FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:海外株の底堅い動きに支えられ4営業日ぶりに小反発

大きな手掛かりに乏しく、方向感を欠く動きとなった。朝方に小高く始まった後は、前週末の終値を挟んだ一進一退が続いた。NYダウ先物が横ばい圏のほか、香港株がしっかりとなっており海外株の底堅い動きが支えになった。一方、東証の市場区分再編をめぐっては、大きな影響はなさそうとの見方が優勢ながらまだ始まったばかりでもあり、いったん様子見という向きも少なくなかった。ただ、新年度入りに伴う資金流入への期待が支えとなったほか、米国経済に対する悲観的な見方が和らいでいることも日本株の買いにつながった。結局、前週末比70円高の2万7736円となり4営業日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:円安けん制発言への警戒から上値追いになり難い

ドル/円は、本邦輸出勢などのドル入り・円買いが先行し、122.27円付近まで下落した。しかし、日米金融政策スタンスの違いが鮮明になっているため、下値を追う動きは限られた。その後は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、122.60円台へ値を切り返した。米長期金利が時間外取引で上昇したことも、ドルの買い戻しにつながった。午後は、日経平均株価やNYダウ先物の持ち直しを眺めたドル買い・円売りが入り、122.77円付近までじり高となった。ただ、このところ政府要人から過度な円安をけん制する発言が相次いでいることもあり、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて122.60円台を中心とする狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.10ドル台半ばで小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

OPECプラスは欧米諸国などと距離を置く姿勢

ウクライナ情勢の悪化を受けて国際原油価格は一段と上振れした。その後に米国はロシアを含む主要産油国(OPECプラス)に増産を要求したが、この動きは価格動揺を招いた。31日に開催したOPECプラスの閣僚級会合では、5月は日量43.2万バレルの協調減産縮小を決定した。IEA(国際エネルギー機関)や米国の増産要求にも拘らず小幅減産縮小を維持したほか、今後はIEAのデータ利用を停止するなど欧米諸国と距離を置く姿勢を鮮明にした。米国の戦略備蓄放出決定や中国の景気減速懸念が原油価格の重石となる動きがみられるが、先行きも需給動向を左右する材料に左右される展開が続くと予想される。

 

トルコの3月CPIに注目:付加価値税の引き下げも焼け石に水の状態

本日16時に発表される3月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比予想で61%超えと、前回記録した54%台をしっかりと上回り、20年ぶり高水準の更新が見込まれている。欧米の大手金融機関は、5月から6月の65%前後でインフレ率は頭打ちになるとの予想だったが、このままでは伸び率の更なる加速やピークアウト時期の後ずれも十分に考えられる。物価上昇による市民の負担を減らすため、エルドアン大統領は多くのモノの付加価値税の引き下げに踏み切っている。ただ下げ幅は最大でも10%程度であり、今のところ焼石に水の状態である。インフレ抑制のために利上げという正統的な金融政策を大統領が捨てているため、物価混乱の出口は見えず、投資家の本格的なリラ回帰の遅れが懸念される。

 

南アでは米国よりも利上げペースが速まる可能性も

国際的なエネルギー相場の上昇を受けて、南アフリカでも4月に入りガソリンやディーゼル価格が改定され、同国のインフレ圧力は高まっている。ガソリンは政府が保護策を打ち出し、ある程度の上昇幅に抑えようとしているが、一時は『天文学的な上昇』と報じられていた。南アのインフレ指標は、3月分は20日発表とまだ先である。ただ市場では、南ア準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)が今後2回(5月と7月)、それぞれ0.50%の利上げを決定するとの予測が強まっている。日本との金利差拡大だけでなく、米国よりも利上げペースが速くなる可能性もあり、ランドは対円、対ドルともに底堅い動きになりそうである。

 

メキシコ経済は堅調な回復見込み:国営石油会社ぺメックスがリスク

米ダラス連銀がまとめたレポートによると、メキシコ経済は年初から堅調な回復となった可能性が高いようである。ダラス連銀は『直近のデータはメキシコの輸出が減少する一方で、工業生産、小売販売、雇用が増加したことを示している』としている。4月29日に公表されるメキシコ1-3月期GDP(速報値)で回復傾向が確認されれば、ペソにとっても追い風となる。一方、 格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは昨日、『近い将来においてメキシコの格付けが改善する可能性は低い」との手厳しい評価を下している。ムーディーズによると国営石油会社ペメックスへの継続的な支援がメキシコにとってリスクとなっている。

 

強い米3月雇用統計受け2年債利回りと10年債利回りが逆転

米労働省が発表した3月雇用統計で失業率は3.6%と、2月3.8%から予想以上に低下し、パンデミックにより経済が封鎖した20年2月来で最低水準を回復した。非農業部門雇用者数は前月比+43.1万人と伸びは2月から予想以上に減少した。2月分は+67.8万人から+75万人へ上方修正された。1月分は+48.1万人から+50.4万人へ上方修正され、2カ月連続で9.5万人上方修正された。平均時給は前月比+0.4%と、2月+0.1%から伸びが拡大。前年比では+5.6%と、伸びは2月+5.2%から一段と拡大し20年5月来で最大を記録した。 強い雇用統計を好感し、特に2年債利回りが2.426%まで上昇した。景気後退を示す兆候と注視されていた2年債と10年債の利回りが逆転した。

 

債券市場のカナリアは24年の景気後退を警告

米国債券市場は、逆イールドにより、米国の景気後退を警告してきた。1955年以降、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ局面は13回あるが、平均37ヵ月後にリセッション入りしている。その内、6回は逆イールドが発生し、景気後退入りまでの期間は、約23ヵ月となっている。米FRBは2023年末のFF金利誘導目標を2.75-3.00%と予想し、2.4%に引き下げられた中立金利を若干上回る見通しを示している。逆イールドという債券市場のカナリアは、2024年の米国大統領選挙年の景気後退入りを警告している。

 

欧米市場イベント

○15:00   2月独貿易収支(予想:101億ユーロの黒字)
○16:00   3月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月5.84%/前年比61.50%)
○18:05   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○21:30   2月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比6.8%)
○23:00   カンリフBOE副総裁、講演
○23:00   2月米製造業新規受注(予想:前月比▲0.6%)
○中国(清明節)、休場
○豪州、NZは3日から冬時間に移行済み

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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