FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:週末で見送りムード強く上値の重い展開

前日の米国株式市場が高かったことを好感したが、2万7000円が戻りの節目と意識されて朝方の後は伸び悩んだ。週末とあって見送り気分が強く、中盤からは一進一退となった。市場では依然として2万7000円近辺は重いが、インバウンド再開といった好材料がある一方、例年6月は需給状態が良くなるため、来週あたりから上値を追うようになるのではないかとの声が聞かれた。結局、前営業日比176円高の2万6781円と4営業日ぶりに反発した。

 

東京外国為替市場:月末絡みのドル売り・円買いフローで押し下げ

ドル/円は、日経平均株価の上げ幅が一時300円を超えたことがリスク選好のドル買い・円売りを誘い、127.20円付近へ上値を上げた。しかし、米景気減速に対する根強い懸念から、積極的な上値追いは手控えられた。その後、米FRBが9月に利上げを見送る可能性が浮上していることで、持ち高調整などのドル売り・円買いが入り、126.68円付近まで下落した。本邦輸出企業から月末に絡むドル売り・円買いフローが多く観測されたことも、ドル/円の押し下げにつながった。午後は、日経平均株価や米長期金利をにらみながら、小幅に値を戻して126.80円台を中心とする狭いレンジで取引された。今晩の米国株動向やFRBが物価統計として重視している4月米個人消費者支出(PCEデフレーター)を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.07ドル台半ばで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

21年末の対外純資産は411兆円で過去最高

財務省は日本の対外純資産が2021年末時点で411兆1841億円だったと発表した。20年末に比べて56兆1529億円(15.8%)増え、過去最高となった。海外への直接投資が増えたほか、21年の円相場は対ドルで約11%下落したことで、企業や政府などが海外に持つ資産が円換算で増加したことも対外純資産を押し上げた。対外純資産は企業や政府などが海外に保有する『対外資産』から海外投資家が日本に持つ『対外負債』を差し引く。対外資産の総額は1249兆8789億円だった。

 

過去1年で急激に悪化する中国不動産市場

中国経済の柱である不動産市場が、過去1年で急激に悪化している。政府がデベロッパーの過剰債務を取り締まったことに加え、新型コロナウイルスの流行で景気が減速したことが響いた。今年はこれまでに100都市以上が、住宅ローン金利・頭金の引き下げや補助金を通じて、住宅需要を喚起する対策を導入したが、政府が複数の都市で厳格な新型コロナ規制を導入したことから、消費信頼感が冷え込んでおり、先行きは依然として厳しい。4月の不動産販売は金額ベースで約16年ぶりの大幅な減少となった。不動産セクターの立て直しに向けた追加の緩和策が講じられているにもかかわらずだ。今月は、住宅購入者の負担を和らげることを目指した追加利下げも行われたが、市場関係者は需要喚起効果は限定的と分析している。フィッチ・レーティングスは先月、今年の不動産販売が金額ベースで25-30%減少すると予想している。従来予想は10-15%減だった。

 

選挙敗北ならエルドアン大統領は国外逃亡の可能性も

トルコメディアは先日、最大野党・共和人民党(CHP)の会合で、クルチダルオール党首の発言『エルドアン大統領が国外脱出を計画している』を報じた。CHP党首は、来年の選挙で現職のエルドアン大統領と与党・公正発展党(AKP)は敗れる可能性が高いとの見通しを示した。敗北した場合にエルドアン氏や家族、そして側近たちは、政権時代の訴追を避けるために国外に逃げ出さざるを得ないらしい。クルチダルオールCHP党首によれば、エルドアン大統領たちはある財団を通して巨額の自己資金を海外に送金しているという。またCHP党首は、大統領の家族は外国での居住や労働の許可を取得しようとしているとも述べた。最近のトルコ世論調査によれば、エルドアン大統領に投票するという人は全体の40%を切っている。調査会社にもよるが、野党側の有力な大統領候補とされるイスタンブール市長やアンカラ市長よりも約10ポイント低い状況である。また与党AKPの支持率は31%程度と2018年の総選挙時よりも11ポイント低く、27%の最大野党CHPに迫られている。もしエルドアン氏が落選となれば、これまで非正統的な金融政策を強いられてきたトルコ中銀もインフレ抑制のためにやっと引き締めに転じることができる。そうなると、リラも上昇基調に転じることができるかもしれない。しかしながら、まだ1年以上も待たねばならない。

 

南アではインフレ高進が懸念される

昨日発表があった南アから4月の卸売物価指数(PPI)は前年比+13.1%となり、市場予想の前年比+12.3%を上回る結果となった。市場の反応が限れたが、インフレと高進が懸念されている。インフレといえば政府の燃料価格高騰による痛手を保護するために政策が実行されるか否かが注目される。政府は4月と5月に燃料1リットルあたりの関税を一時的に40%引き下げ、燃料の小売価格の上昇を抑えた。来月もランド安による輸入物価上昇の影響で、これまでで見たことのない上昇の可能性と、南ア自動車協会が警鐘を鳴らしている。昨日は、この件についてゴドンワナ財務相とマンタシェ鉱物資源エネルギー相が会談を持っている。先月の大洪水を受けた人の救済でも財政負担が大きくのしかかっていることで、燃料保護を継続するかは微妙なところである。

 

米ペイパルは人員削減を開始:コスト削減に動く

米決済サービス大手のペイパル・ホールディングスが人員削減を始めたと報じた。リスクマネジメントやオペレーションを担当する部門から着手し、シカゴやネブラスカ州などで働く従業員を数十人解雇したという。今月にはカリフォルニア州の本社でも80人超の人員を削減する計画を発表していた。新型コロナウイルスの感染が一服し、消費者が実店舗に戻りつつあることで決済サービスの利用は伸び悩んでいる。報道によると、ペイパルの従業員数は昨年末時点で新型コロナ禍前から3割増えており、人員を減らすことで年2億6000万ドルのコスト削減につながるという。

 

米国市場では4月コアPCE価格指数が公表:予想は前年比+4.9%

3月実績は前年比+5.2%だった。4月については、海外旅行、外食、ホテルなどへの需要が3月並みの水準を維持すると予想されるが、一部項目の価格低下が予想されるため、全体の上昇率は3月実績をやや下回り可能性がある。

 

★欧米市場のイベント

○20:35   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○21:30   4月米卸売在庫(予想:前月比2.0%)
○21:30   4月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.7%)
       4月米個人所得(予想:前月比0.5%)
       4月米PCEデフレーター(予想:前年比6.2%)
       4月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.3%/前年比4.9%)
○23:00   5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:59.1)
○米債券市場は短縮取引

 

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