FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価大幅反落:前週末の米国株安を嫌気して売り先行

注目された経済シンポジウム(ジャクソンホール会合)におけるパウエル議長の会見は、金融引き締めに対する懸念を再び大きくする内容となり、26日の米国株式市場は主要株価3指数が軒並み3%を超える下げを記録した。それを嫌気して日経平均株価も全面安となり2万8000円を割り込む展開になった。ただ、前場中盤から値ごろ感や、2万8000円割れの水準は割安との見方から買いも入りだし、全体的に下げ渋ったものの、NYダウ先物が軟調に推移したことが上値を圧迫する要因となり、一気に戻すような勢いは感じられなかった。結局、前週末比762円安の2万7878円と、10日以来およそ3週間ぶりの安値を終えた。下げ幅は一時850円を超えた。

 

東京外国為替市場:米長期金利上昇で全般ドル買い強まる

ドル/円は、先週行われたパウエル米FRB議長の講演がタカ派的な内容となったことで、日米金融政策の違いを意識したドル買い・円売りが先行し、137円台後半から138円台前半へ水準を切り上げた。米長期金利が大幅に上昇したことも、ドルの押し上げ要因になった。米金利先高観が強まる中で、海外投機筋などがドル買い・円売りを持ち込み、138.65円付近へ上昇した。本日のスポット応当日は月末にあたり、仲値に向けて本邦輸入勢のドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれたことも、ドル/円の上昇につながった。午後のドル/円は、米長期金利が3.12%台へ上昇すると、さらにドル高・円安が加速して一時139.00円まで上伸、7月15日以来の高値を更新した。その後は、急ピッチの上昇に対する警戒感から、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて138.80円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、米長期金利の上昇を眺めたユーロ売り・ドル買いが優勢となり、一時0.9915ドル付近へ軟化した。

 

ドル買い比率が2ヵ月半ぶり低水準:前週のFX概況

QUICKが29日に算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、『ドル/円』取引で総建玉に占めるドル買いの比率は26日時点で58.4%だった。前の週末から0.9ポイント低下し、6月中旬以来およそ2ヵ月半ぶりの低水準となった。前週は週末にかけて円相場が1ドル=137円台後半と約1ヵ月ぶり安値まで下げの勢いを強め、相場の流れに逆らう『逆張り』戦略を取る傾向が強い個人投資家は円売り・ドル買いの持ち高解消に動いた。『豪ドル/円』取引での豪ドル買い比率は前の週末から4.2ポイント低下の51.8%だった。一方、『ユーロ/円』取引でのユーロ買い比率は37.4%と0.5ポイント上昇した。『ポンド・円』取引ではポンド買い比率が0.8ポイント高い62.3%と、5月中旬以来およそ3ヵ月半ぶりの高水準となった。

 

トルコの経済指標から経済状況を探る展開

今週のトルコ経済指標は7月貿易収支から始まり、4-6月期国内総生産(GDP)、8月製造業PMIがある。主要な貿易相手である欧州の景気低迷が懸念されるなか、輸出の伸びが鈍ることは避けられそうになく、くわえてリラ安で輸入額が拡大した。まずは、貿易赤字がどの程度まで増加するのかがポイントになる。GDPについてはプラス幅縮小の度合い、製造業PMIは景況感悪化の程度を確かめることになる。なお、先週はアデエモ米財務副長官がトルコ産業・起業家協会(TUSIAD)に、米が制裁を科しているロシアの団体・個人との関係について書簡で警告したことが報じられた。トルコ企業が制裁対象と関係を築いた場合、それら企業も制裁を受けるリスクがあるとされた。

 

南アランドの買い要因と売り要因

今週も、ランドは好悪の両材料の綱引き相場となりそうである。ランドの買い要因としては先週発表されたCPIが前年比で13年ぶりの高水準となったことで、引き続き南アフリカ準備銀行(SARB)と日銀の金融政策の方向性の違いが支えとなる。CPI発表後、シャジバナ南ア副総裁は『金融政策委員会(MPC)の四半期予測モデル(QPM)は、レポ金利が2023年に平均6.5%になると予測している』と述べ、金利が低下し始めた2020年1月と同じレベルになると述べている。また、2024 年にはさらに6.75%まで上昇すると予測している。ランドの売り要因としては、上述のように世界的な景気停滞懸念が拭い去れないことである。欧州だけでなく中国も景気低迷の可能性が高まっていることもあり、新興国通貨に資金が集まりにくい状況は変わらない。また、労使交渉の行き詰まり、電力の負荷制限などが引き続き重しになる。 

 

メキシコ銀行は今後の経済情勢を見極めながらの利上げ幅調整

メキシコ銀行(中央銀行)は、8月11日開催分の政策決定会合議事要旨を公表した。『政策金利の調整幅に関する次回の決定については全般的な経済環境に基づいて評価する方針を新たに付け加えた』としており、今後の経済情勢を見極めながら決定していく姿勢を強調した。ただ、メキシコ中銀は次回の政策決定会合(9月29日)における利上げ幅に関して、『今後の経済情勢次第』という姿勢を強調しているが、市場では足もとのインフレ高進を受けて『75bpの利上げを行う可能性が高まってきた』との見方が広がりつつある。大規模緩和策を継続する日銀との金融政策の違いは明らかであり、今後も継続的な円売り・ペソ買い材料となりそうである。



 

今週は米8月ISM製造業指数と米8月雇用統計が注目される

今週は、全米の製造業活動を示す8月ISM(米供給管理協会)製造業景況指数が注目される。参考となる7月実績は52.8で6月実績を下回っており、2020年6月以来の低水準だった。過剰在庫と過去最長のリードタイム継続への懸念が高まっており、新規受注率は低下する可能性あるとみられている。一方、雇用はまずまず。8月については、新規受注が7月実績を下回る可能性あることから、全体の指数は7月実績をやや下回る可能性がある。特に8月雇用統計が注目されるが、再び労働市場のひっ迫を証明する結果となった場合、FRBによる積極的な利上げが正当化されるため、金利先高観がドルの支援材料になる。失業率は7月に続き3.5%と50年ぶりの低水準で推移する見込みである。

 

米FRBの高速利上げで『住宅バブル』崩壊のリスクも

新型コロナウイルス禍が生んだ米国の『住宅バブル』が米FRBによる異例の高速利上げの影響で変調を来している。7月の住宅販売件数は中古・新築とも大きく減少し、米金融市場では住宅ローン担保証券(MBS)が値下がりしている。2008年のリーマン・ショック時と環境は異なるが、『住宅』が金融システムの急所であることに変わりはない。住宅ローンの組成や証券化を手掛ける米ファースト・ギャランティー・モーゲージ(FGMC)が6月30日、米破産裁判所に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し経営破綻した。金利上昇で住宅ローンの借り換え需要が急減し、在庫として抱えるローンの価値も大きく目減りした。

 

欧米市場イベント

○15:00   4-6月期スウェーデン国内総生産(GDP、予想:前期比1.4%)
○16:00   7月トルコ貿易収支(予想:106.0億ドルの赤字)
○22:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○30日03:15   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)副議長、あいさつ
○英国(サマーバンクホリデー)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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