FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:2万6000円割れでは割安感から買い優勢に

前週末の米国株式市場の上昇を好感した格好となり、買い優勢でスタートした。ただ、買い一巡後は米株先物が軟調に推移したこともあって、日経平均は値を消す展開になった。それでも、下値では割安感から買いが入り、中盤からは持ち直す動きとなった。市場では、『2万6000円を下回る水準では買いが入ることが確認できた』との声が聞かれた。本日は独立記念日で米国市場が休場となるため、徐々に様子見姿勢が広がり値動きが乏しくなった。結局、前営業日比218円高の2万6153円と4営業日ぶりに反発した。

 

東京外国為替市場:ドルの押し目買いから135円台へ回復

ドル/円は、最近発表された米経済指標が低調で、米景気減速を警戒したドル売り・円買いが先行し、135円を割り込んで134.79円付近まで下落した。ただ、1日の東京市場でつけた安値134.75円に接近すると下げは一服した。その後は、日米金融政策のスタンスの違いを意識したドルの押し目買いが入り、135.00円付近へ値を戻した。午後は、日経平均株価の底堅い動きや米株価指数先物の下げ渋りを眺めたドル買い・円売りが持ち込まれ、135.30円付近へじり高となった。ただ、本日は独立記念日で米国市場が休場となるため、積極的な上値追いは手控えられた。ユーロ/ドルは、この後に参入してくる欧州勢の動向を見極めたいとの雰囲気から1.043ドル前後で終始した。

 

GPIFの日本株比率低下で買いが必要:SMBC日経証券

1日に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が21年度の業務概況書を公表したことを受け、SMBC日興証券は1日付のクオンツリポートで『足もとの円安で日本株構成比は24%程度まで低下しているもよう』との見解を示した。リポートでは、GPIFの3月末時点の運用資産合計は202.2兆円(年金特別会計積立金約5.6兆円を含む)で、このうち日本株は49.5兆円、日本株比率は24.49%だったとしながら、『基本ポートフォーリオにおける日本株比率は25%であり、0.51ポイントのアンダーウェイトとなっている』と指摘。その上で、6月末時点の推定日日本株比率は24.1%と指摘し、『金利上昇は債券にはネガティブだったが、円安の効果で外債の構成比が高まったこともあり、日本株の構成比が低下した』とも指摘。単純計算で、日本株構成比を25%までに高めるには、『1.8兆円程度うの買いが必要となる』とみている。

 

ドル買い比率が67.0%に上昇:前週のFX概況

QUICKが4日に算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、『ドル/円』取引の総建玉に占めるドル買いの比率は1日時点で67.0%だった。前の週末から0.5ポイント上昇した。円相場が約24年ぶりの安値を更新した後に下げ幅を縮めた局面で、相場の流れに逆らう『逆張り』傾向が強いとされる個人投資家は円売り・ドル買いに動きた。円相場は6月29日に一時1ドル=137円ちょうどと1998年9月以来の安値を付けた。その後は5月の個人消費支出(PCE)など米経済指標が市場予想よりも下振れし、米景気懸念が台頭。米金利低下につれて、円相場は週末にかけて134円台まで上昇する場面があり、個人の円売り・ドル買いが優勢になったとみられる。ドル以外の通貨に対しては円売り・外貨買いが加速している。『豪ドル/円』取引では同ドル買い比率が71.5%と前の週末から8.5ポイント上昇し、2月上旬以来およそ5ヵ月ぶりの高水準となった。『英ポンド/円』取引でもポンド買い比率は同9.9%ポイント高い59.3%とになった。世界的な景気減速懸念で円はドル以外の通貨に対して上昇しており、個人による逆張りの円売り・外貨買いが活発だった。

 

