FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:自立反発を期待した買い広がる

日本株は円安による輸出企業などの業績押し上げや経済再開への期待があるものの、欧米の金融引き締めによる景気懸念や英国初の市場混乱への警戒感が重しになった。前日までの続落からの自立反発を期待した買いが広がり、指数が押し上げられた。もっとも、積極的な運用リスクを取る投資家は少なく、重い相場展開となった。結局、前営業日比140円高と4営業日ぶりに反発した。

 

東京外国為替市場:144円台半ばで売買交錯よるもみ合い相場

ドル/円は、政府・日銀による為替介入への警戒感からドル売り・円買いが先行し、144.28円付近まで下落した。前日に急騰した米長期金利がやや低下したことも、ドル売りを誘った。しかし、日米金融政策スタンスの違いが鮮明になっていることもあり、下値を追う動きは限られた。その後、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、144円台半ばへ切り返した。日銀が臨時の国債買い入れオペを通知したことも、円売り要因となった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、144.40円前後でもみ合いとなった。今晩予定されているパウエル米FRB議長の発言内容や米経済指標を見極めたいとのムードが広がっている。ユーロ/ドルは、このところ下げ基調が続いていたため、利益確定や持ち高調整のユーロ買い・ドル売りが入り、0.96ドル台前半から0.96ドル台半ばへ水準を切り上げた。

 

国内外の9月決算期末対応にらみの展開:季節的要因に注意

国内外の市場では9月末にかけて、月末、7-9月の四半期末、4-9月の年度中間期末やといった決算対応を迎える。各種企業や機関投資家などから、月末・期末対応でのドル買い手当てや円買い手当て、決算対策による見切り売り・損切り・ヘッジ対応と一段の株安や国債価格下落(金利は上昇)、ポートフォリオ調整やリバランスによる米国債の買い戻し(米債金利は低下=ドル安にも)、米国株など世界株の期末調整的な買い足し(リスク回避一服で、安全逃避通貨であるドルや円は下落も)といった特殊要因が注視される。

 

ラガルドECB総裁は利上げの継続を示唆

ラガルド総裁は26日、欧州連合(EU)議会委員会で『需要を抑制するとともに、インフレ期待の上昇シフトが定着するリスクを防ぐため、今後数回の会合でさらなる利上げを見込んでいる』と述べた。同総裁はさらに域内政府による住民や企業への支援策は範囲が広すぎると警告し、インフレ抑制を目指すECBの取り組みを妨げる恐れがあると示唆した。ラガルド氏は『最も必要とされている分野に焦点を絞った措置よりも、広くカバーする措置が多い』と指摘した。このアプローチは『必ずしも十分に協調が取れた財政と金融政策につながらない』と述べた。

 

トルコの露とウクライナの仲介能力に注目

チャブシオール・トルコ外相は昨日、ウクライナのゼレンスキー大統領とロシアのプーチン大統領の会談実現のために尽力していると述べた。今後はエルドアン・トルコ大統領がウクライナとロシアの首脳とそれぞれ話し合い、そこで説得するとされている。ウクライナとロシアの戦闘は更なる長期化の様相をみせているなか、トルコの仲介能力が注目される。

 

南アでの電力不足解消は期待薄

先週の南アの電力負荷制限は『これまでにない』と言われるほどの大規模なものになった。南ア国内の電力の9割以上を供給するエスコムは、週末に全国送電網から6000メガワットの電力を遮断し、企業や家庭に4時間以上連続して電力を供給できなくなった。エネルギー不足は2008年にさかのぼるが、問題はますます深刻化しており、故障や保守作業のために電力会社の容量の半分以上がオフラインにされたため、今年は負荷制限の記録を更新した。ゴーダン公共相は『南アフリカの停電は今後数日で緩和されるはずであり、新しい投資が発電を強化する』と前向きな発言をしているが、これまで幾度もそのような発言が実行されてこなかったことを考えると、発言を真に受けるものはいない。

 

ドル高は下げ相場の終焉を加速させる:モルガン・スタンレー

モルガンスタンレーは26日付リポートで、9月の米FRB後に株安・債券安となった状況を踏まえつつ、『今年の夏の上げ相場が弱気相場なのか、それとも新たな上げ相場だったのかについての議論があるなかで、問題はここからどれだけ低くなり、何がそれを促進するのかということになる』との見解を示した。リポートでは、『私たちが何カ月も議論してきたように、株式の最終的な安値と債券利回りの高値は、インフレやFRBよりもむしろ企業収益と経済の成長軌道によって決まる可能性が高い。最近の米ドルの動きは、歴史的に金融危機あるいは経済危機、あるいはその両方で終焉を迎えてきたリスク資産にとって耐えられない状況を作り出している。このような『出来事』を予測するのは難しいが、状況は整っており、下げ相場の終焉を加速させるだろう』と指摘した。過去の分析から、インフレ率が上昇している間は実質的な一株利益(EPS)成長率が低下している(10%以上)こと注目しつつ、『名目上の売上高の伸びはプラスかもしれないが、コストの伸びが売上高の伸びを上回った場合、利益はマイナスになる。これは多くの場合、景気サイクル後期の力学であり、営業レバレッジの力を物語っている』との認識を示した。

 

米国市場では8月耐久財受注が公表:予想は前月比0.0%

7月実績は前月比-0.1%だった。国防関連の受注が前月比で大幅減となったことが要因だった。8月について7月時点で航空機を除く非国防資本財の伸び率が鈍化しており、全体でも横ばいか、かなり低い伸びにとどまる見込み。

 

欧米市場イベント

○16:30   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○19:50   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○20:00   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○20:00   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○20:00   8月メキシコ失業率(季節調整前、予想:3.50%)
○20:00   8月メキシコ貿易収支(予想:44.60億ドルの赤字)
○20:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、パネルディスカッションに参加
○20:30   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:30   8月米耐久財受注額(予想:前月比▲0.4%/輸送用機器を除く前月比0.2%)
○22:00   7月米住宅価格指数(予想:前月比横ばい)
○22:00   7月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比17.0%)
○22:15   デギンドスECB副総裁、講演
○22:55   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○23:00   9月米消費者信頼感指数(予想:104.5)
○23:00   9月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲10)
○23:00   8月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲2.2%/50.0万件)
○28日02:00   米財務省、5年債入札
○28日02:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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