FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株安の流れを引き継ぎ売り優勢に

前日の米国株安の流れを引き継ぎ、日経平均株価は軟調な値動きが続いた。米FOMCの結果発表を前にポジション調整の動きがみられたほか、米長期金利の上昇を背景に、主力株や値がさのハイテク株の下落が目立った。全体的に売りが優勢となる中、海運業や保険業などはしっかりだったが、市場では循環的な売買で、セクターを通して大きな方向感はみられないとの声が聞かれた。結局、前営業日比375円安の2万7313円と反落して7月19日以来およそ2ヵ月ぶりの安値となり終了した。

 

東京外国為替市場:臨時の国債買い入れオペ通知で円売り

ドル/円は、日経平均株価の大幅安でリスク回避のドル売り・円買いが先行し、143円台後半から143円台前半へ水準を切り下げた。しかし、日米金融政策スタンスの違いが鮮明になってることもあり、下値を追う動きは限られた。その後、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、143.80円付近へ上昇した。日銀が金利上昇を抑え込むため、臨時の国債買い入れオペを通知したことも円売りを誘った。午後は、米FRBの大幅利上げ観測を背景に海外投機筋などがドル買い・円売りに動き、一時144.07円付近までじり高となった。ユーロ/ドルは、0.996ドルを挟んで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル売り・円買い介入が行われた場合のインパクト解説:野村証券

ドル高・円安基調が続く中、野村證券は20日付のリポートで仮にドル売り・円買い介入が行われた場合の短期・中期的なインパクトを解説した。それによれば、14日に日銀がレートチェックを行ったとの報道が出た後に円高が進んだ市場の反応を踏まえ、『短期的には相応のインパクトはありそうだ』と指摘。最初のアクションはサプライズ効果が大きくなりやすいとしつつ、米商品先物取引委員会(CFTC)のポジションデータを見ると、過去3週間程度でレバレッジドファンド中心に円ショートポジションが再び積み増されている事もあり、『介入発動がポジション解消を促せば、円高圧力が増幅される可能性がある』と見込んだ。また、財務省による介入実施は国内外で日銀の追随的な政策修正期待を高める可能性が高いとも指摘し、『少なくとも一時的には、日銀引き締め期待に伴う円高効果も加わることが想定される』とも指摘した。さらに金額面では、米財務省の為替報告書における為替操作国認定の基準に照らせば、『国内総生産(GDP)比で2%以内、10兆円以内との規模が市場では意識されそうだ』とし、『8月時点で1361億ドルの預金を外貨準備として保有しており、10兆円程度であれば直ちに債券を売却する必要性も出てこない』と見込んだ。月間2兆円規模に達している貿易赤字による円売りドル買いを5ヵ月分程度吸収する効果はあり、『少なくともスムージング(オペレーションとしての)効果はあるだろう』とも指摘している。

 

英国中銀(BOE)も年内に2回の75bp利上げ織り込む

英国中銀は連邦公開市場委員会(FOMC)後の22日に金融政策を開催する。英中銀はこの会合で、政策金利を0.5%引上げ2.25%に設定する予想となっている。短期金融市場では英中銀が今後3会合で、200BPの利上げを実施することを織り込んだ。英中銀もFRBに並び年内0.75%の利上げを2回実施することになる。これにより、政策金利を4%近くに引き上げることが想定されている。

 

トルコ大統領はSCO加盟を目指す:加盟は西側諸国を刺激する

先週ウズベキスタンで開催された上海協力機構(SCO)首脳会議に出席したエルドアン大統領は、トルコメディアとのインタビューでSCO加盟を目指していると述べたようである。現在トルコは、SCOの対話パートナーという位置づけである。SCOはロシアと中国が主導する枠組みである。近年トルコはロシアと経済的な繋がりを強めている。露産エネルギーに頼り、ロシア人はトルコ観光業界にとって優良顧客であり、トルコ不動産購入も急速に拡大中である。中国については、豊富な資金力が魅力的に見える。この二カ国とより近づきたいというエルドアン大統領の気持ちは、分からないでもない。しかしながら欧米は、ウクライナ侵攻を巡りロシアに制裁を科し、また覇権主義を強める中国への警戒感を高めている。エルドアン大統領の発言は、西側諸国を刺激することになり、リラからドルやユーロに資金を移動させる理由とされるかもしれない。

 

