FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:円安進行とともに主力銘柄を中心に堅調推移

前日の米国株式市場は軟化したが、前週の好調地合いを引き継ぎ、立ち合い時間ペースで3月1日以来の2万7000円台回復となった。ウクライナ情勢を巡って不透明感が根強い中、パウエルFRB議長が従来の予想よりも積極的な金融引き締めを示唆、タカ派発言が意識された。しかしながら、日本株は米株安を気にすることなく朝方から上値追いの展開になった。米国の急速な景気悪化は避けられるとの見方が出ているとの声も聞かれ、円安進行とともに主力銘柄を中心に堅調に推移した。結局、前営業日比396円高の2万7224円と終値として2月18日以来およそ1ヵ月ぶりに2万7000円台を回復して6日続伸した。

 

東京外国為替市場:日米金融政策スタンスの地下街を意識したドル買い優勢

ドル/円は、前日に行われたパウエル米FRB議長の講演がタカ派的な内容となり、米国の利上げペースが加速するとの思惑からドル買い・円売りが進み119円台半ばから120.10円付近まで急伸した。日経平均株価の大幅高や米長期金利が上昇したことも、ドル/円の押し上げにつながった。ただ、120円台に乗せた達成感から利益確定売りも見られ、小幅に値を下げて119.90円でもみ合う展開になった。午後に入ると、日米金融政策スタンスの違いを意識した仕掛け的なドル買い・円売りが持ち込まれて一時120.46円付近まで急上昇し、2016年2月以来の高値を更新した。輸入物価の上昇で、日本の貿易赤字が拡大していることも円売り要因となった。ただ、心理的節目の120.50円へ接近すると上げは一服、120.30円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、FRBが早ければ次回の会合で0.50%の大幅利上げに踏み切るとの観測から、ユーロ売り・ドル買いが優勢となり、1.098ドル近くへ下落した。

 

損失覚悟で円売り・ドル買いの動き:前週のFX概況


QUICKが18日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は上昇した。ドル/円は取引の総建玉に占めるドル買いの比率は45.2%と前の週末から9.1ポイント上がった。前週は米FRBが利上げに踏み切り、2年ぶりにゼロ金利を解除したことを材料に円安・ドル高が進んだ。相場の流れに逆らう『逆張り』戦略をとってきた個人投資家が、損失覚悟で円買い・ドル売りポジションの解消に動いたことで、ドル買い比率が上がった。ユーロ/円取引の総建玉に占めるユーロ買い比率は25.3%と12.8ポイント低下した。ユーロ/ドル取引のユーロ買い比率は7.3ポイント低い45.7%だった。

 

ロシア国債のルーブル建てが取引再開

ロシアのルーブル建て国債の取引が21日に再開した。金融情報会社リフィニティブによると、10年物国債の利回りは14%台まで上昇(価格は下落)し、前回取引のあった2月25日(12%台半ば)を上回った。取引時間中には利回りが20%に迫る場合もあった。ロシアによるウクライナ侵攻に伴ってルーブル建てのロシア国債の鳥非違が停止し、モスクワ証券取引所では21日から再開された。18日には取引再開を決めたロシア中央銀行が市場の流動性を確保して金融安定化に向けたリスクを抑えるために国債を購入する方針を示していた。

 

ECBは米FRBの金融政策と当面は同調せず:ラガルドECB総裁

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は21日、ECBと米連邦準備理事会(FRB)の金融政策は当面、同調しないとの見方を示した。ウクライナ紛争による欧州と米経済への影響が大きく異なると指摘した。FRBは先週金利を引き上げ、今後も利上げを続ける構えを見せた。一方ECBは過去最低水準にある預金金利の引き上げを急がないとしている。ラガルド氏は金融会合で『(欧州と米国の)経済はウクライナ紛争の前から異なる位置にある』とし、欧州は地理的な理由により米国よりも紛争の影響が大きいと話した。

 

トルコ大統領が統計局の副局長を解任

トルコでは先週、統計局の副局長2名がエルドアン大統領によって解任された。大統領は2019年4月から今年1月にかけて4回も統計局・局長を更迭しており、今回も大統領の意にそぐわない人物を外すという、一連の流れの1つと見られている。なお、1月の局長入れ替え後には、国際統計協会(ISI)と国際公的統計協会(IAOS)が『トルコ統計の信頼性を大きく損ねる』と共同で強い懸念を表明した。トルコでは野党や反政府グループから、トルコ統計局の発表するインフレ率や失業率など重要指標は実態を反映しておらず、改ざんされた数値が提示されているとの批判が出ていた。政治的な圧力を受けて統計局が、国内経済の悪化規模の覆い隠すために数字を操作していると疑われている。統計局のトップを納得できる理由もなしに大統領が挿げ替えているところを見ると、改ざん疑惑が高まっても仕方がない。トルコ政府が実施したインフレ抑制策や景気浮揚対策の効果が見られず、来年の選挙を控えてエルドアン大統領はかなり焦っている。今後、大統領にとって不利な指標結果が出るようならば、見栄えを良くしようと更に統計局に対して圧力を強めるかもしれない。

 

24日の南アの金融政策委員会を注目:利上げの可能性と利上げ幅

南ア財務省は15日、22年インフレ予想を5.0%から5.5%に上方修正した。インフレは『4-5月にピークを迎え、その後は原油価格の下落予想とともに低下』との見解を示した。もっとも、『ウクライナでの戦争が4月以後も継続する場合は、更なるインフレ懸念もある』としている。このような状況下で、今週は23日に2月の南ア消費者物価指数(CPI)が発表されるほか、翌24日には南ア準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)が開催される。インフレが高止まりしており、再利上げの可能性が高まっているが、利上げ幅にも注目されている。現時点では0.25%の利上げが有力ですが、CPIの結果次第では0.50%の利上げ予想になる可能性もある。

 

メキシコ中銀の政策金利上げは織り込み:全会一致の利上げになるか注目

25日にメキシコ中銀の政策金利発表がある。予想では7会合連続となる利上げとなっており、これについては波乱はないと思われる。直近のインフレ指標は高いままでエネルギー価格などを差し引いたコア指数に至っては2001年6月以来の高水準を付けていることもあり、単なる資源高による一時的なインフレとはみなせない状況になっており、中銀もインフレ抑制のための利上げを余儀なくされる。一方で、中銀メンバーの中でもハト派とされるエスキベル・ヒース両副総裁が早期の利上げによる景気後退を懸念しているため、今回の会合で全会一致での利上げとなるかどうかにも注目したい。

 

欧米市場イベント

○16:20   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○18:00   1月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○18:35   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○19:00   1月ユーロ圏建設支出
○21:30   2月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比2.5%)
○21:30   2月カナダ原料価格指数(予想:前月比5.5%)
○22:00   パネッタECB専務理事、講演
○22:15   ラガルドECB総裁、講演
○23:00   3月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:2)
○23:35   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○23日00:15   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○23日02:00   レーンECB専務理事兼主任エコノミスト、講演
○23日03:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○23日06:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、討議に参加

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