FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:売り一巡後は上海株や米国株先物の動向に連れて下げ渋る

前日の米国株安を嫌気されて、日本株も幅広く売られてスタートした。日経平均は下げ足を速めたものの、急ピッチな下げに対する突っ込み警戒感も生じ、徐々に下げ渋った。一時2万6000円を下回り、下げ幅は540円を超えた。しかし、売り一巡後は、上海株式相場が朝安後に上昇に転じたほか、米国株先物もプラスに転じたことが好感された。また、原油先物が軟化したことも好感され下げ幅を縮小する展開になった。結局、前営業日比152円安の2万6167円となり、3月16日以来約2ヵ月ぶりの安値で終了した。4月第4週(25~28日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家(外国人)は1514億円買い越しとなり、買い越しは5週連続となった。個人投資家は562億円の買い越しとなり、買い越しは5週連続となった。信託銀行は609億円の買い越しとなり、買い越しは5週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:米長期金利の持ち直しからドル切り返し

ドル/円は、日経平均株価の大幅安や米長期金利低下を背景にドル売り・円買いが進み、129.80円付近まで下落した。しかし、NY時間に予定されている米FRB当局者の講演を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。その後は、低下していた米長期金利が持ち直すと、ショートカバーが入って130.40円付近へ値を切り返した。また、内田日銀理事が長期金利の変動幅拡大について『事実上の利上げになるので好ましくない』と発言したことも、円売りにつながった。午後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りが入り、130.55円付近へ上昇する場面があった。しかし、明日発表される4月米消費者物価指数(CPI)のイベントを前に、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、利益確定などのドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて130.40円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.05ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国の4-6月期GDP成長率が2.1%に低下の可能性

中国人民銀行(中央銀行)調査統計司の司長を務めていた盛松成氏は『中国証券報』への共同寄稿で、2022年4-6月期の中国国内総生産(GDP)について、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で前年同期比2.1%前後の増加にとどまる見通しを明らかにした。22年上期は3.5%前後の増加になると見込んでいる。同寄稿を『中国証券報』が9日付で掲載した。

 

S&P500指数が5週連続下落するなかで顧客が3週連続買い越し:BofA

BofAセキュリティーズの10日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は2~6日の1週間に米国株を22億5400万ドル買い越した。3週連続の買い越しとなる。この週は6日に発表された4月の米雇用統計がインフレを警戒させるものとなり、S&P500指数が週間で0.20%安となって5週連続で下げた時だった。主体別動向では、ヘッジファンド(HF)が4億6600万ドルの買い越しで、2週連続の買い越し。機関投資家は18億1100万ドルの売り越しで、4週連続の売り越しに転じた。個人投資家は16億6100万ドルの買い越しで、2週ぶりの買い越し。企業の自社株買いは19億3800万ドルで4週移動平均(12億ドル)を上回って回復基調が強まった。傾向としては前週に全体62億4100万ドルの大幅買い越しを記録した後に機関投資家が売り越しに転じた反面、HFや個人投資家の押し目買いが続いた。決算シーズンがピークを過ぎる中、低調だった企業の自社株買いが活発化する一方、セクターではエネルギーと不動産が買われる反面、金融株は売り越しとなった。

 

トルコ大統領が仏大統領に歩み寄る

先月24日、フランスの大統領選でマクロン大統領の再選が決まると、エルドアン・トルコ大統領はマクロン氏に祝意を伝える電話をした。話の中でエルドアン大統領は、両国の結びつきが重要であることを強調したと報じられている。これまで二人は、ギリシャを巡る関係、トルコの地中海における天然ガス開発やロシア製地対空ミサイルの導入などで何度も衝突してきた。特に2020年秋には、イスラム教への考え方を巡り、エルドアン大統領が仏大統領について、『精神的な治療な必要』と批判した。また『フランスにとってのトラブル』とし、フランスがマクロンをできるだけ早く追い出すことを望む、とまで言い放った。しかしながら先月の仏トルコ首脳の電話会談では、エルドアン大統領のほうから歩み寄った感がある。会談では、最大の国際問題であるロシアのウクライナ侵攻についても当然話題になったが、仏トルコ関係の改善についても話し合われたということである。

 

トルコ大統領は不動産高騰に対処するための施策を発表

エルドアン・トルコ大統領は昨日、高騰する不動産市場に対処するための施策を発表しました。内容の1つとしては、外貨からリラに換金した人や金(ゴールド)を中銀に売却した人に対し、月利0.89%の住宅ローンを提供するというものである。この満期10年の融資は200万リラまで受け付けられるとされた。今後は、融資優遇策に対するトルコ市民の反応が注目される。

 

南アでは今週主だった経済指標はなし

今週は南アフリカからは主だった経済指標の発表はない。ただ、来週は南アフリカ準備銀行(SARB)が政策金利を公表するため、相場の思惑で振らされる場面がありそうである。

 

今週の米国債入札結果に注目:ドルの動向や米国株動向に影響

米国債市場では今週、10-12日に四半期定例の入札が予定されている。具体的には10日に3年債、11日に10年債、12日に30年債といった内訳となっている。米国での根強いインフレとFRB利上げ加速の警戒感などにより、応札の需要が低調となれば改めて米国債金利の上昇(米債価格は下落)が後押しされる。為替相場ではドル高の材料となりやすい。一方、米国債入札については米債価格の急落を受けた値頃感により、打診的な押し目買い需要が増加するシナリオも残されている(金利は低下要因)。その場合は米債金利低下が、短期的に全般的な調整ドル安へと作用する。米国株は上昇となり、リスク選好がクロス円での外貨高・円安につながる相場展開も残されている。

 

米国市場ではインフレ指標に注目集まる:今後のFRBの政策動向を探る展開

米国のインフレ指標を含めた経済指標とFRBの金融政策動向である。11日のCPI(消費者物価指数)や12日のPPI(生産者物価指数)で改めてインフレ上昇圧力の根強さが示されると、FRBによる6月以降の0.75%という大幅利上げを含めた金融引き締めの加速が意識されやすい。為替相場では全般的なドル高が維持されるほか、ドル/円もドルの下限切り上がり基調がサポートされる。一方で米国では前週末に4月の平均賃金の伸びが一服となるなど、急激なインフレ上昇のペースには鈍化も見られ始めた。4月の米雇用統計は増加となっており、雇用者数の増加が賃金を抑制させるという人手不足や供給制約に伴うインフレ上昇圧力の緩和が示唆されている。その意味で今週の物価指標が上げ渋るようなら、インフレ上昇懸念が一旦の後退となり、短期調整的なドル安の可能性もある。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月ノルウェーCPI(予想:前月比0.6%/前年比4.7%)
○16:00   3月トルコ失業率
○18:00   5月独ZEW景況感指数(予想:▲42.0)
○18:00   5月ユーロ圏ZEW景況感指数
○20:40   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○21:00   3月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比2.1%)
○22:15   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○23:00   ナーゲル独連銀総裁、講演
○11日00:40   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○11日02:00   米財務省、3年債入札
○11日02:00   ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○11日02:20   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○11日04:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○ロシア(振替休日)、休場

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