FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:前週末の米株高を好感した買いが強まった

先週末の米国株式市場はインフレ鈍感と底堅い消費支出を示す統計を受け、米FRBが景気後退を回避しつつ、金融引き締めを進めることが可能という楽観的な見方が広がった。これを受けて日本株は幅広く買われてスタートした。前週末の米株市場では、大型ハイテク株などグロース系銘柄しっかりだったことを受けて、半導体関連株をはじめ指数寄与度が大きい値がさのハイテク株が物色され、指数を押し上げる格好となった。戻りの関門として意識された2万7000円を大きく上回った。結局、前営業日比587円高の2万369円と4月21日以来約1ヵ月ぶりの高値となった。

 

東京外国為替市場:米国市場休場のため127.00円で方向感に乏しい展開

ドル/円は、本邦輸出勢などから月末に絡むドル売り・円買いフローが通常より多く持ち込まれ、126.86円付近まで軟化した。インフレに対する過度な懸念が和らぎ、米FRBの利上げペースが加速しないとの思惑が浮上していることも、ドル売りにつながった。ただ、27日の海外市場でつけた安値126.82円に接近すると下げは一服した。その後は、値ごろ感からドルを買い戻す動きも見られ、127.00円付近へ値を切り返した。午後は、メモリアルデーで米国市場が休場となるため、積極的な売り買いは目立たず、127.00円を挟んで方向感に乏しい値動きが続いた。ホワイトハウスが『31日にバイデン米大統領とパウエルFRB議長が米国と世界経済の状況について会談する』と発表したが、ドル/円相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、このところECB当局者によるタカ派的な発言が相次いでいることで、持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが入り1.0760ドル近辺へじり高となった。

 

ドル買い比率は70%に低下:前週のFX概況

QUICKが30日に算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)建玉状況によると、『ドル/円』取引で総建玉に占めるドル買い比率は27日時点で70.0%と前の週末から1.6ポイント低下した。20日時点でドル買い比率は約1年5ヵ月ぶり高水準となっており、目先の利益確定を目的とした円買い・ドル売りが増えた。5月上旬にかけて進んだ急ピッチな円安・ドル高が一服するなか、個人投資家の一部から利益確定の円買い・ドル売りが入った。しかし、発表された米経済指標が相次いで市場予想を下回ったことで米景気の先行き不透明感が強まり、円相場は24日に一時1ドル=126.37円付近と、約1ヵ月ぶりの水準に上昇した。円高が進んだ場面では円売り・ドル買いにうごっく個人投資家が多く、ドル買い比率は高水準を保った。ドルや円に対してユーロの買い比率は低下した。『ユーロ/ドル』取引でのユーロ買い比率は49.9%と前の週末から2.9ポイント低下した。『ユーロ/円』取引では、ユーロ買い比率が同7.7ポイント低い25.6%となった。欧州中央銀行(ECB)による早期の利上げ観測を背景にユーロは円やドルに対して戻り歩調となっており、相場の流れに逆らって取引する『逆張り』傾向のある個人はユーロ売りに動いた。

 

今週のトルコ経済指標の注目点:景況感とインフレ指標

トルコ中銀は先週発表した声明や金融安定報告書において、国内経済活動は堅調に推移すると楽観的な見通しを示した。確かに31日に発表される1-3月期国内総生産(GDP)は7%超えのプラス成長が見込まれている。ただ、前回値からはやや下回り、次の四半期はウクライナ戦争の影響で成長鈍化の可能性が高そうである。1日発表の5月製造業購買者担当景気指数(PMI)は、景況感の境目となる50を3カ月連続で割り込むことになるかがポイントである。エネルギー価格の高止まりとリラ安のダブルパンチで原材料価格は高騰し、製造業を取り巻く環境は厳しさが増している。 最も注目されるのが、3日の5月消費者物価指数(CPI)である。前回69.97%まで伸び率が加速した前年比は、一部では73%超えが予想されている。ここまでくると予想値からの上下振れはあまり関係ないと思われる。

 

