FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米株先物やアジア株の底堅い動きを好感

前日に米国株式市場は下落したものの、米株先物やアジア株の底堅い値動きが好感されたほか、為替市場での円安基調が好感された。前日の大幅安を受けた自立反発狙いの買いも指数を下支えした。中国上海市でロックダウン(都市封鎖)が緩和される見通しとなったことで、アジア株は景気回復期待から底堅い値動きで、市場では、このところの株価下押し要因が一つ後退し、底打ち期待が高まっているとの声が聞かれた。結局、前営業日比336円高の2万6739円と反発して終了した。

 

東京外国為替市場:米景気減速の警戒感からポジション調整のドル売り

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の上げ幅拡大に支えられ、128.20円付近へ上昇した。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドルの買い戻しにつながった。ただ、前日に発表された米経済指標が軒並み低調な数字だったこともあり、積極的な上値追いは手控えられた。午後は、米FRBの金融引き締めで、米景気が減速するとの警戒感からポジション調整などのドル売り・円買いが持ち込まれ、127.53円付近まで下落した。米長期金利が一時2.83%台へ低下したことも、ドル売りを誘った。その後は、値ごろ感からドルの押し目買いも見られ、値を切り返して127.70円台を中心とする狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、米景気の減速を警戒したドル売りが優勢となり、1.0590ドル台へ上昇した。

 

中国4-6月期のGDP成長率予想を引き下げ:スタンダード・チャータード

スタンダード・チャータードはこのほど、2022年4-6月期の中国国内総生産(GDP)の成長率予想をこれまでの3.5%から0.3%に引き下げた。厳格な防疫対策の実施で数週間にわたって生産と消費に影響が生じたことを反映させた。2022年通期についても成長率予想を5%から4.1%に引き下げた。『明報』が19日伝えた。 スタンダード・チャータードは、4月のような封鎖措置がさらに1カ月続いた場合、4-6月期の成長率は前年同期比で2-2.5%減少するほか、2022年通期でも0.5-0.6%減少すると予想した。ただ、上海などで実施されている制限措置の解除に伴い、中国の経済活動は6月に上向く可能性があると指摘した。中国政府によるインフラ建設の後押しもあって、下期は回復が期待できるとした。7-9月期と10-12月期の成長率はそれぞれ5.3%、5.9%と予想している。

 

トルコ大統領への不満による内政不安が強まる可能性がリラの重し

昨日のトルコは『青年とスポーツの日』という祝日だったが、同国の労働市場を見る限り、青年たちが気持ちよく祝える状況ではなかった。地元メディアは昨日、トルコでは15-24歳人口の41%に相当する約230万人の若者が失業状態、という民間団体の調査を報じた。これは、統計局が先週発表した第1四半期の若年層失業率21%と大きく乖離しているが、民間調査がより現実に沿った数値と考える向きは多い。豊富な若手の労働力がトルコの『ストロングポイント』にもかかわらず、高い失業率はエルドアン大統領が経済の舵取りを誤ったあおりを若者がもろに受けた結果である。大統領への不満がかなり溜まっていることは容易に想像でき、若者のエルドアン離れは今後も止まらないかもしれない。内政不安が強まる可能性は常にくすぶっており、こちらもリラを買いづらくさせる要因となりそうである。

 

南アではスタグフレーション懸念が高まりつつある

SARBは市場予想通り0.5%の利上げ(政策金利を4.75%に引き上げ)を行った。政策金利発表と同時に公表された、南アのヘッドラインCPI見通しは22年5.9%(前回5.8%)、23年5.0%(前回4.6%)、24年4.7%(前回4.6%)と、上方修正。一方で、22年のGDP見通しは+1.7%(前回+2.0%)、23年GDP見通しは+1.9%(前回も+1.9%)と、今年の予想を下方修正した。インフレが今後も進行すると予想される中で、GDPは低下することで、スタグフレーション懸念が高まりつつある。 

 

米国・メキシコ・カナダ協定に亀裂が入る懸念も

米通商代表部(USTR)が、メキシコにあるパナソニックの自動車部品工場で労働者の権利が侵害されているかどうか、調査するようメキシコ当局に要請した。これまでもゼネラルモーターズ(GM)やトリドネックのメキシコ工場にて労働者の権利侵害が明るみに出ていただけに、改善が見られなければ米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に亀裂が入りかねないとの声も聞かれている。

 

米サブプライム向けローンの遅延率が上昇:WSJ

米国でクレジットスコア(返済履歴などの信用度)の低い消費者による自動車ローン、個人ローン、クレジットカードの返済が遅延している。消費者向け融資環境が米史上最も健全な状態が終わろうとしていることを示している。信用調査会社エクイファクスによると、サブプライム(信用度の低い借り手)向けのクレジットカードと個人ローンで60日以上延滞している割合は通常より急速に増えている。こうした延滞率は3月、前月比での上昇が8カ月連続となり、新型コロナウイルス感染拡大前の水準に近づいた。多くの貸し手やアナリストは、延滞率はコロナ禍の間に低下していたため上昇するのは避けられなかったとしている。それでも、1980年代前半以来の高いインフレ率に直面し米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅な利上げに乗り出していることなどから、延滞率の上昇は投資家から注目されている。延滞率の上昇は、経済活動の大きな原動力である消費者にストレスがかかっていることを意味する可能性がある。

 

米国の経済指標の低調な結果から景気後退懸念

米5月フィラデルフィア連銀製造業景況指数が20年5月来で最低、全米不動産者協会(NAR)が発表した中古住宅販売件数の4月分は前月比-2.4%の561万戸と、予想564万戸を小幅下回り、20年6月来の低水準となったほか、先週分新規失業保険申請件数の増加や4月景気先行指数が予想外のマイナスに落ち込むなど、経済指標の低調な結果を受けて、景気後退懸念が強まった。

 

米国株は流動性欠如による売買需給のよる急落相場

ある米系投資家は『市場はパウエル発言や決算のような材料より流動性欠如による売買需給に急落の理由を見いだしている』と打ち明ける。18日のNY米ダウは前日比で1164ドル安の3万1490ドルと急反落し、年初来安値を更新した。下げ幅は20年6月以来約2年ぶりの大きさであり小売り大手決算が市場予想を下回りインフレに伴うコスト増が企業収益を圧迫するとの見方が強まった。一部トレーダーが底値買いをしても上がり切らず、株安に耐えきれない投資家の『投げ売り』が出ると損切りを余儀なくされ、売買高も膨らまず未だ底値の兆しはみえない。元来、相場下落は商いを伴っていずれ底入れするが、買いで入るのを躊躇する投資家が多く、過去最低に近かった流動性は一段と悪化し、株安が止まらない。
オプション市場ではS&P500指数で4000を権利行使価格とするプット(売る権利)残高が膨らみ、18日終値は4000を下回りプット購入投資家は権利行使で利益を得られる可能性が高い。一方、証券会社等のプットの売り手は4000を下回るほど損失回避(デルタヘッジ)で先物売りを迫られる構図が下げを加速させる。『買い手』不在の米国株の下落に底入れのタイミングは未だみえない。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比1.4%)
○15:00   4月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.2%/前年比▲7.2%)
○15:00   4月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.2%/前年比▲8.4%)
○15:00   ミュラー・エストニア中銀総裁、カザークス・ラトビア中銀総裁、シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○15:30   1-3月期スイス鉱工業生産
○16:30   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○20:40   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○23:00   5月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲21.5)
○21日01:30   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○バイデン米大統領が日韓を訪問(24日まで)
○21日 オーストラリア総選挙

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