FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:中国株の上昇に連れて上げ幅拡大

朝方は北朝鮮から弾道ミサイルの可能性のあるものが発射されたと報じられたが、その後は発射失敗との韓国軍の発表もあり、相場への影響は限定的だった。ウクライナ情勢に不透明感は残るものの、前日の米国株式市場が上昇したことや、原油価格の急落などが好感され、日本株は終始上値をうかがう動きになった。しかし、午後からは米FOMC結果発表を控えて様子見ムードが強まり伸び悩む展開になった。しかし、中国の劉鶴副首相が『中国政府は企業が海外上昇することを支援』と発言すると、上海総合指数や香港ハンセン指数が急騰としたことや、NYダウ先物もプラス圏へ上昇したことを受け、引けにかけて買いが強まった。結局、前営業日比415円高の2万5762円と3日続伸して終了した。信用評価損益率は11日申し込み時点でマイナス15.66%と、前の週のマイナス13.0%からマイナス幅が2.66ポイント悪化した。悪化は3週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:高値警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、118.43円付近まで上昇した。日経平均株価の大幅高でリスク選好が高まったことも円売りを誘った。ただ、前日の東京市場でつけたおよそ5年2ヵ月ぶりの高値118.45円に接近すると上げは一服となった。その後は、高値警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いに押され、118.20円付近へ下落した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、118.20円台を中心とする狭いレンジで取引された。米FOMC結果発表を控えて、様子見ムードも広がった。ユーロ/ドルは、FOMCを控えた持ち高調整などのユーロ買い・ドル売りが一巡すると、1.0970ドル台で方向感を欠く展開となった。

 

本邦貿易収支2月は7ヵ月連続の赤字:原油高などで輸入増加

財務省が発表した2月貿易統計速報によると、貿易収支は6683億円の赤字だった。輸出額、輸入額ともに2月としては過去最大だったが、原油価格上昇などの影響で輸入の伸びが輸出を上回り、貿易赤字は7ヵ月連続となった。輸出は7兆1901億円で前年比19.1%増加した。2月としては比較可能な1979年1月以降で最大だった。前年同月比で12ヵ月連続のプラスだった。一方、輸入は前年比34.0%増の7兆8583億円となった。アラブ首長国連邦(UAE)からの原租油やオーストラリアからの液化天然ガス、ベルギーからの医薬品などの輸入が増えた。輸入も13ヵ月連続で前年で上回った。

 

トルコリラは原油先物の大幅続落を好感した買い:利上げの噂も下支え

原油先物が大幅に続落し、エネルギーを輸入に頼るトルコにとってはポジティブ材料と受け止められ、リラは対ドルを中心に買いが優勢となった。また、あくまでインターネット上の噂だが、トルコ中銀が明日の金融政策決定会合で利上げに踏み切るという話も一時出回っていたようである。ウクライナ国内での戦闘が依然として続くなか、地域情勢を緩和させるためエルドアン・トルコ大統領は、チャブシオール外相をロシアとウクライナに送ることを決定した。戦争当事国との関係性が活かされるのか、チャブシオール外相の手腕が問われる。もしトルコが停戦に一役買うことができれば、戦後秩序の形勢に影響を持つことができると思われ、地域経済の回復に繋がるかもしれない。

 

南ア政府は国家的災害自体を1ヵ月延長:インフレ見通しが上方修正

昨日南ア政府は国家的災害事態を更に1カ月(4月15日まで)延長した。政府と州の機関が新型コロナウイルス後の対策が確実にできるための決定である。2020年3月末から始まった国家的災害事態だが、延長が1カ月単位でしか行えないこともあり、毎月の更新となっている。先週、一部では(コロナ)第4波が4月にも起こる可能性が高いとの予想が発表されており、まだ南アでは予断が許さない状況が続いている。また、昨日は財務省からインフレ見通し修正が発表された。2022年はこれまでの+5.0%予想から+5.5%に上方修正された。4-5月にインフレがピークに達し、それ以後は石油価格が下落するとの予想に基づき、インフレも低下すると見込まれている。もっとも、ウクライナでの戦争が4月以後も続く場合は、インフレの高進や、南ア国内での燃料の配給制を検討する必要があるとも警告している。

