FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:自立反発を期待した買いが優勢

前日の米国市場では主要3指数が下落したが、前日の日本株の大幅安は下げ過ぎとの見方から、自立反発を期待した買いが優勢になった。円安や新型コロナウイルスの新規感染者の減少傾向なども支えになった。値上がり銘柄は約8割と、幅広く買われた。円安基調を支えに自動車関連や機械、電子部品などが堅調だったほか、新型コロナの新規感染者数の減少傾向を受けて、空輸や陸運、旅行関連、不動産といったオープン(経済再開)関連株も物色された。結局、前営業日比316円高の2万8195円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利の低下で全般ドル売り優勢

ドル/円は、米長期金利低下がドル売りを誘い、138.40円台へ下落した。このところ上昇基調が続いていたため、利益確定のドル売り・円買いが入りやすい面もあった。ただ、日経平均株価の反発でリスク選好が高まっていることから、ドル売り・円買いは続かず、138.60円付近へ値を戻した。午後のドル/円は、米長期金利が3.06%台へ低下すると、ドル売りが強まって一時138.35円付近まで軟化した。しかし、前日のNY市場で付けた安値138.40円台を中心とする狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.000ドル前後で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

英国の物価高騰はまた序の口:来年前半には前年比+20%も視野に

物価高騰が続く英国では10月からエネルギー料金の上限金額が一段と引き上げられ、来年以降も一段の引き上げが予想される。そこから試算すると、7月に40年振りに2桁台に乗せた英国の消費者物価は、来年初頭に向けて一段と上昇が加速し、前年比+20%近くに達する可能性がある。次期首相就任が確実視されるトラス外相は、BOEの政策対応の遅れがインフレ加速を招いたとの批判を繰り返している。エネルギー価格の一段の高騰に加えて、インフレ抑制に向けた次期政権からの政治的な圧力が高まることもあり、BOEは今後も積極的な利上げを継続するだろう。

 

商品のソフトパッチはエントリーポイント:ゴールドマン

ゴールドマン・サックスは29日付リポートで、コモディティ(商品)のソフトパッチ(一時的な鈍化局面)は、優れたエントリーポイントだと指摘している。原油や石油製品、アルミニウム、小麦、トウモロコシなど年初来の最高値を大幅に下回り、フォワードカーブ(先物曲線)が弱くなるなど、景気後退の過剰懸念が引き続き商品市場を支配しているとしつつ、『我々の見解では、コモディティは他のどの資産クラスよりも景気後退の価格付けをしている。それに反して、我々とは今後12ヵ月間に欧州以外で景気後退に陥るリスクは比較的低いと見ている。旅行ブームによる堅調なサービス部門とは対照的に、製造業に弱さがあるものの、減速はあるが縮小はないことをマクロデータは示している』とも指摘した。高インフレ対策として早期に利上げを実施した国で、未だ景気後退に陥っている国がないことに注目していた。リポートでは、『コモディティは、景気サイクルの好機に所有するための最良の資産だ。資産横断的な観点からは、インフレ率が上昇した続け、米FRBがタカ派サプライズする可能性が高いため、株式市場は打撃を受ける可能性がある。一方、需要が供給を上回ったままであるサイクル後期の段階では、コモディティが所有するうえで最適な資産クラスであると』との見解を示した。

 

トルコの7月貿易収支は赤字幅が過去最大を記録

本日はトルコが戦勝記念日で祝日ということもあり、リラの流動性が薄まることが予想される。リラ/円はドル/円に追随する展開が続きそうである。また、米金利の先高観が強まり、昨日は原油先物も大きく値を上げたことから、トルコ勢不在のなかでドル/リラも神経質に動きそうである。昨日発表されたトルコの7月貿易収支は赤字幅が106.9億ドルと過去最大の赤字を記録した。前年比では輸入が約41%増と、やはりエネルギー価格の上昇が大きく影響している。一方、輸出は前年比で約13%超の増加に留まった。指標結果を受けてもリラ相場の反応は鈍かったが、リラにとって重しとなるのは確かである。8月も状況的に赤字幅が改善できているとは思えず、実需のリラ売りドル買いは断続的に持ち込まれそうである。

