FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米アップルの増産計画撤回報道で下げ幅拡大

世界景気の先行きに対する警戒感がくすぶった。米株先物の軟調な動きが投資家心理の重しとなり、心理的節目の2万6000円を7月4日以来、約3ヵ月ぶりに割り込んだ。日経平均は100円超安で寄り付いた後も、欧米での金融引き締めなどによる景気後退への警戒感がくすぶり、下げ幅を拡大した。市場では、リセッションに陥るリスクを見極める局面にあり、買い進みにくいとの声が聞かれた。また、ブルームバーグ通信が事情に詳しい関係者の話しとして「米アップルは今年の新型スマートフォン『iPhone』の増産計画を撤回したようだ」と伝えたのが、下げの一因となった。結局、前営業日比397円安の2万6173円で終了した。日経平均の下げ幅は一時600円を超えた。信用評価損益率は22日申し込み時点でマイナス10.76%と、前週のマイナス10.56%からマイナス幅が0.2ポイント悪化した。悪化は2週連続となった。

 

東京外国為替市場:売買が交錯するなか114円台半ばでもみ合い

ドル/円は、政府・日銀による為替介入への警戒感から持ち高調整などのドル売り・円買いが入り、一時144.40円付近まで下落した。日経平均株価の大幅安で、リスク回避姿勢が強まったことも円買いを誘った。ただ、日米金融政策スタンスの違いが鮮明になっていることもあり、下値を追う動きは限られた。その後、米FRBの積極的な利上げが長期化するとの観測が強まり、米長期金利が12年半ぶりの高水準となる4%台へ上昇すると、ドルは買い戻されて144円台後半へ切り返した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、144.60円台を中心とする狭いレンジでのもみ合いとなった。今晩予定されているFRB当局者の発言内容を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、欧州の景気減速に対する根強い懸念から軟調地合いが続き、一時0.9543ドル付近まで下落し、およそ20年ぶりのユーロ安・ドル高を更新した。

 

7月20-21日分の金融政策決定会合議事要旨 

「消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、本年末にかけて、エネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により上昇率を高めたあと、エネルギー価格の押し上げ寄与の減衰に伴い、プラス幅を縮小していくとの見方で一致」
「委員は、先進国を中心にインフレの高進が続くもとで、各国中央銀行の利上げペースは加速しており、国際金融資本市場では、インフレの抑制と経済成長の維持が両立するかが懸念されているとの認識を共有」
「委員は、ウクライナ情勢の展開等を巡る不確実性の高さを反映して、国際商品市況の変動が大きくなっているほか、世界的なインフレ率の高まりや為替市場における急激な変動がみられており、これらがわが国の物価に及ぼす影響については十分注意してみていく必要があるとの見方を共有」
「一人の委員は、世界経済へのショックが生じた場合、現在の円安局面から円高局面に転じる可能性もあるとの見方を示した」

 

トルコ中銀は金融政策ではアクセルとブレーキを両踏み

トルコ中銀は22日の定例会合で2会合連続の利下げ実施を決定した。足下の世界経済は全体として減速が意識されるなか、国際金融市場では米FRBなど主要国中銀のタカ派傾斜を受けて経済のファンダメンタルズの脆弱な新興国に資金流出が集中する動きがみられる。トルコでは商品市況の上振れや通貨リラ安に伴う輸入物価の押し上げも重なり、足下のインフレは中銀目標と大きく乖離した推移が続く。こうした状況にも拘らず中銀は『金利の敵』を自任するエルドアン大統領の圧力に屈した格好である。ただし、中銀は利下げに動く一方で物価抑制を目的に貸出抑制に動くなど、景気に対するアクセルとブレーキを両踏みする対応を迫られている。外貨準備高は依然金融市場の動揺への耐性に乏しい状況が続いており、同国経済を取り巻く状況は一段と難しいものとなることは避けられそうにないと捉えられる。

 

南アでは平均給与がほぼ4%上昇:インフレ高進でカバー出来ず

南ア国内情勢では、南アフリカ統計局が発表した最新の四半期雇用統計調査によると、わずか3カ月で平均給与がほぼ4%上昇していることが判明した。南アのインフレ率が7%を超えていることで、これでも足りないとの声は多い。

 

米雇用市場の利上げの影響は6ヵ月遅行

エバンスシカゴ連銀総裁は『今から6ヵ月で、金融政策の遅行効果が労働市場に表れるはずだ』と述べた。同氏はロンドンで講演後、聴衆の質疑に応答し、先週公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の金利予測に基づいて判断すると、金利は年末までにピーク付近に達する可能性があると発言した。同予測では、年末時点の水準は4.4%と示唆されている。FOMCの金利軌道見通しはインフレ抑制に十分だろうと『楽観』しているとも話した。一方、米当局はインフレが上昇し始めた際に、間違いを犯し『判断を誤った』とエバンス氏は認め、今になって考えると『私は恐らく引き締めをもっと早期に開始していただろう』と続けた。エバンス氏は今年のFOMCで議決権を有していない。

 

米住宅市場は悪化が示され景気を抑制される可能性も

8月新築住宅販売件数は減少予想に反して7月から増加したため、経済への明るい見通しに繋がった。新築住宅は、米住宅市場で占める割合は小さいが、契約時点での統計となるため先行指標として注目される。しかし、住宅金利がいったん低下したことが需要を押し上げたと見られる。その後、連邦準備制度理事会(FRB)の積極的な利上げを受けて、住宅ローン金利は再び上昇しており、本日時点の住宅ローン固定30年物金利は22年ぶりとなる7%超えとなった。このため、今後、住宅需要が再度、落ち込み景気を抑制する可能性が警戒される。7月S&PコアロジックCS20都市住宅価格指数は前年比+15.8%と、6月の18.1%から2.3%ポイント鈍化した。この鈍化幅は統計開始以来で最大となった。前月比では2012年来のマイナスとなっており、すでに住宅市場の悪化が示された。

 

欧米市場イベント

○15:00   10月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲39.0)
○15:45   9月仏消費者信頼感指数(予想:80)
○16:15   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○17:00   カジミール・スロバキア中銀総裁、講演
○17:15   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○17:30   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   8月米卸売在庫(予想:前月比0.4%)
○21:35   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○23:00   8月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲1.5%/前年比▲24.5%)
○23:10   ブラード米セントルイス連銀総裁、あいさつ
○23:15   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、あいさつ
○23:30   EIA週間在庫統計
○24:00   エルダーソンECB専務理事、講演
○24:00   ボウマンFRB理事、講演
○29日00:30   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○29日01:00   8月ロシア失業率(予想:4.0%)
○29日02:00   米財務省、7年債入札
○29日03:00   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○29日03:00   ディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演

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