FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価はリスク回避の動きから売りが優勢に

前週末のNYダウの小幅続落を受けて寄り付きから下げて始まった。また、為替相場の円高が中国株の続落を嫌気した売りが優勢となり、下げ幅が拡大した。その後も、トランプ米政権による保護主義的な通商政策に対する警戒感から積極的な買いは見送られた。結局、前週末比157円安の2万27078円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株下落を横目に円買い優勢

ドル/円は、日経平均株価の下落が100円を超えたことや中国株安を背景にドル売り・円買いが進み、一時110.91円付近まで下落した。北米自由貿易協定(NAFTA)を巡る米国とカナダの協議が難航していることも、リスク回避の円買いを誘った。午後もこの流れは続き、日経平均株価の一段安をながめて110.85円付近まで下落した。しかし、31日の海外市場でつけた安値110.69円が視野入りすると下げ渋り、110.90円前後でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、31日の海外時間に下落した反動から利益確定やポジション調整のユーロ買い・ドル売りが入り一時1.1615ドル付近までじり高となった。

 

今回のガソリン販売量は増加:好天が続いた結果

高値にもかかわらず今夏のガソリン販売量は増加した。好天が続き自動車を使った外出機会が増えたことによる。記録的な猛暑でカーエアコンの稼動が高まったことも消費を押し上げたと見られる。石油連盟の資料を基に推計した国内出荷量(7月1日から8月25日までの合計)は約828万キロリットルだった。前年同期を3%上回った。自動車の燃費の改善やエコカーの増加でガソリンの内需は年々縮小している。2017年夏は前年の水準を割り込んでいた。

 

海外投資家の日本株売りはリーマンショックを抜く

東京証券取引所の投資部門別売買状況によると、2018年年初から8月3週までの海外勢による日本株現物の売買額は差し引き3兆8511億円の売り越しとなった。統計を開始した1982年以降ではリーマンショックの08年を抜き、世界的に株価が急落したブラックマンデーの87年に記録した7兆1928円に次ぐ売越額となった。東証1部全体の値動きを示すTOPIXの年初来パフォーマンスは、28日時点でマイナス4.7%となった。

 

アジア通貨危機の状況に似てきた

1997~98年のアジア通貨危機と状況が似てきた。97年7月のタイ・バーツ急落を発端に、東南アジアや韓国に通貨安が波及したアジア通貨危機がある。当時も米国経済は4%台の高い成長が続き、先進国の中でも突出していた。米国の『強いドル』政策も加わり、ドル指数は95年春を底に右肩上がりで上昇した。対外債務に依存していたアジア各国の通貨はヘッジファンドの空売り攻勢を浴びて急落した。海外からの資金流入が止まり経済は崩壊した。今回もFRBによる利上げ継続を受けてドルが上昇し、新興国通貨には売り圧力がかかる。トルコ・リラ、アルゼンチン・ペソの年初来の下落率は約40%に達する。ともに経常収支の赤字が拡大傾向にあるうえ、対外債務の9割前後が外貨建てという脆弱さを抱える。国内政治が混乱し、経済政策への信頼性が低下している点も売られる要因となっている。

 

リーマン危機以降の米国の変化

リーマン・ブラザーズ破綻後の10年間で、米国はどう変わったのか。FRBの金融緩和により株式や債券といった金融資産の価格が大きく押し上げられたのに対し、実体経済の改善度合いは見劣りする。家計の抱える債務の額がリーマン危機時を上回るなど、新たな不安の種も浮上してきた。NYダウは10年間で2.3倍、ハイテク主体のナスダック総合指数は3.6倍になった。中央銀行が放出した緩和マネーがアップルやアマゾン・ドット・コムをはじめとする主力銘柄に勢い良く流れ込んだ。米国債の利回りも低下(価格は上昇)した。一方、米国実質国内総生産(GDP)の増加率は4割に満たない。税制改革の効果もあり足元の景気こそ個人消費を中心に好調だが、失業率の低下にもかかわらず賃金の伸びは鈍く、物価上昇圧力が高まってこない。住宅販売も昨年秋ごろをピークに伸び悩んでいる。住宅市況が悪化すれば膨らんだ家計債務の返済が滞りかねない。戦後最長の景気拡大をうかがう米国ではあるが、次の危機の芽も見え隠れし始めている。

 

欧米イベント

○16:00   8月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比2.23%/前年比17.60%)
○16:15   7月スイス小売売上高
○16:30   8月スイスSVME購買部協会景気指数(予想:60.8)
○16:50   8月仏製造業PMI改定値(予想:53.7)
○16:55   8月独製造業PMI改定値(予想:56.1)
○17:00   8月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:54.6)
○17:30   8月英製造業PMI(予想:53.8)
○4日03:00   8月ブラジル貿易収支(予想:40億ドルの黒字)
○米国、カナダ(レーバーデー)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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