FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:利益確定売りも強く下げに転じる場面も

前日の米国株式市場では、主要株価3指数が1%超反発して取引を終了した。これまで売られていた半導体株や大型グロース株に買い戻しが入った。高騰していた原油価格が下落したことも支援材料となった。日経平均株価は、朝方に高く始まったが、8連騰後の週末とあって利益確定や戻り待ちの売りに上値を抑えられた。市場では外部環境に大きな改善はみられず、目先は買い戻し要因以外に積極的に買う理由が見当たらなくなっているとの声が聞かれた。結局、前営業日比39円高の2万8149円と9日続伸して終了した。3月第3週(14日~18日)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は1955億円売り越し、売り越しは4週連続となった。個人投資家は3556億円の売り越しとなり、売り越しは5週ぶりとなった。信託銀行は46億円の買い越しとなり、買い越しは3週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:急ピッチの上昇や持ち高調整のドル売りやや優勢

ドル/円は、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整などのドル売り・円買いに押され、121.70円付近へ下落した。日銀が長期金利の上昇を抑制するための指し値オペ通知を見送ったことも円買いを誘った。午後に入っても軟調地合いは続き、午前中に鈴木財務相から『為替の急速な変動は望ましくない、緊張感をもって注視したい』との発言が伝わったことから、海外勢などがドル売り・円買いに動いて121.18円付近まで下落した。しかし、このところ米FRB当局者からタカ派的な発言が相次いでいるため、下げは一服した。その後は、米金利先行観からドルの押し目買いが入り、121.70円付近へ値を切り返す荒い値動きとなった。ユーロ/ドルは、1.10ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀の円安容認で円売りが継続する可能性も

日銀の片岡審議委員が『円安の全体的な効果はプラス』『円安のデメリットは非常に小さい』と発言し、先週の黒田日銀総裁と同じく、日銀関係者が円安の進行を助長させているかたちである。輸入物価指数が3割を超えて急上昇し、今後も原油高・コモディティ高の中での円安が家計及び経済への影響が出てくるとの意見を、日銀は重要視していないようである。岸田首相は『原油高・原材料高・食材高には万全に対応する必要がある』とし、29日にも物価対策を発表するとしている。しかし、小手先の物価対策で世界的なインフレの勢いを止めるのは難しいだけでなく、円安対策ではないことで、今後も円安がさらに進行する可能性が高い。

 

実質実効為替レートは1972年6月以来の低水準:一段の円安は売られ過ぎ?

ドル/円の上値目処は、2015年6月の高値125.86円だが、当時は黒田日銀総裁が『実質実効為替レート(※67.63)ではかなりの円安であり、一段安はありそうにない』と円安をけん制し、ドル安・円高に反転させた。国際決済銀行(BIS)が発表した円の2月の『実質実効為替レート』は、66.54となり、1972年6月以来の低水準だった1月の67.38からさらに低下している。3月は、ドル/円が122円台に上昇するなど、円が全面安の展開となっており、1972年2月の66.25に近づいている可能性が高い。実質実効為替レートは、日本の貿易量や物価水準が反映して総合的な実力を示しており、輸出企業は海外に生産拠点を移していることで円安の恩恵は限定的となり、購買力の低下は家計の負担を高めることになる。岸田政権による夏の参議院選挙を見据えた輸入物価抑制のための『悪い円安』をけん制する発言には、引き続き要警戒となる。

 

