★日経平均株価:米FRBの金融引き締めが世界景気の減速警戒感
米FRBの積極的な金融引き締めが世界景気の減速を招くとの警戒感から売りが優勢になった。値がさの半導体関連銘柄に売りが出て指数を押し上げた。FRBのパウエル議長が29日、ECB主催のシンポジウムで、インフレ抑制を重視する姿勢を示した。積極的な金融引き締めに伴う世界景気の減速懸念が広がり、前日の米国株式市場では主要な半導体銘柄で構成するフィラデルフィア反動株指数が2%超下落した。東京市場でも東エレクアドテストなどの半導体銘柄が軒並み売られた。日経平均は3月末から6月29日までに3.65%下落した。そのため、市場では、保有資産の株式比率が低下した機関投資家らのリバランス(資産配分の見直し)に伴う買いが入るとの思惑が支援材料となった。しかし、米国株先物市場の下落幅が拡大すると下げ幅が広がった。結局、前営業日比411円安の2万6393円で終了した。6月第4週(20日~24日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は1656億円売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。個人投資家は1017億円売り越しとなり、売り越しは2ぶりとなった。信託銀行は745億円の買い越しとなり、買い越しは2週連続となった。
★東京外国為替市場:持ち高調整や月末絡みのドル売りで上値重い展開
ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、136.80円付近まで上昇した。しかし、前日の海外市場でつけた24年ぶりの高値137.00円が視野に入ると上げは一服した。その後は、高値警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いが入り、136.50円台へ値を下げた。仲値にかけて本邦輸出勢から月末に絡むドル売り・円買いも多く観測された。午後に入ると、米国の景気減速を警戒したドル売り・円買いに押され、一時136.30円付近まで下落した。日経平均株価の下げ幅拡大で、リスク回避姿勢が強まったことも円買いを誘った。ユーロ/ドルは1.04ドル台半ばで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。
★仮想通貨ヘッジファンが生産手続き:スリーアローズ
暗号資産(仮想通貨)ヘッジファンドのスリーアローズ・キャピタルが清算手続きに入った。シンガポールに拠点を置くスリーアローズは仮想通貨投資家として知られていたが、ここ数カ月の仮想通貨急落局面で厳しい状況に置かれていた。仮想通貨取引仲介のボイジャー・デジタルは27日、融資の返済が履行されなかったとしてスリーアローズにデフォルト(債務不履行)を通告したと発表した。英領バージン諸島の裁判所も同日、スリーアローズに清算を命じ、コンサルティング会社テネオが清算人に任命された。
★中国成長率の2回目の見通し引き下げ:米格付け会社S&P
格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、中国の今年の成長率見通しを4.2%から3.3%に引き下げた。下方修正は5月に4.9%を4.2%として以来今年2回目。新型コロナウイルスの感染防止対策として実施されたロックダウン(都市封鎖)が想定以上に経済成長の打撃になったとみている。
★トルコ大統領が北欧2カ国のNATO加盟支持:水面下による交渉が成功
フィンランドとスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟についてエルドアン・トルコ大統領が支持を表明したことは、国際社会から好意的に受け止められている。また、北欧2カ国によるトルコ武器禁輸の解除やクルド系武装組織への支援停止を合意させたことは、トルコ国内からも認められるような結果である。くわえてエルドアン大統領と会談したバイデン米大統領は、トルコへのF16戦闘機売却の可能性を示唆したとも報じられている。戦闘機の近代化で安全保障上の問題も取り除かれることになれば、低迷していたエルドアン大統領の支持率が上向くかもしれない。ただしそれが、通貨リラにとってポジティブとは言えないところが問題である。
★南アの4-6月期BER消費者信頼感指数が低迷:景気後退の可能性も
昨日発表された4-6月期の南アBER消費者信頼感指数は-25となり、ウイルス感染拡大時(2020年4-6月期)に記録した-33に次ぐ低い記録となった。ウクライナでのロシアの侵攻による経済的影響、ガソリン価格の高騰、インフレの上昇、高金利、社会的苦痛救済(SRD)助成金の不払いなど、すべてが悪化する要因になった。更に警戒しなくてはならないのが、7月からガソリンなどの免税措置が減額になることで価格が上昇すること、南アフリカ準備銀行(SARB)の利上げも予想されていること、電力の負荷制限の水準が上がっていることなどあり、今後も悪化する可能性が高いことである。SARBと日銀の金融政策の方向性の違いがあることで、ランド/円は簡単には崩れないが、多くのエコノミストも景気後退の可能性についても言及しいるようにファンダメンタルズ面ではランド買いも難しいのではないかとも思われる。
★メキシコ大統領が来月訪米してバイデン大統領と会談
