FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:大引けにかけて買い強まる展開

連邦公開市場委員会(FOMC)通貨で不透明要因が解消され欧米株が値を戻す中、日本株も連れ高の展開になった。ただ、国内では明日から3連休に入るため、積極的な売買は手控えられた。日経平均株価は朝方に小安く寄り付いた後は、前日終値近辺を挟んだ値動きが続いた。ただ、大引け前に上げ幅は一時200円を超えた。結局、前営業日比174円高の2万6827円と5日続伸して終了した。5日続伸するのは2021年8月30日~9月8日に8日続伸して以来となった。

 

東京外国為替市場:118.70円台でのもみ合い相場

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや米長期金利上昇に支えられ、118.80円付近までじり高となった。原油先物価格の上昇を眺めた資源国通貨高・円安が波及した面もあった。ただ、前日の海外市場でつけた高値118.84円に接近すると上げは一服となった。日銀の金融政策決定会合では、大規模な金融緩和政策の現状維持を決定したが、ドル/円相場への影響は限定的だった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、118.70円台を中心とする狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、1.10ドル台後半で方向感に欠ける値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀会合ではインフレ率の明確な加速を想定:ゴールドマン

日銀が17~18日に開いた金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決めた。ゴールドマン・サックス証券は18日付のリポートで『インフレ率の明確な加速を想定』との見解を示した。リポートでは物価について、現状判断が1月の『小幅のプラスとなっている』から、今回は『0%台半ばとなっている』へと上方修正されたことに着目。加えて「先行き展望では1月の『コア消費者物価指数(CPI)の前年比は、振れを伴いつつも、プラス幅を拡大すると予想される』から、『プラス幅をはっきりと拡大すると予想される』へと表現が強められた」ことも関心を寄せていた。なお、黒田総裁の記者会見については『118円台後半まで進んでいる円安の経済インパクト、特に円安がもららすコストプッシュ・インフレによる家計購買力に対する影響などに対する総裁の見解に注目が集まりそうだ』とし、インフレの観点で為替への言及に注目していた。

 

ウクライナ侵攻で世界成長1%下方修正:OECD

経済協力開発機構(OECD)は17日、2月24日の侵攻開始から1年間の影響を分析ロシアのウクライナ侵攻が世界の経済成長率を1%超押し下げる可能性があると指摘した。ロシアとウクライナの世界GDPに占める比率は2%と小さいが小麦が世界輸出の3割、トウモロコシ2割、石油は1割強を占め商品価格高騰で世界物価が上昇し購買力を奪い成長鈍化に繋がるとの見方を示した。OECDは2021年12月時点で22年の世界GDP成長率を4.5%と予測していた。

 

英国では利上げ休止の可能性も:パンデミック前の水準を回復

英国中銀は17日、金融政策決定会合で、市場の予想通り政策金利を0.25ポイント引き上げ0.75%とすることを発表した。カンリフ副総裁は世帯の賃金の伸びの鈍化を鑑み据え置きを主張し、8対1での決定となった。声明では追加利上げを巡り『可能性がある』と、2月の『可能性が強い』から文言を変更しており、追加利上げの可能性が低下した。燃料価格の上昇が成長を鈍化させる可能性を指摘し、『追加利上げで、両サイドのリスクがある』と慎重姿勢に転じ、利上げ休止の可能性も示唆した。3会合連続での利上げで、パンデミック前の水準を回復したことを考えると、利上げをいったん休止することも理に適う。

 

トルコは3会合連続で政策金利を据え置き

トルコの中銀金融政策委員会(MPC)は、大方の予想通りに政策金利を14%で据え置くことを決定した。据え置きは3会合連続となる。トルコ中銀の声明には、一部で期待されていた金融引き締めを示唆するような文言は全く見られなかった。MPC内で利上げについて議論したかどうかは、1週間後に公表される議事要旨で確認することになる。また声明では、物価安定のために重要とした経常収支を警戒した部分はあったが、今後のインフレ見通しは依然として楽観的とも捉えられる内容だった。

 

南アでは来週のイベントを前に調整入りするリスクに警戒

この数週間は南アの経済指標等では動意づきにくい相場が続いたが、来週は消費者物価指数(CPI)が発表され、南ア準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)も開かれる。イベントを前に調整が入るリスクには警戒を怠らないようにしておきたいところである。なお、ラマポーザ南ア大統領は、ゼレンスキー・ウクライナ大統領と会談をし、ロシアとの仲裁に入りたいと発言した。しかし、ロシアの侵攻に対して中立的な立場を保っている南アに対しては、おそらく多くの国からは『ロシア寄り』と思われていることや、政治的なパフォーマンス色が強いことで実現することはまずないとの意見が多い。

 

メキシコのガソリン価格と財政悪化懸念

先日、メキシコ大統領府の公式ツイッターによる『我々が実施したエネルギー政策のおかげで国内のガソリン価格が1リットル当たり22.42ペソと世界でもっとも安いということを実現できた。』というツイートが地元メディアで話題に挙がっている。このツイートの後、ロペスオブラドール大統領が会見で『ガソリン価格がここまで低いことは国営石油会社ペメックス労働者、そして国民一人ひとりにとって誇りである。米国では1リットル当たり32ペソ、これを見れば分かるでしょう』と自慢げに発言したが、これにはからくりがある。実は政府から莫大な補助金がガソリン価格抑制のために注がれているため、ここまで価格を低くすることができるとのこと。実際この補助金がなければ、国内のガソリン価格は1リットルあたり28-29ペソであるほか、大統領が言っていた米国のガソリン価格も誤りで、実は1リットル当たり25.7ペソとなり、補助金なしなら米国よりも高くなる。そして、専門家の中にはこのまま補助金を費やした場合、メキシコ政府の財政状況は一段と悪化すると懸念しており、仮に補助金を維持するならばその他の予算を調整する必要があるとも指摘している。

 

物価の上振れ続くなら米景気のオーバーキルへの警戒も

米FRBは3月のFOMCで利上げを開始し、今回分を含めて来年末までに2.55%ポイント、0.25%刻み換算で10回の利上げを見込む。過去の利上げ局面の株価パフォーマンスは、利上げ開始から1-3ヶ月は調整色が強まるが、その後は上昇に転じることが多い。今回の利上げペースは、インフレ圧力が抑制された1990年代以降の平均をやや下回るが、2015-18年の前回利上げ局面を大きく上回る。FRBの大勢意見は、インフレ抑制には中立金利を上回る水準への利上げが必要と判断しており、その後の景気後退をある程度容認する内容と言える。物価の上振れが続けば、景気のオーバーキルへの警戒が高まる恐れがある。

 

欧米市場イベント

○15:30   黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
○19:00   1月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前なし/季節調整済90億ユーロの赤字)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:20.00%で据え置き)
○21:30   1月対カナダ証券投資
○21:30   1月カナダ小売売上高(予想:前月比2.4%/自動車を除く前月比2.4%)
○22:00     米中首脳電話会談
○23:00   2月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲6.2%/年率換算610万件)
○23:00   2月米景気先行指標総合指数(予想:前月比0.3%)
○18日01:00   カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○18日02:20   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○18日03:00   ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○インド(水掛け祭)、休場

 

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