南アでは1-3月期の失業率が注目:大規模なデモなどのリスクには警戒

今週の経済指標では1-3月期の南ア失業率が注目される。今までの調査方法にはかなり不備があったことで、徐々に改善をする予定の同指標であるが、今回の指標結果に改善点がどの程度反映されるかは定かではない。また、上述のようにインフレ下での昇給率の低さで国民の不満の声が高まっているが、失業率がさらに悪化した場合は、昨年7月のような国民の大規模デモなどのリスクもあるので警戒したいところである。

 

メキシコ中銀は0.75%の利上げ幅には慎重な意見

先週はメキシコ中銀の金融政策決定会合議事要旨が発表され、先日の会合で0.75%の利上げを主張したエスピサノ副総裁の見解が明らかになった。同副総裁は『インフレがここまで上昇した割には利上げ幅が限定的で引き締めの効果は限定的だった』『異常な状況には異常な行動が必要となる可能性があり、期待を維持するために力強い行動が必要』と述べていた。これに対して、別の委員は0.75%の利上げを検討したことに言及しつつも、『市場を驚かせ将来の金利見通しを困難にさせる可能性がある』と慎重な意見を示していた。

 

米国株式市場はインフレのピークの数カ月後に上昇:ゴールドマン

ゴールドマン・サックスは27日付リポートで、『我々の予測ではヘッドライン・インフレが米国でピーク、ユーロ圏と英国でピークに達する可能性が高い。高インフレや粘り強いインフレが株式にとって逆風となっていることを考えると、ピーク・インフレは市場が谷と見つけられることを意味するだろうか』と指摘している。1951年まで遡って米国の主要なインフレ率が3%を超える12回のピークを平均して見た場合、バラつきが大きいものの、『株式市場はインフレのピークに達するまで下落し、ピークの数カ月後には上昇する』という結果が示された。インフレがピークに達した場合、これまで物価上昇が景気減速をもたらすとの懸念から景気敏感株が軟調だったため、景気敏感株にとって良好な環境に変わる可能性があるとしつつも、『インフレのピークについてあまり多くを読むことに注意が必要だ。インフレの道筋についての不確実性は高い。インフレの下方シナリオには、低成長が伴うことが多い』とも指摘した。リポートでは『欧州では引き続き、バランスシートが堅調、利益率が高く安定している、設備投資や政府投資が構造的に増加する可能性のある企業、4分野を推奨する。我々は、市場の消費セクターに引き続き警戒しており、インフレの低下は有益であるが、裁量的支出はは急落するとの見方を変えていない』との見解を示した。

 

9月時点では米利上げ幅縮小の可能性も

市場関係者の間では、米国経済の大幅な減速を受けて連邦準備制度理事会(FRB)は9月以降に利上げを一時停止する可能性があるとの思惑が浮上している。5月、6月、7月の3会合で合計1.5ポイントの追加利上げが実施される可能性は極めて高いと予想されているが、9月以降については見方が分かれている。CMEのFedWatchによると、5月26日時点で9月開催のFOMC会合でFF金利の誘導目標水準が2.00-2.25%以上となる確率は97%程度である。また、12月開催のFOMC会合でFF金利の誘導目標水準が2.50-2.750%以上となる確率は93%程度となっている。金融市場では9月も追加利上げが実施される可能性は高いと予想しているが、予想される利上げ幅は0.5ポイントではなく、0.25ポイントに傾いている。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独輸入物価指数(予想:前月比2.0%/前年比32.0%)
○15:00   1-3月期スウェーデン国内総生産(GDP、予想:前期比▲0.4%)
○16:00   5月スイスKOF景気先行指数(予想:102.3)
○18:00   5月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:104.9)
○18:00   5月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲21.1)
○21:00   5月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.5%/前年比7.6%)
○21:30   1-3月期カナダ経常収支(予想:32.0億カナダドルの黒字)
○22:15   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○24:00   ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○31日02:00   ナーゲル独連銀総裁、講演
○欧州連合(EU)臨時首脳会議(31日まで)
○米国(メモリアルデー)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