FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:中国でのウイルス感染急拡大を嫌気した売り優勢

朝方に安く寄り付いた後はプラス圏に浮上した。ウクライナ情勢への警戒感は依然として強いものの、原油価格の下落や外国為替市場での円安基調や中国での底堅い経済指標が支えとなり上値を伸ばした。しかし、市場では、中国で新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、経済への影響が懸念されているとの声が聞かれた。結局、前営業日比38円高の2万5436円と小幅に続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:118.60円が意識されると押し戻される展開

ドル/円は、米FRBが積極的に金融引き締めへ向かうとの観測からドル買い・円売りが強まり一時118.45円付近まで上昇した。米長期金利が小幅に上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、2017年1月3日の海外市場でつけた118.60円が上値目処として意識されると上げは一服した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、118.30円台を中心とする狭いレンジで取引された。本日から開催される米FOMCのイベントを前に、様子見ムードが強まった。ユーロ/ドルは、ロシアとウクライナの停戦協議で、何らかの進展があるとの見方からユーロ高・ドル安基調が続き、1.0985ドル付近へじり高となった。

 

★中国株の下げ止まらず:中国株の暴落が世界経済にもダメージ

中国株の下げが止まらない。一部の株価指数の下落率は20世紀前半の大恐慌時や2000年のITバブル崩壊時の米株に迫る。2015年夏の『チャイナ・ショック』時は中国株の暴落が世界経済に大きなダメージを与えた。日本にとっても対岸の火事では済まない可能性がある。21年の昨年来高値から14日までの下落率は香港ハンセン指数が37%、上海総合指数は13%に上る。アリババ集団や騰訊控股(テンセント)などのハイテク銘柄で構成するハンセンテック指数は65%に達した。ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、海外投資家の間でロシアと政治的に近い中国株に対する制裁リスクを敬遠する動きが広がっている。ノルウェー政府年金基金など政府系ファンド(SWF)の売りを警戒する見方も多い。米国政府の締め付けによる中国企業の米国上場廃止懸念や中国本土や香港における新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う経済活動の急減速への懸念もある。

 

英国中銀は17日に金融政策委員会を開催:市場予想は0.25%の利上げ

英国経済については英国立経済社会研究所(NIESR)が8日、『エネルギー価格が現行水準にとどまれば、英国は下期にリセッション(景気後退)入りする』と予測した。一方で英中銀のテンレイロ委員は2日、ウクライナ情勢が『インフレ上振れサプライズにつながる』という警戒感を示している。17日の会合にかけては、基本的なインフレ警戒と利上げ持続姿勢がポンドを下支えする。ただし、会合後には一旦の材料出尽くしのほか、『景気後退』への警戒感が強調されるようなら今後の利上げ慎重化が想起され、ポンド安を促す可能性もある。

 

トルコに車載電池工場の建設を発表

エルドアン大統領もロシア製兵器をトルコが更に購入する可能性についてコメントするのは時期尚早と、これまでの強硬姿勢を和らげているように見える。トルコが国際社会と連携強化に動いたことで、今後(直ぐにというわけではなく)何らかの経済関係に繋がるかもしれない。なお一部メディアが報じたところによると、韓国の電池大手メーカーが昨日、米フォード・モーターとトルコ財閥大手との3社合弁でトルコに車載電池工場の建設を発表した。新工場への投資額は20億ドル前後、早ければ2025年に量産を始めるとされている。これは、トルコ経済にとっては朗報であり、今後の進捗状況が注目される。

 

不足及び価格上昇が南ア経済への影響は大きい

ロシアによるウクライナの侵攻で、南ア産のパラジウムなどに脚光が浴びているが、逆に侵攻の影響のマイナス面も南アでは拡大している。例をあげると、南アは農業肥料の7-8割を輸入に依存し、ロシア産はサウジアラビア産と中国産の次の輸入量だった。また、食用油価格の上昇も南アには大きな痛手となっている。これらの不足及び価格上昇が南ア経済に与える影響は大きくなりそうである。来週発表される消費者物価指数(CPI)は2月分では、3月にかけてもインフレが高進することが予想されるため、南ア準備銀行(SARB)による金融政策の舵取りにより注目が集まる。

 

米国市場ではFRBが15-16日にFOMCを開催:市場予想は0.25%の利上げ

前週10日のECB理事会では、ウクライナ戦争発の経済打撃よりも、資源高などによるインフレ上昇リスクが重視される形で、量的緩和の終了時期が前倒しされた。FRBも同様のインフレ重視によるタカ派(金融引き締め前向き)姿勢が示されると、ドル/円では改めてドル高が後押しされる。ただし、すでにドル/円はFOMCでのタカ派を織り込む形で、前週から114円台から117-118円超えへのドル高・円安が先行加速されてきた。その意味でFOMCではタカ派姿勢が示されても、事前想定の範囲内であれば、短期調整的なドル反落の可能性がある。同時にFRBが戦争影響や物価上昇による米国の『経済打撃』のほうに目配りを強調した場合も、調整的なドル反落が後押しされやすい。短期金融市場は、年内残り7回のFOMCで6-7回の利上げが行われる可能性を織り込んでいる。しかしエコノミストは、3月会合後に公表される金利予測分布図(ドット・プロット)で、年内の利上げ回数が約4回になると予想している。また、引き上げ幅を0.5ポイントとはせずに5回利上げするとの見方も、今回の調査で示された。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○16:00   11-1月英失業率(ILO方式、予想:4.0%)
○16:30   2月スイス生産者輸入価格
○16:45   2月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.7%/前年比3.6%)
○19:00   3月独ZEW景況感指数(予想:10.0)
○19:00   3月ユーロ圏ZEW景況感指数
○19:00   1月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比0.1%/前年比▲0.5%)
○21:15   2月カナダ住宅着工件数(予想:23.80万件)
○21:30   1月カナダ製造業出荷(予想:前月比1.3%)
○21:30   3月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:7.0)
○21:30   2月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.9%/前年比10.0%)
       食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.6%/前年比8.7%)
○16日00:15   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○16日05:00   1月対米証券投資動向
○欧州連合(EU)財務相理事会
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目

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