FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:短期的過熱感から利益確定売りで上げ幅は限られた

小安く寄り付いた後は、前日終値を挟んだ一進一退となった。円安進行による輸出企業などの業績改善期待と、連日の株高を受けた短期的な過熱感への警戒との綱引きになった。利益確定売りが出て上げ幅は限られた。結局、前営業日比12円高で2万8246円と5日続伸して終了した。9日発表した6月1週(30日~3日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は410億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。個人投資家は2080億円の売り越しとなり、売り越しは3週連続となった。信託銀行は863億円の売り越しとなり、売り越しは2週連続となった。

 

東京外国為替市場:急ピッチの上昇に対する警戒感からドル売り優勢に

ドル/円は、日米金融政策スタンスの違いを意識して134.56円付近まで上昇、およそ20年4ヵ月ぶりとなるドル高・円安をつける場面があった。しかし、急ピッチの上昇に対する警戒感から次第に利益確定やポジション調整のドル売り・円買いに押され、134円台前半へ水準を切り下げた。午後に入ると、米長期金利上昇一服を眺めて海外勢などがドル売り・円買いに動き、134円を割り込んで133.65円付近まで軟化した。アジア主要株価が総じて下落していることも、リスク回避の円買いを誘った。その後、明日発表される5月消費者物価指数(CPI)を控えてドルの押し目買いが入り、133.80円台へ値を戻した。ユーロ/ドルは、1.07ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場ではECB定例理事会を開催:予想は金融政策の現状維持

すでに量的緩和の縮小は織り込まれており、焦点は7月以降の連続利上げ地ならしと、7月の利上げが0.25%か0.5%となるかのメッセージである。欧州では短期的にインフレの上昇圧力に見舞われる一方、年末にかけてはロシア産原油の輸入禁止などにより、資源調達難や資源調達コストの上昇、それに伴う景気の悪化が懸念されている。今週の理事会段階では先行きの景気懸念などにより、『7月の0.5%利上げ』といった大幅利上げのヒントは明示しない可能性もある。その場合は短期調整的なユーロ安を促す。
反対に『目先は景気よりインフレ優先』という当座の積極利上げ姿勢が強調されたり、今後の利上げ長期化が示唆されると、ユーロの一段高やユーロの押し目買いが支援される可能性もある。

 

ロシアのウクライナ侵攻が世界経済の減速要因:OECD

経済協力開発機構(OECD)は8日、加盟38カ国の2022年の消費者物価指数(CPI)上昇率が、従来予想(21年12月時点)より4.3ポイント高い8.5%となるとの予想を発表した。ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギーや穀物の値上げなどが背景にあり、世界経済の減速要因となる。経済成長率は22年に3.0%、23年に2.8%と予想し、21年12月時点の数値よりそれぞれ1.5、0.4ポイント下方修正した。

 

原油価格先行観から高インフレも長期化の様相に

原油価格の先高観が一段と強まった。アラブ首長国連邦(UAE)石油相は、『原油価格のピークには程遠い』『リスクは、中国の需要回復した場合』と警告しており、原油価格の一段の上昇の可能性が強まった。中国はパンデミックの再流行を受けた経済封鎖の解除を開始したものの、まだ正常化していない。この状況下でもNY原油原油はすでに120ドル超で推移している。経済協力開発機構(OECD)が発表した2022年の中国経済見通しでは成長が4.4%と、同国目標を下回ると見ている。今後、中国経済の成長回復とともに、原油の需要が拡大した場合、原油価格が200ドル近くまで上昇する可能性も否めない。環境問題が重要視される中、供給は減少傾向にあり、夏の米国ドライブシーズンに向けさらに供給ひっ迫が警戒想される。米国の17州でガソリン価格は5ドル上回った。燃料価格は当面上昇基調と見られ、各国中銀による金融緩和解除にもかかわらず高インフレは持続すると見られる。

 

トルコが金融危機に陥る懸念高まっている:米格付け会社S&P

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のアナリストは昨日、トルコが金融危機に陥る懸念が高まっているとし、追加の資本規制導入のリスクが強まっているとの見解を示した。昨年末にトルコ当局が打ち出した『為替リンクのリラ建て定期預金』への補填も、ここまでリラ安が進むと財政への打撃は想定以上になりやすい。これまでトルコの政府債務残高は、拡大傾向とはいえ、対GDPでは42%前後と低く抑えられていた。しかしながら脆弱なファンダメンタルズの改善が見込まれないなか、今後は財政赤字の拡大は避けられそうにない。 

 

南アフリカの来月の利上げを織り込みがランドの支え

南アの金融政策委員会(MPC)は来月21日まで行われないが、多くの中銀が予想を上回る利上げを行っていることで、南アフリカ準備銀行(SARB)による来月の0.50%の利上げを市場が織り込みつつあることも、ランドの支えになっている。

 

メキシコでは国外労働者による送金は好調:製造業PMIは50回復

メキシコ銀行(中央銀行)が1日に発表した4月の国外労働者によるメキシコへの送金額は47億1810万ドルとなった。過去最高を記録した昨年10月分に迫る額となり、前年同月比で16.5%増になった。これで前年同月の水準を上回るのは24カ月連続となった。前週末に発表された5月米雇用統計は良好な米雇用環境が続いていることを示す結果となったが、 国外労働者の大半が米国に居住しているメキシコ出身の移民も大きな恩恵を得られた。また、同日に発表された5月メキシコ製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.6となり、景況改善・悪化の分水嶺となる50を上回った。節目の50回復は2020年2月以来、2年3カ月ぶり。新型コロナウイルス感染拡大前の状況を取り戻した格好となった。

 

米国の大量企業在庫はインフレ鎮静観の方向を示唆

米アーク・インベストメント・マネジメントを率いるキャシー・ウッド氏は8日、米企業が抱える大量の在庫はインフレが沈静化することを示唆していると指摘した。ウッド氏はブルームバーグテレジビョンのインタビューで、『私は長い間働いているが、このような在庫急増は見たことがない』と語り、『この在庫問題は、インフレが解消されるとする当社の見解についてわれわれが述べてきた循環的理由を裏付けている』と説明した。米主要小売業者は昨年、消費者需要の急増とサプライチェーンのボトルネックへの対応で在庫を積み増したが、現在は余剰在庫に悩まされている。ディスカウントストア大手ターゲットは7日、在庫急増を理由にこの3週間で2度目の利益見通し下方修正を発表した。投資家はインフレを懸念しているが、『それよりはるかに大きいリスクはデフレだ』とウッド氏は指摘した。米アーク・インベストメント・マネジメントを率いるキャシー・ウッド氏は、米経済が直面するリスクとしてはデフレのほうが大きいとインタビューで語った。

 

欧米市場イベント

○18:00   1-3月期南アフリカ経常収支(予想:1050億ランドの黒字)
○20:00   5月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比7.62%)
○20:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○21:00   5月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比11.84%)
○21:30   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.0万件/130.5万人)
○24:00   マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、講演
○10日02:00   米財務省、30年債入札

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