FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:戻り待ちなどの売りが優勢に

前日の米国株式市場でハイテク株を中心に売られた流れが日本株にも波及した。前日に低調な決算を発表した東エレクなど指数寄与度の大きい銘柄の下げが目立ち、日経平均も一時2万8000円を割り込んだ。前日の米国株市場では、米エヌビディアが業績予想を下方修正したことで、主要な半導体銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が1.6%下落した。前日に発表した決算内容が嫌気された東エレクやソフトバンク(SBG)などの主力株に売りが出た。日経平均は8日に約4ヵ月ぶりの高値で終えており、戻り待ちなどが優勢になった。結局、前営業日比249円安の2万7999円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:135円近辺で様子見ムード強い展開

ドル/円は、米長期金利低下を眺めたドル売りが入り、一時134.67円付近まで下落した。お盆休みを前に、本邦輸出勢のドル売り・円買いが観測されたことも、ドル/円の押し下げ要因となった。しかし、下値では日米金融政策のスタンスの違いを意識したドル買い・円売りも見られ、134.90円付近へ値を切り返した。午後は、日経平均株価や米長期金利のを睨みながら、134.90円台を中心とする狭いレンジで取引された。10日に発表される7月米消費者物価指数(CPI)のイベント控え、様子見ムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.0195ドル前後で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

顧客が米国株を6週連続買い越し:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズの9日付の顧客フローによると、同社の顧客は1~5日の1週間に米国株を25億7100万ドル買い越した。6週連続の買い越しとなる。この週は5日に発表された米雇用統計で非農業部門の新規雇用者数(NFP)が市場予想を上回る中、S&P500指数が週間で0.36%高となって3週連続で上昇した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が12億7000万どるの売り越しで、3週ぶりの売り越しとなった。機関投資家は9億8300万ドルの買い越しで、2週連続の買い越しだった。個人投資家は5億1400万ドルの買い越しで、6週連続の買い越しとなった。企業の自社株買いは23億4400万ドルで4週移動平均(9億7200万ドル)の2倍超に膨らんだ。傾向としては機関投資家と自社株買いが買いをけん引した一方、上昇相場が続く中でHFが売り越しに転じた。セクターでは11のうち4セクターが売り越しの一方で、7セクターが買い越しとなった。なかでも情報通信(33億2500万ドル)は08年から同社が統計を取り始めて以降で最大の買い越しを記録した。

 

ロシアがトルコの銀行を通して制裁逃れ警戒感強い

エルドアン・トルコ大統領は先週5日、ロシアのソチを訪れて同国のプーチン大統領と4時間にわたり会談した。報道では『エネルギーや貿易分野において協力拡大で合意した』とされている。欧米が懸念しているのは、国際的な決済システムから外されたロシアが、トルコの銀行を通して制裁から逃れる道を見つけることである。先週のトルコ露首脳会談ではリラとルーブルの決済拡大についても話し合われたと伝わったことも、西側の警戒感を強めている。英ファイナンシャル・タイムズ紙は、トルコがロシアの制裁逃れに手を貸していると判断された場合、西側各国は自国の銀行や企業にトルコから撤退を求める可能性があるとする欧州連合(EU)高官の話を報じた。

 

メキシコは7月消費者物価指数(CPI)に注目

消費者物価指数(CPI)と金融政策発表という重要指標が控えているが、基本的にはペソにとってマイナス材料となる可能性は低く、順当にいけば金利先高期待からのペソ買いを期待したいところである。まず、CPIについては21年ぶりとなる8%台に乗せることが想定されており、すでに中銀の四半期目標は超えている状況であり、この結果によって週後半に予定されているメキシコ中銀の金融政策決定会合での利上げ期待につながることになる。メキシコ中銀は2会合連続で0.75%の異例の大幅利上げを実施するとの予想が大勢となっており、声明にて今後も同ペースの利上げが実施されるかどうかの姿勢を窺うことになりそうである。また、ここ最近は全会一致での利上げ決定したが、ハト派とされるヒース副総裁やエスキベル副総裁が利上げ幅を縮めてくるかどうかにも注意が必要である。

 

米国務長官が南アを訪問:通商問題について協議

南ア国内情勢としては、昨日ブリンケン米国務長官が南アを訪問している。トランプ政権はアフリカを軽視した政策をとっていたことで、米国の国務長官のアフリカ諸国歴訪は2015年以来となる。パンドール国際関係・協力大臣はブリンケン氏に対して『米国は南アフリカからの鉄鋼とアルミニウムへの関税を再検討する必要がある』と語るなど通商問題についても話し合いが持たれた。

 

米インフレ抑制法案もFRBの大幅利上げ正当化する可能性も 

米民主党は困難と見られていた環境対策を盛り込んだ4300億ドル規模のインフレ抑制法案で可決し、成立の見込みがたった。これまで、増税などに反対姿勢を示していたマンチン議員やシネマ議員が支持に回った。3カ月後に迫った中間選挙にむけてバイデン大統領が就任以降、目標ととしていた環境、経済対策が成立することになる。
二酸化炭素排出量を削減、消費者をグリーンエネルギーに移行させるなど環境変化問題への対処に3000億ドル超費やすほか、ヘルスケアのカバーを拡大し、高齢者の処方薬コストを削減する。資源として、大企業に対する15%の最低税率を課すほか、企業の自社株買いに1%課税、国税庁(IRS)要員を大幅増員し富裕層への課税の執行厳格化で財政赤字縮小を目指すという。

 

米国債の入札で需要動向が米債金利とドルの行方を左右

米国債市場では今週、四半期定例の大型入札が予定されている。日程は9日に3年債、10日に10年債、11日に30年債という予定だ。米国内外の投資家から一定の需要増が見られると、米国債価格の上昇と米債金利の低下へと作用する。ドルは下落の要因となる。現状段階での米国債投資のプラス面としては、米国のインフレ上昇ピークアウト観測や、世界不透明感の中での根強い安全逃避需要、一定の金利上昇による金利面での妙味などがある。反対にインフレ高止まりの長期化懸念やFRBの利上げ継続観測(米債価格には打撃)などにより、入札で需要が低調となる可能性も消えていない。その場合は米債価格の下落と米債金利の上昇、ドル高の要因となってくる。

 

欧米市場イベント

○20:00   7月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比8.13%)
○21:00   7月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比10.10%)
○21:30   4-6月期米非農業部門労働生産性・速報値(予想:前期比▲4.7%)
○21:30   4-6月期米単位労働コスト・速報値(予想:前期比年率9.5%)
○10日02:00   米財務省、3年債入札
○南アフリカ(女性の日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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