FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:年度末最終売買日に絡んだ買いで高値引け

米国株式市場の上昇や原油価格の下落などが好感され、朝方から買いが先行する展開となった。本日は受渡ベースの年度末最終売買日とあって、それに絡んだ思惑によって株価が振れやすくなっている。中でもインデックスファンドによる配当再投資の動きが、目先的な株高要因になると注目されている。市場では、配当金の落ち分は約236円と試算されている。これによって発生するトラッキングエラーを回避するため、現物の手当てを先物買いを入れる運用担当者が多くなる。結局、前営業日比308円高の2万8252円反発して終了した。

 

東京外国為替市場:月末・期末に絡む売買が交錯

ドル/円は、月末・期末に絡む本邦輸出勢のドル売り・円買いが先行し、123円台後半から123円台前半へ水準を切り下げた。しかし、仲値にかけて本邦輸入勢のドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれると、124.30円付近へ急上昇する荒い値動きとなった。その後、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いに押され、124円を割り込んで123.25円近くへ下落した。松野官房長官や鈴木財務相から過度な円安をけん制する発言が伝わったことも、円の買い戻しにつながった。日銀が初の連続指し値オペを通告し、応札額は2426億円あったことが判明したものの、ドル/円相場への影響は限定的だった。午後に入っても軟調地合いは続き、123.11円付近まで値を下げた。しかし、心理的節目の123.00円が視野に入りすると下げは一服した。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買い・円売りも見られ、123円台半ばへ持ち直した。ユーロ/ドルは、1.09ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米企業の自社株買いが低調:BofA

BofAセキュリティーズの29日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は21~25日の1週間に米国株を13億3800万ドル買い越した。2週ぶりに買い越しに転じたことになる。この週は米長期金利が2.5%台に上昇して主力ハイテク株が軟調な中、S&P500指数が1.79%高で2週連続で上昇したものの、前週(6.15%高)のような強いリバウンド基調が一服した時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が10億8800万ドルの売り越しで、4週連続の売り越し。機関投資家は9億6300万どるの買い越しで、2週ぶりの買い越しだった。個人投資家は7億6800万ドルの買い越しで、2週ぶりに買い越しとなった。企業の自社株買いは6億9600万ドルで4週移動平均(10億3100万どる)を大きく下回った。S&P500の戻り歩調が続く中、HFの売り越し基調が続いた。企業の自社株買いは11ヵ月ぶりの低水準となり、22年1~3月期(1Q )の自社株買いが低調だったことを示唆しているという。コロナ禍前と比べて、これまでの自社株買いの発表額は平均値を50%下回っているとのこと。

 

トルコZ世代は約半数が野党側に投票

世論調査会社ORCがトルコ全土で行った調査によると、同国で3月に総選挙が行われた場合、Z世代(1997年から2012年生まれ)の約半数が野党側に投票する(つもりがある)ことが分かった。トルコのZ世代は900万人以上いるとされ、現在は有権者の13%を占めている。総選挙が行われる2023年には16%まで有権者シェアが広がるもよう。世論調査では、Z世代の13%弱が現与党の公正発展党(AKP)に投票すると答えた。これは現在の最大野党・共和人民党(CHP)の25%台に大きく引き離されおり、野党第2位の優良党(または「良い党・改善党(IYI)」)の18%台にも及ばない。なお、Z世代でどの党に投票するか未定としたのは15%弱、投票しないと答えた人は約13%だった。ワンマン振りが目立つエルドアン・トルコ大統領が率いるAKPがこれら浮遊票を引き付けられるとも思えず、23年の総選挙でAKPはかなり苦戦することになるかもしれない。

 

ロシアの経済低迷がトルコにも影響:S&P

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は昨日、2022年のロシア経済成長率見通しを従来の予想から11%引き下げて、8.5%減とした。ウクライナ侵攻を受けた西側諸国からの経済制裁の影響が考慮された。またロシアと経済的な結びつきを強めていたトルコに対しても、今年の成長見通しを前回予想3.7%増から2.4%増に下方修正している。ただS&Pは見通しについて、過去に例を見ない大規模な経済制裁が実施されており、そのインパクトは依然として不透明としている。更なる成長鈍化も示唆している。

