FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:中国の経済正常化期待から過度な懸念後退で買い優勢

前日の米国株式市場の上昇を受け、日本株は買い優勢でスタートした。テクニカル面では改善が目立っており強気ムードに傾斜、米株先物が小動きになっている中で、日経平均株価は上値追いの展開となった。環境面では参議院選挙が接近し政策に対する期待が高まるところで、リオープン(経済再開)銘柄に関心が集まっている。また、中国では制限緩和から経済の正常化が期待できるようになり、過度な懸念が後退していることも日本株の上昇を支える要因になった。結局、前営業日比290円高の2万8234円と4営業日続伸して終了した。終値で2万8000円を回復するのは3月30日以来となった。信用評価損益率は3日申し込み時点でマイナス11.08%と、前の週(マイナス12.4%)からマイナス幅が1.32ポイント縮小した。改善は2週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:日米金融政策スタンスの違いから円売り優勢

ドル/円は、米長期金利上昇や日経平均株価の上げ幅拡大に支えられてドル買い・円売りが進み、133.20円付近へ値を上げた。前日に黒田日銀総裁が金融緩和を粘り強く続けていく方針を改めて示したことで、日米金融政策スタンスの違いが鮮明になっていることも円売りにつながった。ただ、急ピッチの上昇に対する警戒感から上値では利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、132.90円台へ緩んだ。午後に入ると、米長期金利は節目の3%を超える水準へ上昇した。これを受けて、ドル/円は日米金利差拡大を意識したドル買い・円売りが強まり、一時133.30円付近まで上昇しておよそ20年2ヵ月ぶりの高値を更新した。ユーロ/ドルは、1.06ドル台後半で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

感染懸念後退も消費意欲はほばお変わらず:BofAセキュリティーズ

8日付リポートで、国内消費者2500人を対象に行った消費者調査の結果を公表した。同調査では前回調査から感染懸念がさらに後退し、『日本におけるコロナ危機の最悪期は脱した』と考える消費者の割合が4月の51%から5月に59%に大幅上昇した。同社の調査開始以来の高水準。感染リスク後退後も引き続きマスクを着用するとした回答社の割合は65%でほぼ横ばいだった。今後3ヵ月間の消費意欲はほぼ変わらずで、当面の短期消費を増やすとする回答者の割合は27%と、4月の28%並みだった。BofAは依然抑制された所得見通しを反映している可能性があるとの見方を示した。回答者の47%は今後1年間の所得を横ばいと見込んだ。現時点での最大の懸念事項は『価格上昇・インフレ』が引き続きトップ(27%)で、コロナ禍(21%)、防衛・国家安全保障(15%)、所得格差(14%)が続いた。足元の価格上昇に対し、消費行動がある程度変化する見通しとする回答者の割合は59%でほぼ横ばいだった。変化を見込む回答者の間では同じ製品で低価格品を購入する(トレードダウン)が最も人気の高い選択し(30%)だった。裁量支出削減を検討するとした回答者で、最も支出削減対象となりやすいのは『外食』で『趣味(旅行、外食以外)』、『旅行』が続いた。

 

ジョンソン首相は党首不信任を乗り切る:支持回復に向け財政出動を検討

英国ではジョンソン首相が6日の党首不信任をどうにか乗り切ったが、41%が不信任票を投じ、首相の求心力低下は避けられない。世論調査で保守党の劣勢が続くと、改めて保守党内からジョンソン首相の党首降ろしの動きが再燃する可能性がある。ジョンソン首相は支持回復に向けて、物価高騰による国民生活への打撃を軽減する財政出動の積み増しなどを検討するとみられる。

 

