★日経平均株価:配当落ち分は埋めて終了(240円以内の下落)
前日の米国株が上昇したことに連れ、朝方は配当落ちの影響がある中でも横ばい圏からのスタートとなった。そして、プラスで推移する場面もあったが、上値が重くマイナス圏に沈むと、次第に下方向への勢いを強めた。配当落ちの影響が少ないマザーズ銘柄には強く買われるものが多かったが、それが余計に主力株の買いづらさを意識させられた。配当落ち分の240円程度を埋める水準がほぼ2万8000円で、この近辺ではいったん下げ渋る展開になった。しかし、場中の値動きが悪いことで高値警戒感が意識され、節目を割り込むと一段安になった。引けにかけては押し目買いも入り2万8000円を回復して終了した。結局、前営業日比225円安の2万8027円で終了した。信用評価損益率は、25日申し込み時点でマイナス11.36%と、前週のマイナス12.27%からマイナス幅が0.91ポイント縮小した。改善は2週連続となった。
★東京外国為替市場:ドル/円は荒い値動きに終始
ドル/円は、本邦輸出勢などから年度末に絡むドル売り・円買いフローが継続的に持ち込まれ、121.80円付近へ大きく下落した。日経平均株価の下げ幅拡大や米長期金利が低下したことも、ドル/円の押し下げ要因となった。昼頃に、『黒田日銀総裁が首相官邸に入り、岸田総理と会談する』との報道が伝わった。前日に政府要人や経済界から過度な円安をけん制する発言が相次いでいたため、政府と日銀が協調して円安に対応するとの思惑から、ドル/円は一段とドル買い・円売りが加速して121.32円付近まで下落した。しかし、下値では日米金融政策スタンスの違いを意味したドル買い・円売りも見られ、122.00円付近へ値を切り返す荒い値動きとなった。黒田日銀総裁が岸田総理との会談後に、『為替についての話はとくになかった』『日銀の金融市場調節が直接的に為替へ影響を与えているとは思わない』などと発言したことも、円売りにつながった。ユーロ/ドルは、米長期金利低下を手掛かりとしたドル売りが一巡すると、1.1110ドル前後で方向感を欠く展開となった。
★日銀が本気モードで金利上昇を抑制
日銀は30日午後、臨時の国債買い入れを通知した。対象は残存期間『5年超10年以下』『10年超25年以下』『25年超』で金額はそれぞれ5000億円、1000億円、500億円だった。午前に予定されていた中期と長期債の増額、超長期債の臨時買い入れを行っていた。
今朝の臨時オペに対する市場の反応は良かった(素直に金利が低下した)ことで、日銀は10年金利を0.25%以下に抑えるには超長期債の金利も下げる必要があると確信したのだろう。期末で流動性の低いタイミングで市場にサプライズを与えることで、効率的に金利を下げることを狙ったと思われる。先週までは超長期にには手をつけないと見られていたが、日銀は本気を出してきたとの声も聞こえた。
★1円の円安ドル高でTOPIXの予想経常利益は0.25%押し上げ:野村証券
野村証券は29日付の日本株ストラテジーのリポートで、円安による日本株への影響を試算した。それによれば、現在の日本企業業績における具体的な為替感応度は、同社アナリストが試算する為替感応度を集計すると(為替感応度試算値がない銘柄についてはゼロと仮定)、1円の円安ドル高によりTOPIXの2022年度予想経常利益は0.25%押し上げられる計算になるという。円安は輸入物価上昇により原材料高につながるため、必ずしも日本企業業績にポジティブではないという懸念もあるとしながらも、『しかし、原材料高への影響も考慮に入れたトップダウン分析でも、1円の円安ドル高で同経常利益は0.22%押し上げられると試算している』と指摘した。これまでの円安・ドル高は経常利益ベースで原油価格上昇によるマイナス影響の約40%を相殺しているとも指摘した。
★日銀短観では企業の利益計画に要注意:大和証券
大和証券では、4月1日(金)に発表される3月調査の日銀短観に注目している。3月11日に発表された1-3月期法人企業景気予測調査では、大企業全産業の景況判断指数が3四半期ぶりのマイナスとなった。ただ当該調査の回答基準日は2月15日で、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めた影響を十分に反映できていない可能性があると、大和では考えている。一方、3月調査の日銀短観の回答期間は2月25日~3月31日で、この影響を十分反映するとみられる。大企業の業況判断DIが製造業・非製造業とも7四半期ぶりに悪化すると予想されていることに加えて、今回初めて発表される2022年度の企業の収益計画が減益となる可能性に注意が必要としている。
★ユーロ圏の回復期待しぼむ:ウクライナ紛争や高インフレが要因