 

南アの中長期的な警戒はインフレ:治安が乱れるか可能性に注意

ランド買い要因としては、ロシアやウクライナの代替輸出国として注目されていることや、南アの金利上昇傾向などがあげらる。ただし、中長期的に警戒しなくてはならないのは、金利上昇の起因となっているインフレである。特に南アの貧困層にとっては生活が困難になる状況。来月から『天文学的な上昇』と噂されているほどの南ア国内のエネルギー価格の引き上げや、貧しい人が通常購入するとされている食品価格が22%超上昇していることが生活苦につながっている。日本でも輸入物価指数が34%も上昇していることで、価格上昇の波が低所得者層の家計負担になっているが、南アはより深刻な状況である。今年は選挙もあることで、これ以上の経済的な負担が生じるようだと、昨年7月のような暴動などで治安が乱れる可能性もあり、要警戒となりそうである。

 

メキシコでは利上げサイクルの継続見通し:ペソ/円は底堅い展開

市場の注目は各国の金融政策へと集まり始めている。ペソ/円もメキシコと日本の金融政策の方向性の違いを手掛かりにした買いが入りやすい。先週にメキシコ銀行(中央銀行)は6.00%から6.50%への利上げを実施した。決定は全会一致となり、これまで早期の追加利上げに慎重な姿勢を示してきたエスキベル副総裁も50bpの利上げに賛成していたことが明らかになった。また、今年のインフレ見通しも大幅に上方修正されており、今後も利上げサイクルの継続が濃厚となっている。

 

米国では年内に逆イールドが起こるとは予想していない:JPモルガン

米国市場では先行きの景気後退を織り込む、年限の短い国債が長い国債を上回る『逆イールド』が警戒されている。JPモルガンは28日付リポートで、通常は利上げ時にイールドカーブ(利回り曲線)がフラット化する傾向があることを踏まえつつ、今後の量的引き締め(QT)が逆の効果を生む可能性があるとして、『今年中に完全な逆転が起こるとは予想していない』と指摘した。米10年債と2年債のスプレッドは2022年12月にプラス15bp程度になると予想した。また、マイナス金利に関して、『過去の逆イールド時には平均プラス200bpであり、現在はマイナスである。極端にマイナス金利の出発点から不況に陥る傾向はない。銀行の貸出基準は依然として緩和されており、銀行は十分に資本化されており、継続的な信用拡大を支えることができる。信用スプレッドは若干拡大したが、長期的な文脈では重要なものではなく、明らかに過去の不況の頃のようなものではない』とも指摘した。利上げの開始には通常、ある程度の市場の不安定性が伴い、この初期の弱さは後に吸収され、市場は上昇する傾向があったことを踏まえつつ、『不況を基本ケースとして見るべきではないと考えている』との認識を示した。

 

米国市場では3月CB消費者信頼感指数が公表:予想は107.0

2月実績は110.5と、1月実績を下回った。短期的な成長予想がさらに弱まり、住、自動車などの購入を手控える消費者が増えていることが確認された。インフレ進行の影響もあったようだ。3月については経済情勢の改善は遅れていることから、2月実績を下回る可能性が高いと予想される。

 

欧米市場イベント

○15:00   4月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲14.0)
○15:00   2月独輸入物価指数(予想:前月比1.8%/前年比26.9%)
○15:45   3月仏消費者信頼感指数(予想:94)
○16:00   デコス・スペイン中銀総裁、講演
○17:30   2月英消費者信用残高(予想:9億ポンド)
○17:30   2月英マネーサプライM4
○18:30   10-12月期南アフリカ失業率(予想:35.1%)
○22:00   1月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比18.4%)
○22:00   1月米住宅価格指数(予想:前月比1.2%)
○22:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○23:00   3月米消費者信頼感指数(予想:107.0)
○23:45   ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○30日02:00   米財務省、7年債入札

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