FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:材料難から上下に振れにくい展開

朝方は、米国株式市場の上昇を好感して高寄りしたものの、NYダウ先物が軟化したことなどから徐々に見送られ、動きに乏しい展開となった。日経平均で2万8000円を超えた上値水準は重さが意識されるとの指摘もあった。市場では、ウクライナ情勢、原油価格、為替動向など環境面に不透明感が漂う中で決め手となる材料に欠き、上下いずれにも振れにくくなっているとの声が聞かれた。結局、前営業日比51円高の2万7787円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:本邦輸入勢のドル買いから122円半ばでもみ合い

ドル/円は、黒田日銀総裁が衆院財務金融委員会に出席し『今回の為替相場の変動はやや急だと思っている』との見解を示した。この発言が円安けん制と受け止められると、ドル/円はドル売り・円買いが強まり、122円台後半から一時122.37円付近まで下落した。しかし、本日は五・十日にあたり、仲値にかけて本邦輸入勢のドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、122円台半ばへ切り返した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、122.50円前後でもみ合いとなった。今晩公表される3月米ISM非製造業景況感指数や米FRB当局者の発言を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.09ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀の金利上昇抑制策の持続余地と一服を睨む展開

日銀は3月後半以降、長期金利の上昇を抑えるため、特定の利回りで国債を無制限に買い入れる『指し値オペ』を強化させた。一方で日銀の指し値オペについては、日本の大中小企業や金融機関による3月『年度末』の決算対応や資金繰り配慮、コロナ打撃配慮などで強化された可能性もある。同時に日本の政府・与党サイドからは、急激な円安による輸入物価押し上げリスクなどの円安弊害も懸念され始めた。その中で日銀が3月期末対応の一段落もあって金利上昇の抑制を後退させたり、政府・与党・日銀から円安のスピード面でのけん制発言が出てくると、ドル/円、クロス円で短期調整的な円高と外貨安が後押しされる。

 

10年物国債金利を7年ぶり上げへ

本邦財務省は5日実施の10年物国債の入札で、国債の額面価格に対する利子の割合を示す表面利率を、現在の年0.1%から0.2%に引き上げる見通しである。米国の急激なインフレと金利上昇の影響で、日本でも長期金利が上昇しているためで実勢に合わせる。10年物国債の利率引き上げは2015年3月以来、7年ぶりとなる。入札は4月発行分から。利率引き上げは住宅ローン金利の上昇や、国の利払い費の増加といったさまざまな影響が出る可能性がある。

 

トルコのインフレ改善の見通しが立たない

3月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比61.14%と予想をやや下回ったが、約20年続くエルドアン政権下では最高水準を記録した。市場の反応は鈍かったものの、インフレ改善の見通しが立たないなかでリラの買いづらさは意識されたままである。3月インフレ指標では、コアCPIも前年比48%台まで上昇し、生産者物価指数(PPI)にいたっては前回105.01%から115%近くまで伸び率が加速した。昨日の指標結果を受けて複数の米金融機関は、年終盤にかけてトルコのインフレ率は65-70%台で推移する可能性があると予想している。ただ、トルコ中銀は為替リンクの預金保護制度に注力しているため、CPIに対応(利上げなどで)することはないと見ている。

 

保険各社は米景気後退を想定:ゴールドマン調査

保険各社の幹部(運用資産総額13兆ドル超=約1600億円)は米国が近い将来にリセッション(景気後退)に陥ると見込んでいることが、ゴールドマン・サックス・グループ実施の年次調査で明らかになった。調査対象となった最高投資責任者(CIO)や最高財務責任者(CFO)328人のうち、60%余りが米国は今後2-3年に景気後退に見舞われると予想した。今回の結果は『世界的に見通しの明確なシフト』を示唆していると、ゴールドマンはリポートで説明した。保険会社の3分の1強は、今後12カ月に最も高い総リターンが見込まれる3大資産に商品(コモディティー)を挙げた。同項目は過去3年間にわたってプライベートエクイティー(PE)や新興国株が独占していた。

 

米国市場では2月貿易収支が公表:予想は▲885億ドル

1月実績は▲897億ドルだった。輸入の増加によって赤字幅は市場予想を上回り、一段と拡大した。2月については、輸出額が急増する可能性は低いとみられており、輸入に対する需要が依然として堅調であることから、貿易赤字額は1月実績に近い水準となる可能性がある。

 

米国市場では3月ISM非製造業景況指数が公表:予想は58.4

2月実績は56.5で1月実績を下回った。新型コロナウイルスの冬場の感染再拡大の影響が消えていなかった。3月についてはロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響が表面化するが、雇用情勢の改善、サプライチェーン(供給網)のひっ迫は解消されつつあること、受注残は高水準を伊jしていることから、2月実績を上回る可能性がある。

 

欧米市場イベント

○15:45   2月仏鉱工業生産(予想:前月比0.2%)
○16:50   3月仏サービス部門PMI改定値(予想:57.4)
○16:55   3月独サービス部門PMI改定値(予想:55.0)
○17:00   3月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:54.8)
○17:30   3月英サービス部門PMI改定値(予想:61.0)
○21:30   2月カナダ貿易収支(予想:29.0億カナダドルの黒字)
○21:30   2月米貿易収支(予想:885億ドルの赤字)
○22:45   3月米サービス部門PMI改定値(予想:58.9)
○22:45   3月米総合PMI改定値(予想:58.5)
○23:00   3月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:58.4)
○23:05   ブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○6日01:30   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○6日03:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討議に参加

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