 

南アの国内情勢も電力や雇用の問題がランドの重し

世界各国で景気低迷の可能性が高まっていることで、新興国通貨に資金が集まるのが当面は難しい。また、南アの国内情勢も電力や雇用の問題を抱えていることも重しになりそうである。なお、南アでは毎月第1水曜日に燃料価格の基準が発表されるが、9月は小幅に価格が下落するとの予想になっている。

 

メキシコでは2036年のオリンピック招致を模索

メキシコが2036年開催予定の夏季オリンピック招致に向けて動きだした。一部報道によるとメキシコ・オリンピック委員会(MOC)は招致の実現可能性について国際オリンピック委員会(IOC)と協議を開始したと伝わっている。開催都市の候補として挙がっているのがメキシコ・シティやグアダラハラ、モンテレイなど。これらの3都市は2026年サッカーW杯(米国、カナダ、メキシコの3カ国共催)の開催都市としてもすでに決定している。近年ではこうした世界的なスポーツイベントの開催に関して、費用対効果の面から否定的な意見が伝わることもあるが、サッカーW杯に続いて夏季オリンピックの開催が決定すれば、メキシコ国内のインフラ投資に加えて国内需要の盛り上がりも期待できる。

 

米FRBがさらにタカ派に足を踏み込むことはない

JPモリガンは30日付リポートで経済活動面において、購買担当者景気指数(PMI)の先行指標とみるインフレの影響を加味し、現金と現金通貨を合わせた『実質のM1』が欧州でエネルギー高によって圧力にさらされていることから、PMIの悪化が見込まれると指摘した。ただし、PMIの悪化が『株式市場にとって問題となるかと言えば、必ずしもそうではない見解は今後も続きそうだと考えている。たとえば、先週の米国では、非常に弱いPMIと弱い住宅データフローが、その日の有利な株式取引によって満たされ、この呼びかけを支援している』との見解を示した。政策面においては、ジャクソンホール会議でパウエル議長のメッセージは依然としてタカ派であることが示され、『これは最近のリスク回避の動きの背後に隠されたものだったが、ここからさらに足を踏み入れることはないと考えている。米FRBによる大規模な利上げは9月が最後であり、その後はFRBのスタンスがよりバランスのとれたものになると思われる』との見方を示した。

 

米国指標で底堅さを示すと利上げ強化の警戒感に

今週の米国では重要な経済指標が相次ぐ。米国では7-8月にかけて資源高の一服や株価の反発があり、最新指標は底堅さを示す可能性がある。最新8月指標では30日の消費者信頼感、31日のADP雇用統計、9月1日のISM製造業景況指数、2日の雇用統計などで打たれ強さが注目されやすい。もっとも米指標が底堅さを示すと、改めてFRBの利上げ強化と長期化が意識される。そのため米指標が予想を上回った場合、初期反応としてのドル高のあと、2次反応としては米長期金利の上げ渋り(先行きの景気悪化懸念など)と米株安へと作用する。為替相場では、ドル安とリスク回避の円高に振れる余地も残されている。反対に市場予想を下回った場合は、米国景気の悪化懸念と過度な利上げ警戒の緩和がドル安を促す。その場合は米国株を支援し、クロス円では円高抑制や円安・外貨高となる可能性も無視できない。

 

欧米市場イベント

○16:00   8月スイスKOF景気先行指数(予想:89.0)
○17:30   7月英消費者信用残高(予想:15億ポンド)
○17:30   7月英マネーサプライM4
○18:00   8月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:98.0)
○18:00   8月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲24.9)
○20:00   7月メキシコ失業率(季節調整前、予想:3.50%)
○21:00   8月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比7.8%)
○21:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○21:30   4-6月期カナダ経常収支(予想:66.0億カナダドルの黒字)
○22:00   6月米住宅価格指数(予想:前月比0.8%)
       4-6月期米住宅価格指数
○22:00   6月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比19.5%)
○23:00   8月米消費者信頼感指数(予想:97.9)
○24:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○31日01:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁、ウンシュ・ベルギー中銀総裁、ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○トルコ(戦勝記念日)、休場

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