★日経平均株価:ウクライナ情勢を巡る不透明化強く引けにかけ売り強まる
前日まで3営業日で日経平均は1700円下落しており、自立反発を期待した買いが支援した。一方、資源価格高騰によるインフレ高進が消費や企業業績を圧迫し、インフレと景気後退が同時進行するスタグフレーションに向かいかねないとの警戒感も市場ではくすぶっており、戻りを試す展開となったが上値の重い展開だった。ウクライナ情勢を巡る不透明感は根強く、大引けにかけて売り圧力が強まり下げに転じた。結局、前営業日比73円安と2万4717円と4日続落して終了した。信用評価損率は4日申し込み時点でマイナス13.0%と、前の週のマイナス14.32%からマイナス幅が1.32ポイント縮小し、改善は3週ぶりとなった。
★東京外国為替市場:心理的節目の116.00円を上値目処として意識
ドル/円は、本邦輸入勢などがドル買い・円売りや日経平均株価が買い先行で始まったことに支えられて一時115.92円付近まで上昇し、約1ヵ月ぶりの高値を付けた。原油先物価格の上昇を眺めた資源国通貨高・円安が波及した面もあった。ただ、心理的節目の116.00円に接近すると上げは一服した。その後は、利益確定などのドル売り・円買いも見られ、115.80円台を中心にとする狭いレンジで取引された。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、115.80円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、1.09ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。
★本邦勢の2月外債売り越しは1年10ヵ月ぶりの高水準
財務省が8日発表した対外証券投資によると、国内投資家は2月に海外の国債など中長期債を2兆6754億円売り越した。欧州中央銀行(ECB)が金融緩和を縮小するとの観測が広がったことで2月上旬に世界的に金利が上昇(債券価格は下落)。国内投資家の多くが決算期を迎える3月末を前に含み損の拡大を避ける目的で債券売りを進めた。
★ニッケル相場の踏み上げ
ステンレスなどに使うニッケルの国際価格が一段と急騰した。指標となるロンドン金属取引所(LME)の3ヵ月先物価格は8日に1トン10万ドルを突破し、過去最高値を更新した。LMEは8日、ニッケルの取引を即日停止する異例の措置をとり、再開時期を示さなかった。ブルームバークは8日、「中国商品業界の『大物』に数十億ドルもの評価損を突きつけている」と報じた。世界最大のニッケル生産会社である青山控股集団の創業者、項光達氏は青山が積み上げたショートポジションの一部を既に手仕舞ったほか、残りのショートポジションを全て解消するかどうかについても検討しているといい。青山や同社のショートカバーを手掛けたブローカーの買い戻しが急騰につながった可能性があるといい、7日の最高値で計算すると損失が1日に20億ドルを超える可能性があるとみられることで、市場では警戒する見方が出ていた。
★過去最悪のオイルショックを警戒:ゴールドマンサックス
ゴールドマンサックスは7日に発表した顧客レポートの中で、2022年、2023年の原油価格予想を引き上げた。同時に、ウクライナ戦争を受け、世界経済は過去最悪のエネルギーショックに直面することになるだろうと警告。同社のアナリストは22年の価格予想を従来の98ドルから135ドルへ、23年を105ドルから115ドルへそれぞれ引き上げた。
7日付レポートによると、すでに3月のロシア産の原油は半分以上が売れ残りとなっており、このペースが続けば1日で300万バレルのロシア産原油の供給減になり、月ベースでの供給削減規模は、第2次世界大戦以降で5番目に大きなものとなると指摘している。
★商品価格の高騰がトルコ経済の足かせでリラの重石
露・ウクライナ戦争に端を発した商品価格の高騰は止まらず、トルコ経済成長の足かせになるとの見方がリラ売りに繋がっている。今後もしウクライナとロシアが停戦協議に前向きとなった場合でも、実際に停戦に至るまでには時間がかかると思われ、資源大国ロシアへの制裁は継続される。エネルギー価格は高止まりすることが十分予想され、ただでさえ高騰しているトルコのインフレの抑制はますます難しくなった。政治圧力でトルコ中銀が金融引き締めに舵を取れないため、通貨価値の低下を止めるのはなかなか難しい状況である。 西側諸国によるロシアに対する制裁で、ロシアとの人やモノの行き来がかなり制限されている。こちらも観光業や農産物の輸出でロシアに頼るところが大きいトルコにとってダメージとなる。重要な外貨獲得手段を失う期間が長引くようだと、リラの低水準も長期化してしまう恐れがある。
★南アの10-12月GDPはほぼ予想通りの結果
南アの10‐12月国内総生産(GDP)は予想にほぼ沿ったものだった。10-12月期GDPでは、農業、林業、漁業は第4四半期に最も力強い成長(+12.2%)となり、個人向けサービス、貿易、製造業も成長を牽引した。一方で電力・ガス・水道などのインフラがマイナスとなっている。1年を通すと鉱業が+11.8%、農業が+8.3%、製造業が+6.6%、貿易が+6.0%となり南ア経済を引っ張った。プラチナやパラジウム産出国の南ア買い(ランド)への買い意欲もある。しかし、南アのインフレ懸念で今後の経済が不安視されていることや、南アがロシアに対して制裁を科していないことなども国際社会からの非難に繋がりランドの重石となる。
★メキシコ中銀メンバーの中でハト派色を強める動き
昨日アジア時間で一部通信社がメキシコ中銀副総裁が『経済実績は好ましくない。政府はまもなく22年成長予測を修正しなければならないだろう』と発言した。具体的な名前は公表されていないが、副総裁はエスキバル氏かヒース氏のどちらかであり、ヒース氏は先日にも『一段の利上げは景気回復を遅らせる可能性がある』と弱気な見方を示していただけに、中銀メンバーのなかでハト派色を強める動きが出始めていることは確かである。
★欧米市場イベント
○19:00 1-3月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数(予想:47)
○21:00 MBA住宅ローン申請指数
○21:00 2月メキシコCPI(予想:前年比7.23%)
○10日00:30 EIA週間在庫統計
○10日01:00 2月ロシアCPI(予想:前月比1.2%)
○10日03:00 米財務省、10年債入札
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