トルコ中銀のMPCで利上げ協議は見当たらず

トルコ中銀が発表した先週の金融政策委員会(MPC)議事要旨では、一部で可能性が報じられた『利上げ協議』に関する記述は見当たらなかった。ところで昨日は、カブジュオール・トルコ中銀総裁が投資家との会合に出席し、金融当局は経常収支の悪化を警戒していると述べた。ただ、経済界が危惧しているインフレ高進に関しては、エネルギー価格が落ち着けば抑制されると楽観的な見方を示したとされている。NATO首脳会議が行われたブリュッセルで予定されていたエルドアン大統領とバイデン米大統領の会談は、直前に取り止められた。トルコ所有のロシア製地対空ミサイルS400について、妥協点が全く見つかりそうもなかったことがキャンセル理由と一部では言われている。トルコは西側諸国が強化している対露制裁に参加しておらず、ウクライナとロシアの仲介役に手を挙げてはいるものの、NATO同盟国と歩調が合っていないことは気になるところである。

 

南ア準備銀行はMPCで予想通り政策金利を引き上げ

注目されていた、南ア準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)は市場予想通りに0.25%引き上げ、政策金利を4.25%に設定した。サプライズだったのが前回1月の会合では1名が据え置きに票を入れたが、今回はメンバー5名中、2名が0.50%の利上げを支持する結果になったことである。前回とは違いかなりタカ派の投票結果になっている。また、1月よりも消費者物価指数(CPI)の予想を大幅に引き上げている。22年のCPI見通しは平均5.8%予想(前回予想は+4.9%)、23年は4.6%(前回予想は+4.5%)へ。コアCPIは22年は4.2%(前回は3.8%)、23年は5.0%(前回は4.4%)とした。 また、国内総生産(GDP)も22年GDP見通しは+2.0%(前回は+1.7%)、23年は+1.9%(前回は+1.8%)と上方修正した。なお、クガニャゴSARB総裁は経済のリスクとしては、電力の負荷制限と(今年総選挙が行われることで)政治の不確実性についても指摘している。

 

メキシコ中銀は7会合連続の利上げ

メキシコ中銀は24日に開催した金融政策決定会合で、政策金利を予想通り0.5%ポイント引き上げ6.50%とした。利上げは7会合連続となった。中銀発表の数時間前にはロペスオブラドール大統領が0.50%ポイントの利上げが決定されたとの異例の公表をしていた。利上げは全会一致だった。中銀は利上げ決定に際し、世界的な金融・財政状況の引き締め、地政学的な紛争に関連する不確実性、インフレ圧力の上昇を考慮したと指摘した。声明で『予想される期間内のインフレの軌道に対するリスクバランスは悪化しており、依然として上方に偏っている』とした。これに先立ち、ロペスオブラドール大統領は午前の定例記者会見で、インフレについて言及するとともに米連邦準備理事会(FRB)の先週の利上げに触れ、メキシコ中銀も政策金利を6.50%に引き上げたと公表した。『メキシコ中銀は昨日、全会一致で決定した。われわれはメキシコ中銀の自主性を尊重する』と述べた。

 

NY外国為替市場ではルーブル売り再開

NY外為市場ではロシアルーブル売りが再開した。本日は、北大西洋条約機構(NATO)緊急首脳会議、G7首脳会議、EU首脳会議(25日まで)が開催され、ロシア対策が協議される。同時に、米国などが追加制裁を発表したためルーブル買いが後退した。ロシアのプーチン大統領は欧州諸国に燃料の購入にルーブルでの支払いを要請したため、一時ルーブル買いが優勢となった。もし、ルーブルでの支払いがなければ、即座に供給を停止すると警告した。これに対し、イタリアはルーブルで支払い意向ないとの姿勢をすでに表明している。さらに、ロシア株式市場で、取引が一部再開した。ただ、空売りは禁止した。非居住者による売買は4/1まで再開されない。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比0.7%/前年比7.8%)
○16:00   2月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比0.5%/前年比5.6%)
○18:00   3月独Ifo企業景況感指数(予想:94.2)
○22:10   ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、討議に参加
○23:00   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討議に参加
○23:00   2月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比1.0%/前年比▲2.2%)
○23:00   3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:59.7)
○26日00:30   バーキン米リッチモンド連銀総裁、討議に参加
○27日 欧州・英国が夏時間に移行

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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