FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:テクニカル面が好転したことで上値追いの展開

ハイテク株に買い戻しが入り、ナスダック総合が約2%高と上げを主導した。米国債利回りの上昇を受けて金融株が買われ、S&P銀行株指数も2.5%高と大きく上昇した。これを受けて、日本株も好地合いを引き継ぐ形で上伸した。ウクライナ情勢や原油を始め資源価格の上昇など不透明要因は残るものの、テクニカル面が好転したことで上値追いに弾みが加わった格好となった。また、来週29日に年度内受渡最終日を控え、配当権利取りの動きが活発化していることも株高の背景にある。結局、前営業日比816円高の2万8040円と大幅に7日続伸した。

 

東京外国為替市場:仲値以降はドルが全般強く底堅い展開

ドル/円は、朝方におよそ6年1ヵ月ぶりの高値121.41円をつけた反動から、利益確定やポジション調整のドル売り・円買いが持ち込まれ、120.80円付近へ下落した。仲値にかけて本邦輸出勢のドル売り・円買いが通常より多く持ち込まれたことも、ドル/円の押し下げ要因となった。しかし、このところ米FRB当局者からタカ派的な発言が相次いでいることもあり、下値を追う動きは限られた。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、小幅に値を下げて121.00円近辺でのもみ合いが続いた。NY時間に予定されているパウエルFRB議長の講演内容を見極めたいとのムードが広がっている。ユーロ/ドルは、1.10ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

追加証拠金の増加で商品派生市場注視する必要:ECB副総裁

欧州中央銀行(ECB)のデギンドス副総裁は22日、コモディティー(商品)のデリバティブ(金融派生商品)価格が不安定な動きで市場のストレスを高めているとして、動向を注視する必要があると述べた。デギンドス氏は会合で『非常に注意深く見る必要がある唯一の市場はコモディティー・デリバティブだ。市場が不安定で、マージンコール(追加証拠金の差し入れ義務)が増え、それに応じられないケースも起きている』と指摘した。『ただ今のところ、強いストレスは見られない。マージンコールの大半は完全に履行されている』と述べた。

 

トルコとサウジアラビアとの溝が埋まる兆し

トルコにとってポジティブ材料は、主要産油国サウジアラビアとの溝が埋まる兆しが見え始めたことである。イスラム協力機構(OIC)会議に先立って両国の外相が会談し、トルコ側からは、建設的な話し合いが行われて関係改善で合意したと発表された。

 

南アでは2月の消費者物価指数に注目

本日は、市場の注目度が高い2月の南ア消費者物価指数(CPI)が発表されることで、イベント前は神経質になりそうである。特に明日には、南ア準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)も開かれることで、CPIの注目度はより高まっている。市場では1月の+5.7%より若干上回る+5.8%の予想となっている。1月に利上げを行ったのにもかかわらず、2月は原油が高騰したことでCPIも下げ止まっていないかたちになる。もし、南アの目標としているバンド(3-6.0%)を上回る結果となった場合は、更にランド買いに動く可能性があるので要警戒となる。

 

メキシコ大統領はメキシコへの投資が高まるとの期待:専門家の間では冷ややか

ロペスオブラドール大統領が定例記者会見で『ロシアとウクライナの戦争により、ロシア産の様々な資源などが禁輸となることを受けて、メキシコへの投資が高まるとの期待感を抱いている』と発言した。この世界的な供給危機の流れに乗って世界で最も投資魅力のある国になることができると自信を示した。ただ、専門家の間では冷ややかな意見が多く、現にロペスオブラドール大統領就任時に比べて昨年末の総固定投資の水準は15%も低下しているため、今回の戦争によってメキシコへの投資状況が一変すると考える向きは少ない。

 

米FRBは10年債と3ヵ月物の利回り差を注視

米債券市場で残存年数の短い国債が、長い国債を利回りで逆転する例が相次いでいる。22日終値では20年債が30年債を上回り、5年債と7年債がともに10年債を上回った。景気後退のサインである『逆イールド』の発生と指摘されるが、正しいとはいえない。米連邦準備理事会(FRB)が景気後退の予測に使うのは10年物と3カ月物の利回り差である。同利回り差は22日時点で1.84%とむしろ昨年末(1.45%)より広がっている。逆イールドにはほど遠く、FRB高官の米景気への強気見通しを支えている可能性もある。逆イールドと景気後退の関係を証明する明確な理論はない。過去のデータに基づく実証的な研究であり、統計的に有意な結果が出ているというに過ぎない。しかし、その予測精度は高い。

 

22年のFOMCはタカ派:5月から2会合連続での50pb利上げ予想も

2022年の連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を有するセントルイス連銀総裁のブラード総裁は21日のインタビューで、FRBが利上げにおいて、積極的に動く必要があるとタカ派姿勢を再表明した。できるだけ速やかに政策を中立にする必要があると主張した。他の22年FOMC投票メンバーも、メスター・クリーブランド連銀総裁やジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁といった超タカ派で構成されている。ウォラー理事も先週のCNBCとのインタビユーで、何回か50ベーシスポイントの利上げが必要と主張していた。ほとんどの、FRB高官はできるだけ速やかに政策を中立にすべきと訴えている。FRB高官は中立水準を2%-2.25%前後と見ている。パウエル議長も21日の全米企業エコノミスト協会年次会合での講演で、『迅速に』金利を引上げ、高インフレの定着を回避するために一段と積極的に利上げをすべきだとの考えを示した。議長のタカ派発言を受けて5月FOMCでの50BPの利上げが確実視されつつある。パウエル議長講演前は短期金融市場での5月FOMCでの50BPの利上げ確率は9%に過ぎなかったが、現状では70%近く織り込まれた。

 

米国市場では2月新築住宅販売件数が公表:予想は81.4万戸

1月実績は80.1万戸だった。住宅ローン金利と価格の上昇を受けて住宅取得の意欲は低下したことから、販売件数は12月実績を下回った。2月については、1月に減少した反動でやや増加する可能性がある。ただ、住宅ローン金利は低下していないことから、1月実績を大幅に上回る可能性は低いと見られる。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月英CPI(予想:前月比0.6%/前年比6.0%)
○16:00      CPIコア指数(予想:前年比5.0%)
          小売物価指数(RPI、予想:前月比0.8%/前年比8.2%)
○17:00   2月南アフリカCPI(予想:前月比0.7%/前年比5.8%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○21:00   ナーゲル独連銀総裁、講演
○21:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、パネルディスカッションに参加
○23:00   2月米新築住宅販売件数(予想:前月比1.1%/81.0万件)
○23:30   EIA週間在庫統計
○24:00   3月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲12.9)
○24日00:30   ビスコ伊中銀総裁、講演
○24日00:45   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○24日04:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、討議に参加

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