FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株式市場の流れを引き継ぎ売り優勢

前日の米国株式市場が軟化した流れを引き継いだ。日経平均は安く始まった後も下げ幅を拡大し、一時400円超安となった。その後は、米3月雇用統計を見極めたいとのムードが広がり、マイナス圏での小動きが続いた。ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や日本国内での新型コロナウイルスの感染再拡大も重石となった。外国為替市場で円安が進行したことなどから、次第に押し目買いも入って下げ渋った。結局、前営業日比155安の2万7665円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:週末ポジション調整のドル売りやや優勢

ドル/円は、新年度入りで本邦輸入勢や機関投資家などからドル買い・円売りが多く持ち込まれ122.60円台へ上伸した。米長期金利が上昇したことも、ドルの押し上げ要因となった。鈴木財務相が『為替の安定は重要で、急速な変動は望ましくない』『政府として為替市場の経済への影響を緊張を持って注視している』などと発言したが、ドル/円相場への影響は限定的だった。午後に入っても堅調地合いは続き、122.73円付近まで値を上げた。ただ、今晩発表される3月米雇用統計や3月米ISM製造業景況感指数を見極めたいとの雰囲気もあり、上げは一服した。その後は、週末を控えた利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、122.30円台へ下落した。ユーロ/ドルは、1.10ドル台後半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

仏大統領選は初回投票でマクロン大統領の圧勝には注意

約10日後に迫るフランス大統領選挙の初回投票は、ウクライナ情勢を追い風にマクロン大統領がリードを保っているが、低所得者層への配慮を前面に打ち出す極右のルペン候補と極左のメランション候補が最終盤で追い上げている。ルペン候補が決選投票でマクロン大統領との差を縮めるためには、初回投票で共和党のペクレス候補を支持した有権者のより幅広い支持を獲得することと、メランション候補を支持した有権者の投票棄権が増える必要がある。今回の大統領選では有権者の投票意欲がそれほど高くない。決選投票当日は学校の祝日と重なるうえ、マクロン大統領の再選濃厚との安心ムードが広がれば、世論調査が示唆する以上にルペン候補が善戦する可能性がある。初回投票でのマクロン大統領の圧勝にこそ注意が必要となる。

 

トルコ中銀の外貨準備高の再拡大の動きが一服

持ち直していたトルコ中銀の外貨準備高も、このところは再拡大の動きが一服している。昨日発表された先週末時点のネット準備高は、前週比で12.4億ドル減少した。また逆に、トルコ国内の外貨預金と金保有高は前週比で11.6億ドル増加しており、リラの対ドルやユーロでの伸び悩みに繋がっている。

 

南アのインフレ高進でランドは底堅い展開

南ア政府はインフレ対応策を打ち出している。そのうちの一つが、緊急的に燃料価格の介入に乗り出したことである。議会の委員会は一定の期間、燃料に対する免税期間を提案した。これにより1リットル当たり3.93ランド、価格が抑えられるとしている。ランド/円の買いトレンドは変わらないと思われる。一つ目は日本の低金利政策継続の中で円安を止めるような方向にないこと。そして、二つ目は昨日の南アの生産者物価指数(PPI)を見てもわかるように、南アのインフレが高進していることが要因である。上述のように南ア政府はインフレ抑制を計画しているが、簡単には南アのインフレは止まりそうもない。(2月PPI:前月比+1.1%、前年比+10.5%)


メキシコ中銀は今後タカ派色強まる可能性も

メキシコ銀行(中央銀行)のエスキベル副総裁は『メキシコのインフレ率・コアインフレ率は依然として高く、引き下げるためのプロセスも想定より時間を要するだろう』との見解を示した。その上でメキシコの金利は2023年に現在よりも少し高くなる可能性があるとしている。政策メンバー内で最もハト派とされているエスキベル副総裁の発言ということもあり、今後は中銀内でさらにタカ派色が強まる可能性もある。

 

米2月コアPCEは83年来で最大の伸び:インフレが鈍化する兆候も

米国商務省が公表した2月個人所得は前月比+0.5%となった。伸びは1月+0.1%から拡大し昨年11月来で最大になった。2月個人消費支出(PCE)は前月比+0.2%となった。伸びは1月+2.7%から予想以上に縮小し12月来で最小の伸びとなった。1月分は+2.1%から+2.7%へ上方修正された。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注視している燃料や食料を除いたコアPCE価格指数は前年比+5.4%と、1月+5.2%から伸びが拡大し1983年3月以降ほぼ39年ぶり最大を記録した。しかし、予想は下回り、FRBの見通し通り、インフレが少しづつ鈍化する兆候を示した。

 

米国市場では3月雇用統計が公表:堅調な雇用情勢継続の可能性

3月の米雇用統計では堅調な雇用情勢が継続していることが示される可能性が高い。非農業部門の就業者数の市場予想は前月比47万7500人増と2月の67万8000人増からは鈍化するものの高水準が維持され、失業率は2月の3.8%から3.7%へ低下すると見込まれる。30日に米民間雇用サービス会社ADPが発表した3月の全米雇用リポートにおける非農業部門の雇用者数(政府部門を除く)は45万5000人増と市場予想とほぼ一致し、市場の反応は限られた。29日に発表された2月の雇用動態調査(JOLTS)では非農業部門の求人件数が前月比ではわずかに減ったものの過去3番目の高水準が維持され、労働市場の逼迫が続いていることが示されていた。3月の米雇用統計における『平均時給』は前年比5.5%上昇と2月の5.1%上昇から伸びが加速すると予想されている。完全雇用と賃金インフレ加速が意識され、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ加速観測が改めて正当化されることになる。

 

欧米市場イベント

○15:30   3月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%)
○16:00   3月トルコ製造業PMI
○16:30   3月スイス製造業PMI(予想:60.5)
○16:50   3月仏製造業PMI改定値(予想:54.8)
○16:55   3月独製造業PMI改定値(予想:57.6)
○17:00   3月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:57.0)
○17:30   3月英製造業PMI改定値(予想:55.5)
○17:30   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○18:00   3月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比6.6%)
○18:00   3月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比3.1%)
○18:45   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○19:00   マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○21:30   3月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化47.75万人/失業率3.7%/平均時給、前月比0.4%/前年比5.5%)
○22:05   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○22:45   3月米製造業PMI改定値(予想:58.5)
○23:00   2月米建設支出(予想:前月比1.0%)
○23:00   3月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:59.0)
○2日00:30   3月メキシコ製造業PMI
○2日03:00   3月ブラジル貿易収支(予想:90.13億ドルの黒字)
○欧州連合(EU)・中国首脳会議(オンライン形式)
○3日 豪州、NZが冬時間に移行

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