FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米中貿易摩擦激化懸念後退で買い戻し優勢

前日のNYダウ137ドル安の反落を嫌気した売りが先行し一時下げ幅を300円超へ広げるも『中国商務時間が貿易交渉のため訪米する』との報道を受け、米中貿易摩擦激化懸念が後退した。そのため、ヘッジファンドなど海外短期筋が先物の買戻しを進めたことで一時上げ幅を30円高へ広げた。結局、前日比12円安の2万2192円と小幅続落で終了した。

 

東京外国為替市場:中国商務次官が貿易交渉で渡米報道を好感

ドル/円は、中国商務省が『中国商務次官が貿易交渉で8月末に渡米する』と発表したことで、ショートカバーが持ち込まれ、110円台半ばから急上昇した。一時300円超安となった日経平均株価が急速に持ち直したことも、円売りを下支えした。しかし、前日のNY市場でつけた111.07円が目先の上値目処として意識されると、上げが一服した。午後は、株価をにらみながら110.80円台を中心とした狭いレジ内でのもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、人民元高・ドル安の流れが波及し、一時1.1398ドル近辺まで上げた。欧州勢待ちの様相となっている。

 

中国商務次官の訪米の件について

中国商務省は16日、ウエブサイトで王受文商務次官が月内に通商協議のため訪米することをを発表した。米国の招請に応じたものとされている。報道によると、王次官(中国代表団)は米国の招請に応じ、マルパス財務次官ら米当局者と会談する予定となっている。 市場関係者の間では、『商務次官の訪米は王副主席の意を受けた動きである可能性が高い』との声が聞かれており、一部では『閣僚級の会合ではないが、通商問題について王副主席の考えを基にした中国側の反論が提示される可能性が高い』と指摘している。 

 

トルコのエルドアンの政策金利への考え方

トルコのエルドアン大統領は金融市場の『常識』からは理解できない、『金利を引き下げればインフレは収まる』とか、『利上げすれば物価がさらに上がってしまう』といった持論をかたくなに押し通しているのか?市場参加者にとっては、非常に不可解な疑問です。ただ、エルドアン大統領の根本的理論に『イスラム金融』があるならば、理解しやすい。トルコ自体は、コンベンショナル金融、つまり、通常の資本市場における金融が9割を超えており、イスラム金融自体はそれほど多くない。しかし、イスタンブールに世界銀行と協力して『グローバルイスラム金融センター』なるものを設立するなど、エルドアン大統領自身もイスラム金融には積極的である。この『イスラム金融』では『金利』という概念が禁止されており、通常の金融市場での『金利』は『収益率』ということになる。例えば、銀行は住宅ローンなどを行う代わりに、買値に収益を上乗せした価格で住宅を販売することで利益を得る。そのため、コンベンショナル金融が発達している市場では、通常の金利水準が、ほぼそのままイスラム金融の利益水準となることから、金利引き上げ=利益率上昇=住宅価格(物価)上昇という図式となる。そのため、政策金利の引き上げを拒んでいることになる。

 

トルコ資産急落で大きな打撃:プロも大きな痛手

トルコの金融市場の混乱で、資産運用世界最大大手ブラックロックやバークレイズのスター債券トレーダーらが大きな痛手を受けた模様。先週末から週明けにかけて通貨リラの記録的な急落とトルコ国債利回り急上昇により、一部の大手投資家の戦略が上目に出たとみられる。ブラックロックは海外投資家として最大のトルコ国債保有者で、危機発生時に一部のアクティブ型ファンドでトルコ国債のポジションを大量に抱えていた。

 

貿易戦争で米中ともに負の影響が出始めている

米国では、市場予想を下回る景気指標が増えつつある。発表された米指標が事前予想を上回るほご上がり、市場予想を下回るほど下がる『エコノミック・サプライズ指数』が低下傾向をたどり、7月中旬から約10ヵ月半ぶりにマイナスに転じた。最近、市場予想を下回った米経済指標に住宅着工件数、雇用統計、卸売物価指数(PPI)などがあり、さらに米7月ISM製造業景況指数などは特に非製造業の下げ幅が約1年ぶりの大きさだった。貿易戦争は企業心理を冷やし、景況感の悪化を促し、派生的に『トルコショック』のような局地不安を発生させる。しかも、米中『貿易戦争』の本格化により深刻なダメージを受けるのは中国の輸出であり、すでに中国政府は構造改革よりマクロ経済の安定確保を優先せざるを得なくなっている。中国でも、輸出入や不動産投資は堅調だったがインフラや設備投資など固定資産投資の伸び鈍化が続くなど、14日までに発表された中国7月経済指標から緩やかながらも中国減速が鮮明になっている。

 

インドネシア中銀はルピア安防衛で予想外の利上げ

インドネシア中銀が、市場の予想の据え置き予想に反して5.50%への利上げを実施した。中銀は今年に入ってからの対ドルでの自国通貨ルピア下落を抑制するため既に3回、計1%の利上げを実施している。先月の会合ではルピア安定に目処が立ったとして据え置きを発表したが、わずか2ヵ月での利上げ再開となった。今回の利上げについて中銀は声明で『金融市場への他国からの魅力を維持することや経常赤字をセーフティーな水準で維持するため』とし、ワルジョ総裁はその後の記者会見で『金融政策スタンスは依然タカ派。ルピアの安定を最優先とし、将来の政策はデータ次第』と明らかに今後ルピアがさらに下落下場合には、一段の利上げを匂わせた。結局は利上げに頼るしかないのが現状となっている。

 

欧米イベント

○15:00   7月独卸売物価指数(WPI)
○16:00   6月トルコ鉱工業生産
○17:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:0.50%で据え置き)
○17:30   7月英小売売上高指数(自動車燃料含む、予想:前月比0.2%/前年比3.0%)
○18:00   6月ユーロ圏貿易収支(季節調整前、予想:180億ユーロの黒字)
○21:30   6月カナダ製造業出荷(予想:前月比1.0%)
○21:30    7月米住宅着工件数(予想:126万件、前月比7.4%)
         建設許可件数(予想:131万件、前月比1.4%)
○21:30   8月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:22.0)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数(予想:21万5000件)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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