FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国の金融引き締めへの警戒感が強く売り優勢に

前週末の米国株安を嫌気する形で朝方に安く始まった後、安値圏でのもみ合いが続いた。米国の金融引き締めへの警戒感がくすぶり、相場の重石となった。いったん下げ幅を縮小する場面もあったが長続きせず、安値圏でもみあった。足元では企業決算シーズンに入り、弱気の業績見通しが示される『ガイダンスリスク』が警戒されている。大型連休を控えているほか、日米の中央銀行の会合を見極めたいとのムードもあり、『積極的なポジションを取りにくい』との声が聞かれた。また、新型コロナウイルスの感染が広がる中国のロックダウンへの警戒も日本株の重石となった。結局、前営業日比514円安の2万6590円で終了した。12日以来約2週ぶりの安値となった。

 

東京外国為替市場:日銀金融政策会合を控えて128円台半ばでもみ合う展開

ドル/円は、先週末に黒田日銀総裁が強力な金融緩和を粘り強く続けていく方針を改めて示したことで、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りが先行し、128円台半ばから128.86円付近まで上昇した。本日は五・十日にあたり、仲値にかけて本邦輸入勢のドル買い・円売りも通常より多く観測された。しかし、今週予定されている日銀金融政策決定会合のイベントを前に積極的な上値追いは見送られた。その後、米長期金利が低下すると、持ち高調整などのドル売り・円買いに押されて128.25円付近へ下落した。世界的な株安でリスク回避姿勢が強まったこともリスク回避の円買いにつながった。午後は、低下していた米長期金利が持ち直すと、ドルは買い戻されて128円台半ばへじり高となった。ユーロ/ドルは、米FRBの金融引き締めペースが加速するとの思惑から、ユーロ売り・ドル買いが優勢になり1.077ドル付近へ下落した。

 

前週のFX概況はドル買い比率とポンド買い比率は上昇

QUICKが25日に算出した22日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドルの買い比率は63.6%と前の週末から6.9ポイント上昇した。主要中銀が利上げなど金融引き締めに転じる姿勢を示す中、引き続き金融緩和を続ける日本との金利差拡大が意識されている。前週は為替介入への思惑などから一時的に円高・ドル安方向に振れる場面はあったものの、金融政策の方向性の違いにより円安・ドル高基調が続くとの市場の認識を変えるには至らなかった。円の先安観を意識した円売り・ドル買いの持ち高形成が進んだほか、「一方的に円安・ドル高が進んだことで『逆張り』の個人も耐えられなくなっている面もある」との声が聞かれた。同期間はドル以外の通貨に対しても円売り・外貨買いの比率が高まった。『ポンド/円』取引でポンド買いの比率は54.8%と前の週末から13.4ポイント上昇した。「ユーロ/円」取引のユーロ買い比率は同3.7ポイント上昇の65.3%、「オーストラリアドル/円」取引での豪ドル買い比率は同6.0ポイント上昇の64.8%だった。

 

中国は米FRBの政策変更に対応可能:元への影響は小幅

中国国家外為管理局(SAFE)は22日、米連邦準備理事会(FRB)の政策変更に中国は対処可能で、海外の不確実性が通貨人民元に及ぼす影響は小さいとの見方を示した。王春英報道官は中国経済の強さや経常黒字、継続的な海外投資、良好な対外債務構造などを理由に挙げた。『FRBの政策変更のペースと波及効果を注意深く監視していく。国内為替市場の状況をリアルタイムで評価し、市場の安定を効果的に維持する』と表明した。FRBのタカ派姿勢や中国経済への懸念、米中の利回り差などを踏まえると、元に対する下落圧力が高まるとアナリストは予想している。しかし、王氏は元相場について、妥当でバランスの取れた水準で基本的に安定するとの見通しを示した。最近の大きな動きは、主に世界市場の変動と需給の変化の影響と分析した。『中国は正常な金融政策を実施することができる。金融システムは比較的安定し自律的だ。海外からもたらされる不確実性が元相場に与える影響は小さいだろう』と述べた。

 

トルコのインフレ対策は限界に近づいている

ロシアも含めた海外マネーを取り入れようとトルコ政府は、外国人への不動産売却を促進するため、国内の不動産業者への財政支援策を講じる。外資がより積極的にトルコ不動産を購入するようであれば、通貨リラにとっても悪い話ではない。ただ、ウクライナとロシアの戦争が長引くなか、トルコの主要輸出先である欧州の景気鈍化はトルコ経済にとっても懸念材料である。国際通貨基金(IMF)は先週、ユーロ圏の2022年成長見通しを前回3.9%から2.8%に、23年も2.5%から2.3%に下方修正した。経済的に結びつきが強いドイツにおいては、同国連銀が先週末、ロシア産エネルギー禁輸に踏み切ればマイナス成長の恐れもあるとの見通しを示した。またトルコ国内のインフレ高進に歯止めがかからないことも、リラの上値の追いづらさに繋がっている。一部通信社のエコノミスト調査では、足もとで61%を超えているインフレ率が年末までに低下したとしても55%程度との結果がでた。金融引き締め無しでのインフレ対策は限界に近づいている。

 

南アランドは代替輸出国通貨としての需要と金融引き締めが下支え

南アの洪水被害が想像以上に拡大したことがランドの重しになっている。ラマポーザ南ア大統領は被害総額が数十億ランドになると発表した。洪水で被害を受けたインフラ修復のために、財政赤字削減と政府債務抑制の計画に黄信号が点灯している状況である。被害地域にあるトヨタ自動車の工場が操業停止になるなど、民間部門への影響も深刻である。これまではネガティブなニュースに反応が鈍かったことが多いランドも、先週後半から急落している。もっとも、ウクライナでの戦争による代替輸出国通貨としての需要は根強く、下値の支えとなる。また、先週発表された3月CPIは前年比5.9%と予想より弱かったものの、南ア準備銀行(SARB)の目標レンジ(3.0-6.0%)のほぼ上限に達している。インフレ圧力が高いことも、SARBの引き締め強化に繋がるとの思惑から、引き続きZARには買い要因となる。

 

メキシコではリチウム国有化法案可決で新たな火種

憲法改正法案、電力改正法案と立て続けに重要な法案の採決を行っているメキシコ議会だが、今度はレアメタル・リチウムの国有化に関する鉱業法改正案についての採決が行われた。現在リチウム鉱床などの契約は、中国のガンフォン・リチウム傘下のバカノラリチウムをはじめ、外資系企業数十社と結んでいる。今回提出された改正法案では、リチウム自体を国家戦略資源と定めて管理を強化し、民間企業の参加を制限する内容となっている。この法案は発足当時からロペスオブラドールが目標としていた改革案だったが、昨年には一度法案を取り下げるなど断念する姿勢を示していた。しかしながら今回、議会にて19日に採決され賛成多数で可決に至った。これにより、前述したバカノラリチウムを始めとした民間企業には多大な影響を与えることが容易に想定される。もっとも大統領は記者会見で、法案可決に満足し『すべての契約、リチウムの認可が見直されるだろう』と述べた。新たな火種を生んでしまったことは確かである。

 

欧米市場イベント

○17:00   4月独Ifo企業景況感指数(予想:89.0)
○18:00   2月ユーロ圏建設支出
○24:00   マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、議会証言
○ニュージーランド、オーストラリア(アンザックデー)、休場

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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