FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:自立反発を期待した買いが活発化

高騰していた原油相場の落ち着きのほか、米国株市場での大幅上昇やウクライナ情勢の好転期待が支えとなった。日経平均は前日までの4営業日で1800円超下落したため、このところ売られていた銘柄を中心に自立反発を期待した買いが活発化した。結局、前営業日972円高の2万5690円と5営業日ぶりに大幅反発して終了した。上げ幅は2020年6月16日以来の大きさだった。3月第1週(28日~4日)の海外投資家(外国人)は2692億円の売り越しとなり、2週連続となった。個人投資家は2941億円の買い越しとなり、3週連続となった。信託銀行は1407億円の売り越しとなり、6週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:日本株の急反発でリスク選好の円売り優勢

ドル/円は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りに動き、116.10円付近へ上昇した。日経平均株価が急反発で、リスク選好が高まったことも円売りを支えた。午後に入っても堅調地合いは続き、アジア株高にも支えられてさらにドル買い・円売りが進み116.20円付近までじり高となった。ただ、2月10日につけた116.34円が視界に入ると上値目処として意識されると上げは一服となった。その後は、利益確定などのドル売り・円買いも見られ、116.10円台を中心とする狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、欧州時間に予定されている欧州中銀(ECB)理事会やロシアとウクライナ・トルコ外相会談を控えて様子見ムードが広がり、1.10ドル台半ばで小動きに終始した。

 

2月の国内企業物価は過去最大の上げ幅

日銀が10日発表した2月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数(2015年=100.0)は前年比プラス9.3%となった。ウクライナ情勢の緊迫化などで資源価格に上昇圧力がかかった。上昇率は前月(8.9%)から拡大し、比較可能な1981年以降で過去最大の上げ幅となった。国内企業物価指数の上昇は12ヵ月連続。指数の110.7は、1985年5月(110.8)以来の高水準となった。

 

欧州市場ではECB定例理事会:予想は各種政策金利は現状維持

欧州中央銀行(ECB)のレーン専務理事は3月2日、『エネルギーなどの供給におけるショックによって引き起こされている現在のインフレ高進について、ECBは忍耐強く対応すべき』と述べた。2月ユーロ圏消費者物価指数速報値は、前年比+5.8%、同コア指数は+2.7%と高い伸びを記録したが、ウクライナ情勢の悪化を考慮して金融政策は現状維持となる可能性が高い。

 

原油価格は値上がりの可能性あり株式には下落余地:クレディ・スイス

株式相場の急落を押し目買いの好機とみるのは時期尚早だと、クレディ・スイス・グループのストラテジストらが指摘した。クレジットスプレッドが拡大しているほか、企業の業績見通しは総じて下方修正されているためだという。ロシアがウクライナを侵攻し、原油価格はバレル当たり120ドルを突破、インフレは高止まりが続いている。欧州および米国の株価は今週に入り低迷していたが、9日には反発している。クレディ・スイスのストラテジストによれば、原油価格は140ドルから160ドルまで値上がりする可能性があり、株価にはまだ下落余地がある。
アンドルー・ガースウェイト氏は『われわれの株式リスクプレミアムのモデルは今も上向きではない』とリポートで指摘した。1990年に起きたイラクのクウェート侵攻では、原油価格がピークに達したのは侵攻から2カ月後だったと説明した。クレディ・スイスのストラテジストはウクライナ危機を理由に、欧州の今年の経済成長率予想をわずか1%と予想。従来の2-2.5%予想から下方修正した。

 

トルコ南部で露外相とウクライナ外相で停戦協議

トルコ南部のリゾート地アンタルヤでは、今週11日から3日間の予定で政府主催の外交フォーラムが開かれる。その前日10日に、ラブロフ露外相とクレバ・ウクライナ外相がチャブシオール・トルコ外相も交えて、停戦に向けた話し合いをする。そのトルコで、ウクライナとロシアの戦争に関する最近の世論調査によれば、調査対象の7割以上がウクライナ情勢を懸念していると答えた。対立する2カ国へのスタンスとしては、『約78%がトルコは中立を保つべき』と考えていることが分かった。ロシア側につくべきとするのは2%強、トルコが加盟している北大西洋条約機構(NATO)側につくべきとしたのは20%弱に留まった。3者会談では大きな進展は期待できないかもしれないが、もし今回のトルコ仲介が露ウクライナ停戦へのきっかけとなれば、中立を望んでいた国民からエルドアン政権への支持が高まるかもしれない。

 

南ア1-3月期の企業信頼感指数は市場予想上回る:新規自動車販売が寄与

昨日発表された1-3月期南ア経済研究所(BER)の企業信頼感指数は市場予想を上回る結果となった。ただし、ロシアがウクライナに侵攻する前に調査結果の大部分が提出され、原油高騰も調査結果に反映されていない。よって、今回の結果では市場は動意づくのは難しい状況だった。なお、5つの調査産業インデックスのうち、3つ(自動車、卸売、製造業)の改善が同指標を押し上げた。特に新規自動車販売が今年の序盤好調だったことも寄与している。

 

メキシコでは原油価格の上昇は痛しかゆし

メキシコ財務省は6日、ガソリンおよびディーゼル燃料に対する補助金をさらに積み増す方針を発表した。燃料価格に対する補助金はすでに法律で定められている上限に達しているが、財務省は『小売価格に影響を与えないよう、さらなる努力が必要だと考えている』として、価格差を補うためのさらなる補助金を提供するとしている。政府のこうした姿勢は燃料価格の高騰に苦しむ国民には歓迎されるが、外側から見ると政府負担のさらなる増加が国家財政に与える影響も気になるところ。『産油国』として知られているメキシコだが、自国の燃料需要を国内でまかなうことができていない『石油製品の輸入国』でもあるため、原油価格の上昇は痛しかゆしといったところである。

 

米1月JOLT求人件数は過去最高:米FOMCの3月利上げを正当化

米労働省が発表した1月JOLT求人件数は1126.3万件と、予想1095.0万件を上回り過去最高を記録した。12月分は1144.8万件と、1092.5万件から上方修正された。雇用統計に続き労働市場のひっ迫を示す新たな証拠となり、3月の連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げを正当化する。

 

米国市場では2月消費者物価コア指数(CPI)が公表:予想は前年比6.4%上昇

2月消費者物価コア指数(CPI)は前年比+6.4%と予想されておりインフレ進行を示唆する数字になりそうだ。ただし、市場予想を下回れば金融引き締め加速の思惑はやや後退し、ドル売りの要因となる。

 

欧米市場イベント

○16:00   1月トルコ失業率
○16:00   2月ノルウェーCPI(予想:前月比0.6%/前年比3.2%)
○18:00   10-12月期南アフリカ経常収支(予想:1500億ランドの黒字)
○21:00   1月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比▲2.7%)
○21:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○22:30   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○22:30   2月米CPI(予想:前月比0.8%/前年比7.9%)
      エネルギーと食品を除くコア指数(予想:前月比0.5%/前年比6.4%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.6万件/145.0万人)
○11日03:00   米財務省、30年債入札
○11日04:00   2月米月次財政収支(予想:2120億ドルの赤字)
○ロシア・ウクライナ・トルコ外相会談
○欧州連合(EU)首脳会議(11日まで)

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