南ア国内の重要イベントに要警戒

南ア国内からも重要イベントがこの2日はあることに要警戒である。まずは、本日南アの8月消費者物価指数(CPI)が発表される。8月の同指標は南ア国内のエネルギー価格などが下落していることもあり、前年比では7月の+7.8%から+7.5%に低下するとの予想になっている。この結果次第で、明日の南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)での、利上げ幅が変わることもある。現時点では米連邦準備理事会(FRB)と同じ0.75%の利上げ予想になっている。イニシャル・リアクションとしては、インフレが高進していた場合は金利高によるランド買い、逆に抑制されていればランド売りに反応しやすい。ただし、中長期的にみるとインフレ抑制の方がスタグフレーション懸念を払しょくできることで、ランド買いに動きやすいのではないかと思われる。実際に、英国の場合はCPIが高い結果となったことで、景気後退懸念が高まりポンド安の流れが急になっている。

 

米住宅市場ではすでにリセッション入りの様相

全米住宅産業協会(NAHB)が発表した9月NAHB住宅市場指数は46と、8月49から予想以上に低下し、2カ月連続で50を割り込み悲観的センチメントと、住宅市場がすでにリセッション入りしている証拠となった。9カ月連続の低下でパンデミックによる経済封鎖直後の20年5月来で最低。米住宅ローン金利の上昇で需要の鈍化が警戒される。米商務省が発表した8月住宅着工件数は前月比+12.2%の157.5万戸と、7月から予想以上に増加も、8月住宅建設許可件数は前月比‐10%の151.7万戸と、7月168.5万戸から予想以上に減少しパンデミックによる経済封鎖直後の20年6月来で最低となった。今後、住宅着工が滞る可能性が示唆された。

 

FRBが失業率を上昇させるならS&P500は2900~3375のレンジ:ゴールドマン

ゴールドマン・サックスは20日付リポートで、インフレ抑制のために金融政策が過剰に引き締められ、景気が減速から後退へと悪化する恐れがあるとして、以前に景気後退予測を35%に引き上げた経緯に触れつつ、『私たち自身の予測はまだこの議論のより楽観的な側面を取っている』と指摘。インフレが長期化すればするほど、市場の景気後退懸念を抑えることが困難になるといい、『景気後退リスクに対する恐怖の高まりは、米国の政策金利設定を2023年初頭から26年初頭にかけて可能性がある。たとえそうであっても、労働市場に対するよりタカ派的な見方が正しければ、市場はさらに大幅に調整する必要がある。』との見方を示した。リポートでは、『インフレ率が低下することを確信するために、FRBが失業率を5~6%まで上昇させる必要がある場合、我々の単純なベンチマークでは、S&P500種株価指数は2900~3375レンジ、5年債利回りは4.5~5.4%のゾーンに入る』とみている。

 

FRBは長期にわたり高金利維持へ:CNBCが実施した調査

連邦準備制度理事会(FRB)は本日20日から21日にかけ2日間にわたり連邦公開市場委員会(FOMC)を開催している。FOMCを控えて、35人のエコノミストやヘッジファンドマネジャー、マネーマネジャーなどを対象にしてCNBCが実施した調査によると、市場参加者の平均予想では、FRBがFOMCで3会合連続で政策金利であるFF金利誘導目標を0.75%引上げ、3.00%-3.25%にすることを想定している。平均の金利ピークは2023年3月に4.26%に達したのち、FRBはこの水準で金利を11カ月据え置くと見ている。利上げ打ち止め後の軌道の見解は分かれる。最短で3カ月維持、長期では最大で2年間維持するとの見方もあった。さらに、今後、12カ月間で景気後退入りする確率は52%、前月から大きな動きは見られず。市場参加者はFRBが金融政策を引き締め域に達成させ、かなりの期間、その水準を維持させるとのFRBの計画を織り込み始めた。当初はFRBが来年初めにも、速やかに利下げに転じるとの見通しを示していた。
57%の回答者はFRBが過剰に金融引き締め、景気後退を招くと主張。緩やかな景気減速に留まるとの回答は26%にとどまった。FRBの利上げが行き過ぎると警戒している兆候が明らかになりつつある。

 

欧米市場イベント

○16:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○17:00   8月南アフリカCPI(予想:前月比0.1%/前年比7.5%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○23:00   8月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲2.3%/年率換算470万件)
○23:30   EIA週間在庫統計
○22日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:3.00-3.25%に引き上げ)
○22日03:00   FOMC、経済・金利見通し発表
○22日03:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○22日06:30   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:13.75%で据え置き)
○バイデン米大統領、国連総会で一般討論演説
○英中銀金融政策委員会(MPC)

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