訪米を予定していたロペスオブラドール大統領だが、政府より正式に来月12日にワシントンを訪れ、バイデン米大統領と会談をすることが明らかになった。先日には米通商代表部(USTR)が、メキシコによる電力改正法案などが自由貿易協定に違反しているとの主張を強める構えを示したことで、メキシコ大統領が反発し、米州首脳会議を欠席したように急遽訪米をキャンセルするのではないかとの懸念が浮上していたが、とりあえずは予定通り行われることになった。この会談では、移民問題などが取り上げられるとのことだが、キューバを巡る米国の対応、自由貿易協定についても踏み込んだ議論がされるかどうかにも注目である。
★景気よりもインフレ高進抑制に努めることを最優先:パウエルFRB議長
連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、欧州中央銀行(ECB)がポルトガル、シントラで開催した年次フォーラムで、『FRBはインフレを2%に引き下げる』と、インフレ鈍化させることを再公約した。さらに、FRBの利上げが行き過ぎるリスクもあるが、最大リスクではないとし、最大のリスクが『物価安定を元に戻すことに失敗すること』と景気よりもインフレ高進抑制に努めることを最優先とする姿勢を再表明した。利上げが成長を減速させると見込みつつ、プラス圏であることを期待するとした。『軟着陸は可能だが、かなり困難になる』と、引き締めによる軟着陸を保証できないことを認めた。現状ではパウエル議長はパンデミックにより、家計の貯蓄率が高水準で、今後も消費が成長を助けると見ており、米国経済が強く、引き締めに耐えうると見ている。ドル高に対しては、ドル相場はFRBの責任を負うものではなく、政府の責務と指摘した。議長が期待しているほど経済が強くない可能性はリスクになる。
★状況に変化なければ7月に75bp利上げ支持:米クリーブランド連銀総裁
メスター米クリーブランド地区連銀総裁は29日、経済情勢に変化がなければ、7月の次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で75ベーシスポイント(bp)の利上げを支持するとの姿勢を示した。CNBCとのインタビューで述べた。メスター氏は、7月会合では利上げ幅を50bpにするか75bpにするかが議論されることになると指摘した。『現在の状況が会合時点でも変わらなければ、私は75bp(の利上げ)を支持するだろう。利上げ幅を50bpに戻すのに必要なインフレ面の条件が整っていないからだ』とした。
★米国市場では5月PCEコア価格指数が公表:予想は前年比+4.8%
4月実績は前年比+4.9%で序章率は鈍化した。個人消費支出はまずまず堅調だが、インフレ加速の可能性は低下しつつある。5月については、大幅な低下は期待できないものの、上昇率は4%台後半にとどまる可能性がある。
★欧米市場イベント
○15:00 5月独小売売上高(予想:前月比0.5%/前年比▲1.8%)
○15:00 5月独輸入物価指数(予想:前月比1.5%/前年比31.5%)
○15:00 1-3月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.8%/前年比8.7%)
○15:00 1-3月期英経常収支(予想:398億ポンドの赤字)
○15:00 6月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.5%)
○15:30 5月スイス小売売上高
○15:45 6月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.7%/前年比5.7%)
○15:45 5月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45 5月仏消費支出(予想:前月比0.2%)
○16:00 6月スイスKOF景気先行指数(予想:96.3)
○16:00 5月トルコ貿易収支(予想:107億ドルの赤字)
○16:30 スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:0.75%に引き上げ)
○16:55 6月独雇用統計(予想:失業率5.0%/失業者数変化▲0.60万人)
○18:00 5月ユーロ圏失業率(予想:6.8%)
○18:30 5月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比1.3%/前年比14.1%)
○21:00 5月南アフリカ貿易収支(予想:220億ランドの黒字)
○21:30 4月カナダGDP(予想:前月比0.3%/前年比4.9%)
○21:30 5月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.4%)
5月米個人所得(予想:前月比0.5%)
5月米PCEデフレーター(予想:前年比6.4%)
5月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.4%/前年比4.8%)
○21:30 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.8万件/131.0万人)
○22:45 6月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:58.0)
○石油輸出国機構(OPEC)プラス閣僚級会合(オンライン)
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