FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:イベント控え積極的な売買は見送り

米中貿易摩擦が激化するとの警戒感から利益確定売りなどが優勢となった。その後は為替相場の落ち着きや上海総合株価指数が上昇したことを高官して主力株の一角に押し目買いが入り、下げが一服した。ただ、米8月ISM製造業景況指数の発表を控えていることや、5日米国・カナダによる北米自由貿易協定(NAFTA)見直し再協議が予定されるなどで投資家は様子見ムードが強く積極的な買いは見送られた。結局、前日比10円安の2万2696円と小幅4日続落で終了した。

 

東京外国為替市場:アジア市場では111円を挟んだ展開

ドル/円は、トランプ米政権の保護主義的な通商政策に対する警戒感や日経平均株価の下げ幅が100円付近に接近したことが嫌気され、111円台を割り込み、一時110.90円近辺まで下落した。しかし、前日のアジア市場で付けた安値110.85円が意識されると下げは一服した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら111.10円台中心とした狭いレンジでのもみ合いが続いた。休み明けとなる米国市場の動向を見極めたいとの雰囲気から売買は閑散だった。ユーロ/ドルは、ポジション調整などのユーロ売り・ドル買いが午前中で一巡したため、1.16ドル台前半で小動きとなった。

 

米国と中国による輸入関税欧州の行方に注目

前週にはトランプ米大統領が対中国制裁『第3弾2000億ドル(約22兆円)分』の高関税措置について、9月6日に公聴手続きの期間を終え次第、すぐに発動を表明する意向が明らかになった。6日にかけては実際の発動警戒が、日米の株安やリスク回避の円高要因として警戒される。ただし前週末以降、中国からは新たな対抗措置の威嚇けん制は見られていない。反対に米国が強く要請している中国人民元の下落歯止めについては、前週から中国当局は遵守させている。米国の追加関税実施でも中国が追加報復の様子見を保ったり、米国が中国による人民元安定化の努力を評価する形で、関税実施を段階的な発動にとどめると、追加関税『一旦の出尽くし』とあいまってリスク選好の展開を招く可能性も残る。

 

英国のEU離脱手法を巡る懸念が継続

英国のEU離脱に向けた会合が8月31日に開催されたが、離脱協定の合意目標とする10月18日のEU首脳会議が迫るなか、最大の難関となっている『将来の英EUの陸上境界となる英国とアイルランドの国境問題』で溝が埋まらなかった。10月にかけては英国のEU離脱に関する手法の協議を巡り、ポンドは一喜一憂の不安定さが継続する。キング前英中銀総裁は『ブレグジットには安楽な境遇はないかもしれないが、世界の終わりになるわけではない』と楽観的な見方を示していた。そして、2018年8月『合意が無い方が悪い合意よりもまし』という持論のメイ英首相は、『合意無き離脱でも、世界の終わりというわけではない』と述べた。そして、持論でもある第2回国民投票の可能性を再び否定している。

 

米国とカナダのNAFTA再交渉の行方に注目

合意期限であった前週末には、乳製品に関するカナダの農業分野の市場開放や協定加盟国間の紛争処理手続きを巡って溝が埋まらなかった。9月5日に再協議となるが、5日に向けては合意困難の観測が広がるとカナダ・ドル安やリスク回避の円高、歩み寄りの期待感が出てくるとカナダ・ドル高やリスク選好の円安が支援されやすい。トランプ米大統領の最終判断は予測不能ながら、米議会は8月31日、カナダ抜きの新協定の承認は難しいと警告した。そのうえでメキシコのみとの2国間協定の承認には、野党・民主党の支持が必要になるとの見方を示している。そのために、メキシコとは一定の歩み寄りが見られている。しかし、カナダとの交渉が決裂すると、メキシコとの2国間合意も米議会の反対で進展が阻まれてしまう。反対に交渉決裂の場合、短期的な日米の株安と円高加速が警戒されるが、円高と同時に対円以外で『安全逃避のドル高』が後押しされやすい。ドル/円は短期的にドル安に振れても、他通貨に対してのドル高がドル/円でのドル下落幅を抑制させる。

 

米国市場では8月ISM製造業景況指数が公表

7月実績は58.1で6月の60.2から低下した。輸入関税が供給額を圧迫する兆候が見られている。7月の新規受注指数は60.2で6月の63.5から低下した。8月については、関税の影響で輸出が圧迫される可能性があることや、投入価格の上昇などが予想されることから、聖慈雨行景況指数は年末にかけてやや低下する可能性がある。

 

欧米イベント

○16:15   8月スイスCPI(予想:前月比横ばい)
○17:30   8月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:55.0)
○18:00   7月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比3.9%)
○18:30   4-6月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比年率0.6%/前年同期比1.0%)
○18:30   ロウRBA総裁、あいさつ
○21:15   カーニー・イングランド銀行(BOE)総裁、ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、テンレイロMPC委員、サンダース英MPC委員、講演
○22:45   8月米製造業PMI改定値(予想:54.5)
○23:00   7月米建設支出(予想:前月比0.5%)
○23:00   8月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:57.7)

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