FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:前日の米国株安に連れた売り優勢

前日の米国株式市場でナスダックが大幅安となったことが嫌気され、グロース株を中心に軟調な展開となった。米国市場では、世界経済の成長鈍化や米FRBが一段と金融引き締めを積極的になるとの懸念が重石となった。一時下げ幅は600円超となった。日経平均株価が2万6000円に近づくと値ごろ感が働き、前場中盤からは押し目買いで下げ渋る展開になった。結局、前営業日比313円安の2万6386円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:本邦輸入勢のドル買いがやや優勢

ドル/円は、仲値に向けて本邦輸入勢などの月末に絡むドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、127.60円台へ上昇した。その後も、低下していた米長期金利が上昇へ転じると、さらにドル買い・円売りが進んで127.80円付近へ上げた。ただ、明日予定されている日銀金融政策決定会合の結果を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な上値追いは手控えられた。午後は、中国で新型委コロナウイルス感染拡大に伴うロックダウン(都市封鎖)が拡大するとの見方が広がるなかで、世界的な景気減速を警戒したドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて127.70円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、このところ下げ基調が続いていたため、利益確定やポジション調整のユーロ買い・ドル売りが持ち込まれ、1.0650ドル台へ値を上げた。

 

日銀会合では円安で市場には政策修正の思惑も

日本銀行が27-28日に開く金融政策決定会合では、ロシアのウクライナ侵攻後の資源・食料価格の高騰が景気に及ぼす悪影響が懸念される中、金融緩和策を維持すると見込まれている。約20年ぶりの円安・ドル高水準を受けて政策修正への思惑もくすぶっており、黒田東彦総裁会見への関心も高い。9割が金融政策の現状維持を予想している。1割は政策金利の先行きを示すフォワードガイダンスについて、利下げに関する文言の削除など引き締め方向への変更があり得るとみている。市場では日銀が円安や金利上昇圧力を受けて年内に政策修正に動くとの見方が増えており、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の弾力化を見込む声も出ている。

 

日本生命の22年度運用計画:国内債を積み増してヘッジ外債を圧縮

日本生命保険は2022年度運用計画で、国内債券の残高を積み増すとともに為替リスクを回避した形で投資するヘッジ付き外国債券の残高は圧縮する方針である。都築彰理事財務企画部長が記者説明で26日明らかにした。為替リスクを回避せず投資するオープン外国債券の残高は、為替の不透明感が続く中で横ばいから減らす。米長期金利は上昇して本当は投資しやすい環境と都築氏は指摘するが、1ドル=130円の簿価でのオープン外債購入は『中長期の投資家として1ドル=110円に戻ってくることはあり得る水準で慎重に構えたい』と話した。

 

北京・上海封鎖なら中国の第2四半期GDPは1%押し下げも

中国北京市で新型コロナウイルスの大規模検査が大半の地区に拡大したことを受け、ロックダウン(都市封鎖)が導入された場合の経済への影響に懸念が生じている。当局は住民に対し、4月30日-5月4日の労働節休暇に北京から離れず、集まりを避けるよう求めている。華宝信託のエコノミスト、聶文氏は、北京と上海の2都市が封鎖された場合、第2・四半期の中国GDP(国内総生産)は1%ポイント押し下げられる可能性があると予想する。

 

マクロン仏大統領の二期目の政権運営への不安

フランス大統領選・決戦投票はマクロン大統領の勝利に終わったが、極右のルペン候補との得票率の差は2017年の前回選挙から大きく縮まった。経済・雇用情勢の好転にもかかわらず、マクロン大統領が苦戦を強いられたのは、同氏の主張や政策がフランス国民への訴求力に欠けていることを意味する。今回の選挙戦の争点は資源価格の高騰で厳しさを増す国民生活で、ルペン候補やメランション候補の主張が低所得者層の支持を集めた。マクロン大統領の二期目の政権運営は、こうした現状に不満を持つ有権者からの抵抗が予想され、改革の推進力は停滞する。

 

サウジアラビアと歩み寄りが見られればトルコとって良い話

トルコとアラブ首長国連邦(UAE)が包括的な経済連携について協議を開始したと報じられたが、リラ相場の反応は限定的だった。なお、中東の一部メディアが昨日、エルドアン・トルコ大統領が28日にもサウジアラビアを訪問し、サウジの実権を握るムハンマド皇太子と会談する予定だと報じている。両国は、2018年にトルコのサウジ総領事館でサウジ反体制派ジャーナリストのカショギ氏が殺害されて以降、関係が悪化していた。今月に入り、事件の審理がトルコで停止されてサウジに移管されることが決定した。これによりトップ会談への道が開けた。エルドアン大統領の訪問はまだ確定ではなく、スケジュール調整が付かない場合は来月にずれ込む可能性もあるとされている。ただ、トルコとアラブの大国サウジアラビアとの歩み寄りが見られるようであれば、トルコ経済にとっても良い話である。

 

南アランドの下落はポジション巻き戻しの可能性も

本日は1994年に、アパルトヘイト後最初の選挙が行われたことを祝う『自由の日』で南ア市場は休場となっている。もっとも、ここ数週間は南アのファンダメンタルズ等ではランドが動意づいていないこともあり、南ア休場がランド相場に与える影響は少ないと思われる。今月に入りランド売りの流れは急速で、昨26日時点で拡大主要(32)通貨の中で最も下げ幅が大きく、対ドルで7.47%下落している。初めの約2週間(1日から15日)までは、32通貨中4位のプラスリターンだったことを考えると、この2週間の下げ幅がいかに大きいかが分かる。対円でも下げ幅が大きく、昨日までだと32カ国中最下位で、3.91%の下落率となった。ランドが下がる一方で、今月はルーブルの買い戻しが急なため、これまでのランド買い・ルーブル売りの動きの巻き戻しが入っているのかもしれない。

 

米国は深刻な景気後退に陥る:ドイツ銀のエコノミスト

米国経済で、景気減速は当初予想に比べ深刻化が警戒され始めた。ドイツ銀のエコノミストは米連邦準備制度理事会(FRB)の高インフレ対処の利上げにより、2023年の米国経済が深刻な景気後退に陥ることになる、と警告している。問題はFRBの目標である2%目標達成が非常に困難になるため、かなり積極的な利上げをせざるを得ないことだと指摘。同氏は、FRBの中立金利が5%と見ており、大半のFRBメンバーが想定している2.5%前後を大幅上回る。FRBが政策金利であるFF誘導目標を5%から6%のレンジまで引き上げる必要性がでてくると予想している。

 

ブレイナード氏のFRB副議長昇格に必要な票を確保

米上院で、FRBのブレイナード理事を副議長に昇格する人事承認採決が実施され、ブレイナード氏は承認に必要な票を確保した。一方、クック氏のFRB理事指名承認をめぐっては不透明感が漂っている。また週内には、パウエルFRB議長の再任および続投とジェファーソン氏のFRB理事指名をめぐる承認採決も予定されている。

 

欧米市場イベント

○15:00   5月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲16.0)
○15:45   4月仏消費者信頼感指数(予想:92)
○16:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼主任エコノミスト、講演
○17:00   ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○20:00   3月メキシコ貿易収支(予想:6.60億ドルの黒字)
○21:30   3月米卸売在庫(予想:前月比1.5%)
○23:00   3月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比▲1.0%/前年比▲8.1%)
○23:30   EIA週間在庫統計
○28日01:00   ラガルドECB総裁、講演
○28日01:00   3月ロシア失業率(予想:4.5%)
○28日02:00   米財務省、5年債入札
○南アフリカ(自由の日)、休場

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