FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:値ごろ感から買い戻し優勢

前日の欧州市場での株高の流れを引き継いで反発してスタートした。景気敏感株を中心に幅広い銘柄が買い戻され、寄り付きから心理的節目2万6000円を回復した。また、米株先物が堅調な動きとなり、投資家心理を支援した。その後も上値を伸ばした。前日まで急ピッチで下げていた後で、値ごろ感が出たとみられた銘柄も買われた。売り方の買い戻しも入って、日経平均の上げ幅は600円を超える場面があった。結局、前営業日比475円高の2万6246円と3営業日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:日本株高と米長期金利上昇からドル買い優勢に

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の大場反発に支えられ、134.90円台から135.21円付近まで上昇した。米長期金利が上昇し、日米金利差が拡大したこともドルの押し上げにつながった。ただ、休場明けとなる米国市場の株価動向や経済指標を見極めたちとの雰囲気もあり、説教的な上値追いは手控えられた。その後は、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、135.00円付近へ押し戻された。午後は、日経平均株価の上げ幅拡大を睨みながら、小幅に値を上げて135.10円前後で取引された。ユーロ/ドルは、1.05ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

逆張り傾向の強い個人投資家が円売り・ドル買い持ち高増やす

QUICKが20日に算出した17日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドルの買い比率は60.5%と前の週末から4.2ポイント上昇した。前週は米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表をきっかけに、いったん材料出尽くしとして持ち高調整目的の円買い・ドル売りが入った。その後16日にはスイス国立銀行(中央銀行)が政策金利を0.50%引き上げ、17日は日銀が現状の大規模緩和策を維持する方針を示した。円相場は売り買いが交錯するなか、円買い・ドル売りが優勢となったとみられる。この場面で相場の流れに逆らう『逆張り』傾向の強い個人投資家は円売り・ドル買いの持ち高をやや増やした。『ユーロ/円』取引のユーロ買い比率は0.2ポイント下落し57.5%、『豪ドル・円』取引の豪ドル買い比率は4.2ポイント上昇の64.2%だった。

 

中国恒大の再建計画:予定通り7月までに発表

資金繰り難に陥っている中国の不動産開発大手、中国恒大集団は開示資料で、当初の予定通り7月末までに再建計画を発表すると表明した。恒大はまた、同社株の取引再開に向け、傘下の不動産管理サービス会社が複数の銀行に支払いを約束した134億元(20億ドル)について独立機関の調査を行うほか、延期していた決算発表を済ませる必要があると説明している。

 

トルコ政府が低賃金の再引き上げを検討:総選挙に向けての対策

今週は、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子の訪トルコが予定されている。それに先立ちサウジは、同国がパンデミック対策として実施していた『トルコへの渡航禁止』を解除したことが伝わった。一部メディアは先週、トルコ政府が最低賃金の再引き上げを検討していると報じた。足もとのインフレ率が73%を超え、暮らしが圧迫されている市民は不満がかなり溜まっていることが想像できる。与党・公正発展党(AKP)への支持率は低迷しており、賃金引上げは、遅くとも1年後には実施される総選挙に向けての対策である。ただし企業収益にダメージを与えることにもなり、トルコ株の伸び悩みに繋がってしまうかもしれない。

 

南アの電力問題が南ア経済の重し

南ア国内のニュースとしては、電力の負荷制限が昨日から木曜23日までステージ2の水準で行われることになっている。また、南アで計画されている巨大なガスプロジェクトにより、南アの電気料金が40%値上がりするという話が出ていることで、南アの電力問題が依然として南ア経済に大きな重しとなる。

 

22日のFRB議長の議会証言に注目

米国市場で注目されるのは、22日のパウエルFRB議長の半期に1度となる議会証言である。パウエル氏は前週15日のFOMCに続き、17日にも40年ぶりの高インフレの抑制に取り組む決意を改めて表明した。また『米金融当局による物価安定の責務達成への強いコミットメントが、価値保存手段としてのドルの幅広い信認に寄与している』と発言している。議会証言でも同様の発言が繰り返されると、引き締め継続と米債金利の上昇持続によるドルの押し目買い地合いが支援されやすい。パウエル氏による『ドルの信認維持』アピールは、米国内でのインフレ抑制に向けた基本的なドル高容認の持続も示唆するものだ(ドル高は輸入物価を押し下げ)。一方で米国ではFRBの引き締め加速と金利上昇、株安と逆資産効果(消費打撃)などにより、先行きの景気後退懸念が高まってきた。その中でパウエル氏から微妙に『景気や雇用の悪化配慮』が見られると、過度な引き締め観測が一服となる。米債金利は低下となり、ドル/円を含めて全般的なドル安の材料となる。ただし、その場合は米国株など世界の株価が上昇へと作用しやすい。リスク選好がクロス円での円安と外貨高を支援し、ドル/円でのドル安・円高の度合いが抑制される可能性もある。

 

米国市場では5月中古住宅販売件数:予想は54.1万戸

参考となる4月実績は前月比で減少したが、販売価格は上昇した。5月ついては、販売価格は高止まりが予想されるが、販売件数は引き続き伸び悩んでいることから、4月実績と差のない水準にとどまる可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:15   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○17:00   4月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○17:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○17:30   5月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比1.6%)
○21:30   4月カナダ小売売上高(予想:前月比0.8%/自動車を除く前月比0.6%)
○23:00   5月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲3.7%/年率換算540万件)
○22日01:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○22日04:30   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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