ドイツとフランスで29日に発表された消費者信頼感指数は、インフレ高進やロシアのウクライナ侵攻の影響を巡る懸念から、予想以上の落ち込みとなった。ECBはユーロ圏が景気後退を回避できるという見解を示しているものの、域内3大経済大国の消費者信頼感の低下はこうした見通しに影を落としている。さらに関係筋によると、域内3位のイタリアも経済成長予測を下方修正する見通しとなった。
ドイツでは、2月時点では、新型コロナウイルス制限措置の緩和で消費者心理が回復するとの期待がまだ高かったが、ウクライナ紛争でそうした期待が消滅した。
★トルコのインフレ止まらず:来週の3月CPIに注目
一部通信社によるアナリスト調査では、来週発表されるトルコの3月消費者物価指数(CPI)は前年比でついに60%超えが確実視されている。米系金融機関が5-6月に65%前後までインフレ率の上昇を見込んでおり、予想はサプライズではないが、物価高騰に歯止めがかかっていないことは確かである。エルドアン大統領は昨日、医療機器など複数のモノへの付加価値税を引き下げる方針を示したが、残念ながら『焼け石に水』となる。
★南アでは高インフレの中で高失業率:治安の悪化に注意
昨日発表された南アの10‐12月失業率は前回や、市場予想よりもさらに悪化し、2008年からの調査以来で過去最高となる35.3%となった。若年層(15-24歳)は前期と変わらず66.5%となっている。拡大失業率は前期の46.6%から46.2%まで低下している。業種別では、貿易、社会福祉サービスなどの新規雇用が増えた半面、製造業や建設業は減少した。なお、発表後も市場の反応は鈍いままだった。ただし、中長期的にみると、これだけの高失業率の中で、食料品が高騰し、燃料価格も来月から大幅に値上げされることになり、貧困層はより厳しい状況に陥る。南ア経済及び治安には悪材料である。
★2月JOLT求人件数結果からFRBの利上げ加速正当化へ
米労働省が発表した2月JOLT求人件数は1126.6万件と過去最高付近を維持した。1月分も1128.3万件へ1126.3万件から上方修正された。総失業率の627万人を500万近く上回った。その差は、過去最大となった。労働市場の自信をあらわすとして注目される退職率(Quits rate)は2.9%と、1月2.8%から上昇した。自発的離職者は440万人だった。
連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は労働市場のひっ迫が不健全な水準に達したと警戒し、利上げ加速が正当化するとの考えを示している。労働省が発表する最新3月の雇用統計の発表が待たれるが、JOLT求人件数の結果は、労働市場のひっ迫を示す新たな証拠となり、FRBの引き締め加速を正当化する。
★欧米市場イベント
○16:00 3月スイスKOF景気先行指数(予想:100.8)
○17:00 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○17:00 カジミール・スロバキア中銀総裁、講演
○17:10 ブロードベント英中銀(BOE)副総裁、講演
○18:00 3月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:109.0)
○18:00 3月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲18.7)
○18:00 ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○20:00 MBA住宅ローン申請指数
○21:00 3月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比1.6%/前年比6.3%)
○21:00 2月メキシコ失業率(季節調整前、予想:3.60%)
○21:00 ウンシュ・ベルギー中銀総裁、講演
○21:15 3月ADP全米雇用報告(予想:45.0万人)
○21:30 10-12月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率7.0%)
○21:30 10-12月期米個人消費(確定値、予想:前期比3.1%)
○21:30 10-12月期米コアPCE(確定値、予想:前期比5.0%)
○21:30 マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○22:15 バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○23:15 パネッタECB専務理事、講演
○23:30 EIA週間在庫統計
○31日01:00 2月ロシア失業率(予想:4.5%)
○31日02:00 ジョージ米カンザスシティ連銀総裁、講演
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