トルコのCDSは金融危機以来の水準:ロシア露外相との会談に注目

信用リスクを示すトルコ国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は、5年物が2008年の国際的な金融危機以来の水準で推移している。インフレ高騰やリラ安を見逃すような政策を取り続けるトルコ政府や中銀に対し、市場はかなり警戒感を高めている。オセアニア市場からリラ売りが先行し、対ドルでは昨年12月20日以来の安値を再び更新した。なお、チャブシオール・トルコ外相は本日、昨日からトルコ入りしているラブロフ露外務相と会談する予定である。ロシアのウクライナ侵攻により滞っている『ウクライナ穀物輸出の問題』について話し合うとされている。何らかの打開策を見つけることができれば、途上国の食糧危機が懸念されるなか、トルコの国際的なプレゼンスを高めることに繋がるかもしれない。

 

南アでは4-6月期の成長鈍化の可能性高い

昨日発表された1‐3月期の南ア国内総生産(GDP)は市場予想より上振れ、パンデミック前の水準にほぼ戻した。もっとも、4-6月期が落ち込む可能性が高いことで、市場の反応は限定的だった。4-6月期はGDPで2番目に貢献度が高い地域でもあるクワズールナタール州東部で大規模洪水が起き、企業に大きな被害を与え、国内最大の港で操業を停止したことなどの影響が懸念されている。また、国営電力会社エスコムの電力負荷制限がより多発していること、GDPの約3分の2を占める家計支出がインフレの影響で落ち込みが予想されることなど、様々な理由で4-6月期に対する不安が高まっている。

 

メキシコ大統領の米州首脳会議欠席:移民問題への対応の遅れ懸念

メキシコではロペス・オブラドール大統領が、米州首脳会議への出席を見送ると正式に発表した。大統領は以前からホスト国である米国がキューバなどを招待しなかった場合は出席しない意向を示していたが、エブラルド外相が代理で会議に出席することになった。今回の首脳会議における主要議題の一つが移民対策であったため、ロペス・オブラドール大統領が欠席することで移民問題への対応の遅れなども懸念される。

 

原油は150ドルに高騰し年内さらに上昇:トラフィグラ幹部

ロイター通信によると、世界的な資源商社・トラフィグラのジェレミー・ウィアー最高経営責任者(CEO)は7日、原油価格は近く1バレル=150ドルに達し、年内にさらに上昇して年末には需要破壊が起こる可能性があると指摘した。主要産油国のロシアによるウクライナ侵攻を背景に、北海ブレント先物は3月初旬に1バレル=140ドル近くまで上昇、2008年以来の高値を記録した。現在は120ドル前後の水準にあるが、中国での新型コロナウイルス規制の緩和で需要が拡大し、原油価格は今後押し上げられると予想されている。

 

米国の貯蓄率からは利上げは3.75%程度まで必要:SMBC日興

米国経済に関して、今後のインフレやFRBの利上げは、供給サイドと需要サイドの両面から影響を受けると考えている。供給サイドでは『求人率』が重要とみている。労働参加率が上昇しても、求人率が低下しなければ、労働需給が改善したことにはならない。需要サイドでは、貯蓄率がポイントになるとみている。利上げしても貯蓄率が上昇しなければ、消費にブレーキがかからない。貯蓄率をコロナ前の水準に戻すには、実質金利をコロナ前の0%に戻す必要があり、SMBC日興の試算ではFF金利を3.75%程度まで引き上げる必要があるとのこと。これは、現在市場が予想している3.125%より高い。今後、求人率の低下や貯蓄率の上昇がみられるかを注視していきたいと、SMBC日興ではコメントしている。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独鉱工業生産(予想:前月比1.0%/前年同月比▲2.4%)
○15:45   4月仏貿易収支(予想:122億ユーロの赤字)
○15:45   4月仏経常収支
○16:35頃   黒田東彦日銀総裁、英FTのオンラインイベントに参加
○17:30   5月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:56.6)
○18:00   1-3月期ユーロ圏GDP確定値(予想:前期比0.3%/前年比5.1%)
○18:30   5月南アフリカSACCI企業信頼感指数
○19:00   4-6月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:6.00%に引き上げ)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○23:00   4月米卸売売上高
○23:30   EIA週間在庫統計
○9日01:00   5月ロシア消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%)
○9日02:00   米財務省、10年債入札

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