9月ブラジル貿易収支
○4日04:10   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○中国(国慶節)、韓国(建国記念日)、休場

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