トルコの6月CPIは前年比で伸び率加速

本日発表の6月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比で78-79%近くまで伸び率加速が見込まれている。前月比も5%台まで上昇予想と、同国のインフレは悪化の一途を辿るばかりである。政府は最低賃金を引き上げて市民の不満を抑えようとしているが、物価を抑制するための効果的な措置は取ることができていない。 トルコ中銀が金融引き締めに転じることができれば雰囲気は変わるが、金利嫌いのエルドアン大統領に睨まれた中銀金融政策委員会(MPC)は全く動こうとしていない。『物価の番人』という重要な役割を捨ててしまった中央銀行が発行する通貨はやはり買いづらいままである。

 

北欧2カ国とNATO同盟国がトルコに対しての対応に注目

先週エルドアン大統領は、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟支持を表明した。ただしその後、トルコとの覚書(クルド人活動家の身柄引き渡しなど)を守らなければ、加盟の批准手続きを進めないと警告している。トルコ側の高圧的な態度に北欧2カ国やNATO同盟国がどのように対応するかが注目される。一方エルドアン大統領は、ロシアの協力で進めているトルコ南部アックユでの原発建設を今後も進めていくことを表明した。くわえて大統領はロシアとの『防衛産業上のつながり』についても言及しており、こちらもNATOからの反発を呼びそうである。

 

南アBER消費者信頼感指数の悪化傾向が鮮明に

先週発表された4-6月期の南アBER消費者信頼感指数は-25となり、ウイルス感染拡大時(2020年4-6月期)に記録した-33に次ぐ低い数字だった。ロシアのウクライナ侵攻による経済的影響、ガソリン価格の高騰、インフレ上昇、高金利、社会的苦痛救済(SRD)助成金の不払いなどが要因である。更に電力の負荷制限の水準が上がり、金利上昇やエネルギー価格の上昇もあり、今後も悪化が予想されている。その中で注目されるのがエネルギー関税の行方である。リッター1.5ランドの免税が6日まで延長されているが、7日からは0.75ランドまで引き下げられる予定となっている。南ア政府の目論見通りにはいかず、原油価格が高値安定の水準で取引されていることもあり、国内エネルギー価格の上昇とそれに伴うインフレ高進を危惧する声が高まっている。政府からの免税額の変更などがあるかにも注目である。

 

メキシコの6月CPI結果次第では金利先高観が強まる可能性も

世界的なリスク回避の流れはエマージング通貨であるメキシコペソにとってもネガティブな材料となりそうである。一方で、メキシコの景況感は依然として改善傾向にある。相対的な評価となるが、他の通貨と比較するとペソの底堅さが意識される。また、今週は注目の6月メキシコCPIが発表予定されている。市場では約21年ぶりの高水準となった4月時の前年比7.68%を上回る伸びとなることが予想されており、メキシコ銀行(中央銀行)の金利先高観がさらに高まることになる。

 

米国では4-6月期ですでに景気後退入りの可能性も

米6月製造業PMI改定値が予想外に上方修正されドル買いが一時強まったが、供給管理協会(ISM)が発表したISM製造業景況指数の6月分が予想以上に5月から低下し、パンデミックによる経済封鎖直後の2020年6月以降2年ぶり低水準となったほか、建設支出も予想外に昨年9月来のマイナスに落ち込み景気後退懸念が強まった。最近の重要インフレ指標がインフレピークアウトの兆候を示しているだけでなく、消費の落ち込みで4-6月期にすでに景気後退入りした可能性もある。米商務省と類似したモデルを使用しているアトランタ連銀の4-6月期国内総生産(GDP)見通しは現状で―1.0%と、1-3月期に続く2四半期連続マイナス成長でテクニカルリセッション予想となっている。景気の減速で、7月FOMCでは0.5%、0.25%の利上げに留まる可能性も除外できない。9月FOMCで利上げ休止の可能性も残る。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月独貿易収支(予想:27億ユーロの黒字)
○15:30   6月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%)
○16:00   6月トルコCPI(予想:前月5.38%/前年比78.35%)
○18:00   5月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比1.0%/前年比36.7%)
○23:00   ナーゲル独連銀総裁、講演
○24:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○米国(独立記念日)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