FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:戻り待ちや利益確定売りで上値の重い展開

前日の米国株安を嫌気して軟調に始まりとなったものの、原油価格の下落を下支え要因に戻り歩調となった。しかし、中国国家統計局が発表した3月の製造業PMIが予想を下回ったことを嫌気し、再びマイナスに沈んだ。市場では期末を前にした買い戻しも一巡した一方、テクニカル面では厳しいところにきており、上値が追いにくくなった。2万8000円近辺では幅広い銘柄で戻り待ちや利益確定売りが出て上値は重かった。結局、前営業日比205円安の2万7821円と続落して終了した。

3月第4週(22日~25日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家(外国人)は1649億円の売り越しとなり、5週連続となった。個人投資家は3472億円の売り越しとなり、2週連続となった。信託銀行は278億円の買い越しとなり、2週連続となった。

 

東京外国為替市場:月末・期末に絡んだ値動き

ドル/円は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りが先行して、121円台後半から122.45円付近まで上昇した。本日は月末・期末にあたり、仲値にかけて本邦輸入企業のドル買い・円売りも通常より多く観測された。ただ、今週に入ってから政府要人や経済界から過度な円安をけん制する発言が相次いでいるため、上値を追う動きは限られた。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、122円台前半でもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.1160ドル台を中心とする狭いレンジで取引された。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ユーロ圏では景況感は低下するもインフレ期待は過去最高

欧州委員会の発表によれば、景況感は108.5と、前月の113.9から低下した。市場予想の108は若干上回った。インフレ期待値は統計を開始した1985年以降で最高となった。
ユーロ圏はウクライナ侵攻の影響を受けており、景況感の悪化や物価上昇が消費や投資の重石になるとみられる。

 

独CPIが92年来で最大の伸び:欧州燃料危機警戒

ドイツの3月消費者物価指数速報値は前年比+7.3 %となった。伸びは予想を大幅に上回り統計が開始された1992年以降で最大を記録した。欧州はウクライナ戦争の制裁で、ロシア産の燃料輸入依存を軽減する計画だが、ルーブルの支払いを巡り、ロシアが欧州へのガス供給を停止する可能性もあり、燃料価格をさらに押し上げ、インフレを上昇させる可能性が懸念されている。

 

2月トルコ貿易収支は赤字幅の縮小予想:観光業低迷でリラの上値は重い

日本時間16時に発表される2月トルコ貿易収支は、予想81億ドルの赤字と前回からは20億ドルほど赤字幅の縮小が見込まれている。ただ、露ウクライナ戦争の影響でトルコにとって重要な輸出先であるドイツの景気鈍化が懸念されるなか、今後も赤字幅は高水準で推移する可能性は高い。くわえてトルコの主要産業の1つである観光業は、重要顧客であるロシアとウクライナからの観光客の減少が確実視されている。外貨獲得の手段が限られてきており、リラ相場の上値の追いづらさに繋がっている。

 

南アでは内閣不信任案が提出されたが反応薄

南アでは、昨日ラマポーザ南ア大統領に対して、内閣不信任案が提出されたが、野党からの提案であり、市場は可決する見込みもほぼないことで反応はしなかった。

【今日の予定】
2月南アフリカPPI(予想:前月比0.9%/前年比10.2%)
2月南アフリカ貿易収支(予想:219億ランドの黒字)

 

2度の石油危機より深刻な状態:予想以上の利上げの必要性も

米10年債利回りが2.0%程度であるのに対し消費者物価指数(CPI)が7.9%、つまり長期金利とインフレ率の差が5.9%という大幅なギャップの存在は、1962年から2度の石油危機を通じても現在まで存在しない。10年物利回りからCPIインフレ率を比較したグラフをみると、1973年の石油ショック後の1974年12月10年債利回り7.45%に対しCPIが12.1%とギャップ4.7%、1979年の石油ショック後の1980年6月に10年債10%とCPIの14.5%のギャップ4.5%の2回しか4.5%超のギャップは存在していない。つまり、現在の10年債利回りとCPIのギャップ5.9%は1970年代初頭や1980年代初頭の石油危機時の高インフレ時代より深刻かつハイパー・インフレ時代を彷彿とさせるもので、多くの識者が予想するFF金利2%台半ばへのメジャード利上げで退治できるような生易しいインフレではない可能性が高い。

 

米国労働省はワシントンで1日に3月雇用統計を発表

エコノミストの平均予想で、失業率は3.7%と、2カ月連続低下でパンデミック前の水準回復が予想されている。非農業部門雇用者数は49万人増と、2月67.8万人増から伸びが鈍化するものの、歴史的には依然高水準を維持する見通しである。平均時給は前月比+0.4%、前年比+5.5%と、それぞれ、横ばい、+5.1%から伸びが拡大すると見られている。先行指標の中で雇用統計と相関関係が最も強いとされる民間の雇用者数を示すADP雇用統計の3月分は前月比+45.5万人と、2月+48.6万人から伸びが鈍化も予想を小幅上回った。一方で、失業保険申請件数は1969年以降53年ぶり低水準を記録しており、労働市場のひっ迫を示す結果となった。

■市場予想:失業率:3.7%(2月3.8%)非農業部門雇用者数:前月比+49万人(2月+67.8 万人)民間部門雇用者数:前月比+49.9万人(+65.4万人)平均時給:予想:前月比+0.4%、前年比+5.5%(+0.0%、+5.1%)

 

米国市場では2月PCEコア価格指数が公表:予想は前年比+5.5%

供給制約の影響は消えていないこと、インフレの進行を抑制する材料は少ないことから、2月の上昇率は1月をやや上回る可能性が高い。5%超のインフレ率がしばらく続くと見られており、5月に0.5ポイントの追加利上げが実施される可能性は一層高まる。

 

欧米市場イベント

○15:00   2月独小売売上高(予想:前月比0.5%/前年比6.1%)
○15:00   3月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.8%)
○15:00   10-12月期英国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比1.0%/前年比6.5%)
○15:00   10-12月期英経常収支(予想:176億ポンドの赤字)
○15:30   2月スイス小売売上高
○15:45   3月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比1.3%/前年比4.3%)
○15:45   2月仏卸売物価指数(PPI)
○15:45   2月仏消費支出(予想:前月比1.1%)
○16:00   2月トルコ貿易収支(予想:81億ドルの赤字)
○16:55   3月独雇用統計(予想:失業率5.0%/失業者数変化▲2.00万人)
○17:00   レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼主任エコノミスト、講演
○18:00   2月ユーロ圏失業率(予想:6.7%)
○18:30   2月南アフリカPPI(予想:前月比0.9%/前年比10.2%)
○19:00   外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
○19:00   デギンドスECB副総裁、講演
○20:30   3月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:00   2月南アフリカ貿易収支(予想:219億ランドの黒字)
○21:30   1月カナダGDP(予想:前月比0.2%/前年比3.6%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:19.7万件/135.0万人)
○21:30   2月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.5%)
       2月米個人所得(予想:前月比0.5%)
       2月米PCEデフレーター(予想:前年比6.4%)
       2月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.4%/前年比5.5%)
○22:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○22:45   3月米シカゴ購買部協会景気指数(予想:57.0)
○石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」閣僚級会合

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