FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:金利上昇からグロース株の売りに押される展開

米国株安を受けて、200円近く下げて始まった。前日に大幅高となったこともあって、安寄りした後、しばらくは下げ渋る動きが見られた。しかし、ウクライナ情勢や米インフレの加速を警戒した売りがかさんだ。また、マザーズ指数が大きく値を崩したほか、レーザーテックやソフトバンクGなども大幅安となるなど、グロース株が世界的な金利上昇に神経質な反応を示したことから、次第に売りに勢いがついた。下げ幅は700円を超えて心理的節目の2万5000円を割る場面もあった。結局、前営業日比527円安の2万5162円と大幅反落して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円は5年2ヵ月ぶりのドル高・円安

ドル/円は、前日に発表された2月米消費者物価指数(CPI)の強い数字でインフレ圧力が高まり、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めペースが加速するとの思惑からドル買い・円売りが進み、116.30円台へ上昇した。仲値にかけて国内輸入企業のドル買い・円売りも通常より多く観測された。午後に入っても堅調地合いは続き、日米金融政策スタンスの違いが鮮明となっているとで一時116.74円付近まで急伸し、およそ5年2ヵ月ぶりのドル高・円安をつけた。原油などエネルギー価格の上昇で、日本の貿易赤字が拡大していることも円売り要因となった。ユーロ/ドルは、週末を控えた持ち高調整のユーロ買い・ドル売りが一巡すると、1.1000ドルを挟んで方向感に欠ける値動きとなった。緊迫化するウクライナ情勢の動向を見極めたいとのムードが広がった。

 

22年ロシア経済は15%のマイナス成長か:国際金融協会

国際金融協会(IIF)は10日、ロシアの経済成長率は2022年が前年比で15%のマイナスになるとの予測を発表した。従来は3%のプラス成長を見込んでいた。ウクライナ侵攻に伴う日米欧らの経済・金融制裁で金融環境が急速に引き締まっており、成長率のマイナス幅はリーマン・ショックに見舞われた09年の2倍に達するという。今回は紛争とエスカレートはしないという基本シナリオのもとで予測した。リポートでは『通貨ルーブルの急落やロシア株の下落、国債利回りの急上昇でロシアの金融環境は急激に悪化している』と指摘した。他の新興国への影響については『ロシアの経済規模は小さく国債金融市場から孤立しようとしているため波及は見込んでいない』との認識を示した。だが、紛争が激化すれば、ロシア産資源の不買運動が起こり『ロシアの輸入余力が落ち込んで不況が深刻化する可能性がある』とも説明。新興国諸国から資本流出が加速し『安全資産としてドルが買われ、市場は混乱することになる』との見方を示した。

 

ECBは政策金利の据え置きを決定:年内の利上げは除外せず

欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で市場の予想通り政策金利の据え置きを決定した。インフレがECBの目標である2%で安定する可能性が高まったため、インフレの中期見通しが現状通りなら量的緩和を7-9月期に終了すると、想定より早く金融刺激策を終了する計画を示した。年内の利上げの可能性も除外しなかった。 その後、ラガルド総裁が会見で、『金融引き締めではない』と主張した。

 

トルコは米国やイスラエルとの関係改善へ

ロシアとウクライナの間をトルコが取り持った外相会談は、国際社会が期待していたような結果を出すことはできなかった。昨日はエルドアン大統領はバイデン米大統領と電話会談を行い、トルコによる戦争当事国の対話維持の重要性を訴えた。地域の存在感を高めるうえでも、今後もロシアとウクライナの仲介にトルコは努めることになる。また他の外交では、イスラエルの国家元首が10年以上ぶりにトルコを訪問した。ここ数年は不安定だった両国関係が改善に向かうようであれば、貿易やエネルギーなどでトルコの助けになるかもしれない。

 

南アの経常収支は市場予想下回る

昨日発表された、南アの10‐12月経常収支は市場予想や前回を黒字額が減少した。原油価格の高騰、ランド安、外国産品の需要が旺盛だったことが要因となった。市場の反応は限られたが、今後も原油高の影響が出てくることが予想される。

【昨日の指標結果】      (結果)   (予想)
10-12月期南アフリカ経常収支 +1200億ランド +1500億ランド

 

メキシコ中銀は7会合連続の利上げ予想:国内経済への影響を懸念

2月メキシコ消費者物価指数(CPI)は前年比で+7.28%と前月の+7.07%から上昇し、昨年11月に付けた+7.37%に再び迫るインフレ高進を示した。また、エネルギーと農産物を除いたコア指数は前年比で+6.21%と2001年6月以来の高水準を付けるなど、足元の原油高騰だけが国内インフレに影響を与えているだけでなく、価格全体が上昇していることが窺える。この結果を受けて市場では月後半24日に予定されているメキシコ中銀の金融政策決定会合では政策金利を0.50%引き上げ、6.50%と7会合連続での利上げを実施するとの予想が大勢を占めている。ただ、最近ではヒース副総裁やエスキバル副総裁が積極的な利上げに対して難色を示し、国内経済への影響を懸念するなどネガティブな反応を示している。

 

米国ではヨウ素剤が在庫切れ:広がる核への警戒感

米国では目下、放射線の被爆から身を守るとされるヨウ素剤(ヨウ化カリウム)の在庫切れが相次いでいる。ロシアによるウクライナ侵攻がエスカレートし、核を巡る衝突や放射能漏れを招く事故が起こりかねないとの市民の警戒感を色濃く反映している。米食品医薬品局(FDA)からヨウ素剤の販売を承認されている数少ないメーカーの1社であるアンベックスでは、2月24日の週に注文が殺到。月末までには完全に売り切れとなった。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.9%/前年比5.1%)
○16:00   1月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.2%)
○16:00   1月英鉱工業生産(予想:前月比0.1%/前年比1.9%)
○16:00   1月英製造業生産高(予想:前月比0.2%)
○16:00   1月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:126.00億ポンドの赤字/24.00億ポンドの赤字)
○16:00   1月トルコ経常収支(予想:73.0億ドルの赤字)
○16:00   1月トルコ鉱工業生産(予想:前月比▲2.2%)
○17:00   レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○19:00   センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○21:00   1月インド鉱工業生産(予想:前年同月比1.5%)
○21:00   2月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比10.50%)
○21:00   1月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比▲0.4%)
○22:30   10-12月期カナダ設備稼働率(予想:82.2%)
○22:30   2月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化16.00万人/失業率6.2%)
○24:00   3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:61.4)
○欧州連合(EU)首脳会議(最終日)
○13日 米国が夏時間に移行

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