FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

ウクライナ・ロシア和平交渉

ウクライナからの報道で、ウクライナとロシアの和平交渉が現地時間10時半(日本時間17時半)から開催されると発表された。

 

日経平均株価:値ごろ感を意識した買い

米主要株価3指数先物が朝方ら堅調に推移したほか、WTI原油先物が軟調となり、投資家心理が改善した。朝方に高く寄り付いた後も上値を伸ばし、一時400円超高となった。ウクライナ情勢の好転への思惑や円安が支えとなった。ただ、買い一巡後は伸び悩む展開になった。ウクライナ情勢に一喜一憂する展開が継続しており、まだ予断を許さないとして上値追いには慎重な見方も根強かった。一方、日本株に値ごろ感を意識する声も聞かれ、上げ幅は400円を超える場面があった。結局、前営業日比145円高の2万5307円で終了した。

 

東京外国為替市場:心理的節目の118.00円が視界に入ると上げ一服

ドル/円は、米FRBが積極的に金融引き締めへ向かうとの観測から上値を試す展開となり、一時117.88円付近まで上伸、およそ5年2ヵ月ぶりのドル高・円安をつけた。米長期金利が上昇したことも、ドルの押し上げ要因となった。ただ、心理的節目の118.00円が視野入りすると上げは一服した。午後に入ると、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて117.70円台を中心に取引された。ユーロ/ドルは、1.09ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドル買い比率は07年以降で最低水準

11日時点の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、FX取引で円に対するドルの買い比率は低下した。『ドル/円』取引の総建玉に占めるドル買い比率は36.1%と前の週末から26.5ポイント下がった。集計社数の変更で単純比較はできないが、データを遡れる2007年以降で最低となった。前週は米国でインフレ加速を背景に米FRBによる利上げ観測が高まったことを受け、円安・ドル高が進んだ。短期売買の個人投資家から相場の流れに逆らう『逆張り』の円買い・ドル売りが入った。ユーロ/円取引の総建玉に占めるユーロ買い比率は38.1%と16.8ポイント低下した。円安・ユーロ高が進むなかで、逆張りの円買い・ユーロ売りが入った。『ユーロ/ドル』取引のユーロ買い比率も53.0%と0.8ポイント低下した。『ポンド/円』取引のポンド買い比率は58.5%と5.5ポイント下がった。

 

迫りつつあるロシアのデフォルト:凋落が加速する可能性も

ソブリン債の利払いや元本償還が控えるなか、ロシアがデフォルトに陥る可能性は着実に迫っていると言える。ロシアは1998年にもデフォルトに陥った歴史がある。当時は旧ソ連崩壊後の経済混乱に加え、前年のアジア通貨危機を受けた国際原油価格の低迷も影響した。なお、ロシア通貨危機自体の影響以上にロシアのデフォルトを契機とするヘッジファンドの破たんが国際金融市場の混乱を増幅させた。しかし、足下では外国人投資家のロシア資産の売買が細る上、国債残高の小ささを勘案すれば直接的な影響は限定的である。他方、民間債務のデフォルト懸念の高まりはロシア向け債権を抱える欧州系をはじめ外資系金融機関に悪影響を与える可能性は残る。外資系企業の撤退を巡りロシア政府は接収も辞さない姿勢をみせるが、そうした動きは事態収束後のロシア経済の足かせとなると見込まれ、ロシア経済の凋落が加速する可能性がある。

 

ウクライナ情勢の泥沼化でトルコ経済も停滞懸念

ウクライナ国内の戦闘は泥沼化の様相をみせており、停戦への出口はまだハッキリとは見えない。戦争当事国とトルコは、黒海の対岸という地理的な近さを背景にこれまで経済関係を強めていた。戦闘による被害や西側諸国による対露制裁の強化で地域経済の停滞は避けられず、トルコ経済もダメージを避けることはできない。資源価格が高止まりしていることも、エネルギーを輸入に頼らざるを得ないトルコにとっては外貨需要の拡大に繋がる。またトルコの天然ガス輸入全体の45%、原油は17%がロシア産である。今のところロシアからの購入は継続するとしているが、今後は代替国を探す必要もでてくる。隣国イランの核協議の行方がこれまで以上に注目されるかもしれない。

 

南アがロシアの代替輸入先になるかが注目点

制裁が強化されているロシアの代替輸出国として、パラジウムやプラチナの需要が大幅に伸びてくると、それに絡むランド買い増加の可能性はある。先週、バイデン米大統領がロシアに対しての最恵国待遇を取り消した。米国はロシアからの輸入は全体の1%程度ではありますが、パラジウムの約35%をロシアから輸入している。ロシアの代替輸入先が南アになるかが注目される。

 

メキシコ中銀による利上げ期待がリスク

ペソの下押し要因としてはインフレ高進に伴うメキシコ中銀による利上げ期待が一層高まっていることが挙げられる。先日発表されたCPIはエネルギー価格を除いたコア指数が2001年6月以来の高水準を付けるなど、国内の物価全体が上がっていることが如実に表れたため、インフレ抑制としての追加利上げが急務となっていると市場は判断している模様である。そのため、中銀が景気に配慮して利上げを躊躇すると、市場の失望によるペソ売りがリスクとなる。

 

米3月ミシガン大学消費者信頼感指数:11年ぶりの低水準

米3月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は59.7と、2月62.8から予想以上に低下し11年9月来で最低となった。ロシアのウクライナ侵攻や、原油高などが警戒された。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ期待指数として注目している同指数の1年期待インフレ率速報値は5.4%と、2月4.9%から上昇し、1981年11月来で最高。同5-10年期待インフレ率速報値は3.0%と、2月と同水準を維持した。FRBが指摘するように長期のインフレ期待は抑制されている。指数は11年ぶり低水準になったものの短期期待インフレの上昇で米国債相場は揉み合い。

 

S&P500の年末目標を下方修正:ゴールドマン・サックス

ゴールドマン・サックスは11日付リポートで、S&P500株価指数の2022年末目標を4900から4700へ引き下げた。2月11日に5100から4900に引き下げて以来、今年に入って2回目の下方修正となる。また、S&P500の2022年の1株利益(EPS)を226ドルから221ドルに、23年を240ドルから230ドルにそれぞれ引き下げている。コモディティ価格の急騰と米及び世界景気見通し悪化を反映したもの。エネルギー・セクターを除くS&P500の22年EPS成長率はわずか2%と見込まれた。また、米経済がリセッション入りした場合は、過去のリセッション時のピークから底まで平均下落率が24%であることから、3600まで下落余地があるともしている。ゴールドマンのエコノミストチームは米経済がリセッション入りするリスクを、イールドカーブの傾斜に基づくモデルが現在示唆する確率である20~35%にほぼ沿っているとの見方を示している。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月独卸売物価指数(WPI)
○16:00   2月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.6%/前年比4.0%)
        コア指数(予想:前月比0.4%/前年比4.1%)
○16:45   1月仏貿易収支(予想:96.72億ユーロの赤字)
○16:45   1月仏経常収支
○21:00   2月インドCPI(予想:前年比6.0%)
○ユーロ圏財務相会合
○米国は13日から夏時間に移行済み

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