 

機関投資家は現金に逃避:BofA調査

BofAの機関投資家への月次調査では、世界経済成長見通しへの懸念が2008年の世界金融危機以降で最も高まり、キャッシュ(現金)の保有が2年ぶり高水準となった。調査は3月4-10日に実施した。2022年の株式市場は弱気相場との見方が過半数を占め、世界の株式への投資配分は2020年5月以来の低水準となった。現金の比率は約6%に上昇した。コモディティー(商品)の比率は過去最高の33%。ヘッジファンドのネットでの株式投資は20年4月以来の低水準となった。

 

欧米の景気後退に陥る確率が上昇:CNBC調査

CNBCがエコノミストやマネーマネジャーを対象に実施した調査によると、米国が景気後退に陥る確率は従来の20-25%から33%へ上昇した。ユーロ圏が景気後退に陥る確率は50%と見ていることが明らかになった。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、全てのシナリオにおいて、インフレは依然斬新的に低下すると予想していると述べており、ECBの金融正常化も先送りされる可能性もある。

 

米国経済指標でインフレピークの兆候と景気過熱感の後退

米労働省が発表した2月生産者物価指数(PPI)は前月比+0.8%と、伸びは過去最大となった1月+1.2%から予想以上に鈍化した。前年比では+10.0%と、予想に一致した。過去最大となった1月に並んだ。変動の激しい燃料や食料品などを除いた2月PPIコア指数は前月比+0.2%。やはり過去最大となった1月+1.0%から予想以上に伸びは鈍化し昨年9月来で最小となった。前年比では+8.4%と、1月+8.5%から伸びは予想外に縮小した。同時刻に発表された3月NY連銀製造業景気指数は‐11.8と、2月3.1からマイナスに落ち込み20年5月来で最低となった。インフレピークの兆候が見られたことや景気過熱感が後退した。

 

米国市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)結果発表:予想は25bpの利上げ

連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で25bpの利上げで、利上げサイクルを開始する見込みとなっている。同時に、FRBはバランスシート縮小を巡る計画を発表する可能性がある。バンク・オブ・アメリカは5月から量的引き締め(QT)を開始すると予想している。 同時に発表される経済、金利、インフレ見通しにおいて、年内の利上げの軌道を探る。成長や失業率見通しは引き下げられ、インフレやコアPCEインフレ見通しは引き上げられると見られる。特に金利見通しは、大幅に引き上げられる可能性が強く、タカ派色が強まる可能性がある。前回12月の見通しで、FRBスタッフは22年に平均3回の利上げを予想していた。会見ではパウエル議長が物価安定を公約。指標次第で50ベーシスポイントの利上げも辞さない構えを示す可能性がある。同時に、ロシア、ウクライナ戦争や商品価格の急騰を見通しリスクとして指摘する可能性がある。バンク・オブ・アメリカは今年5回、来年4回、24年に1回を予想している。米FOMCの声明やパウエル議長会見に注目される。

 

欧米市場のポイント

○20:00   1月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比4.9%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○21:30   1月カナダ卸売売上高(予想:前月比3.9%)
○21:30   2月カナダ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.9%/前年比5.5%)
○21:30   2月米小売売上高(予想:前月比0.4%/自動車を除く前月比0.9%)
○21:30   2月米輸入物価指数(予想:前月比1.5%)
○23:00   1月米企業在庫(予想:前月比1.1%)
○23:00   3月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:81)
○23:30   EIA週間在庫統計
○17日03:00   米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表(予想:0.25-0.50%に引き上げ)
○17日03:00   FOMC、経済・金利見通し発表
○17日03:30   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○17日06:30   ブラジル中銀、政策金利発表(予想:11.75%に引き上げ)
〇ゼレンスキー・ウクライナ大統領、米連邦議会で演説(オンライン)
〇北大西洋条約機構(NATO)国防相理事会(ブリュッセル)
○英中銀金融政策委員会(MPC、17日まで)

 

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