FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:心理的節目となる2万5000円割れで終了

朝方はロシアとウクライナの停戦交渉の難航や原油価格の高止まりが嫌気され、心理的節目である2万5000円を下回る水準での動きが続いた。ただ、2万5000円近辺では値ごろ感を意識した買いも入り、売り一巡後は下げ幅を縮小した。しかし、その後は再び売られて下げ幅を広げるなど相場が振らされた。目立った手掛かりを欠く中で、週末の先物・オプションの特別清算指数算出(メジャーSQ)を前にしたポジション調整の動きとの声も聞かれた。結局、前営業日比430円安2万4790円と3営業日続落し、2020年11月以来1年4ヵ月ぶりに2万5000円を下回って取引を終了した。

 

東京外国為替市場:ドルは115円半付近で底堅い展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の持ち直しに支えられ、115.51円付近まで上昇した。米長期金利が上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、4日の海外市場でつけた115.55円が上値目処として意識されると上げは一服した。その後は、利益確定や戻り待ちのドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて115.40円を挟んでもみ合いとなった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、115.40円台を中心とする狭いレンジで取引された。ユーロ/ドルは、ロシアへの制裁強化やウクライナ危機によるエネルギー価格の急騰で、欧州経済が深刻な打撃を受けるとの思惑からユーロ売り・ドル買いが優勢となり1.0860ドル付近へ下落した。

 

本邦の原油と天然ガスの購入先国とシェア

2020年の、国連商品貿易統計データベースのを基にした数値ですが、本邦のロシアからの原油輸入は、ロシアはサウジアラビア(39.55%)、アラブ首長国連邦(31.56%)、クウェート(8.93%)、カタール(8.57%)に次ぎ5位(4.14%=約18.0億ドル)となっている。2006年まではトップ10にも入っていなかったが、徐々に輸入額は増え、2015年には一時13.28%を占め2位にまで一時上昇している。また、天然ガス(LNG)は、1位がオーストラリア(40.21%)、2位マレーシア(13.13%)、3位カタール(11.26%)に次いで4位にロシア(7.83%=約23.8億ドル)に位置している。原油同様に2008年まではトップ10外だったが、徐々に上昇し、この7-8年は3-4位をキープしている。

 

ロシアのデフォルトリスクの高まりがトルコ債券にも影響

米欧を中心としたロシアに対する制裁強化により、ロシアがデフォルト(債務不履行)に陥る可能性が高まってきた。他新興国の債券市場もその余波を受け、ロシア軍のウクライナ侵攻前に21%前後で推移していたトルコ10年債利回りなどは一時26%近くまで上昇した。信用リスクを示すトルコ5年物国債CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)も、2008年以来の水準まで高騰している。昨年末時点ではトルコの公的債務残高はGDP比で約4割程度とされているため、同国のデフォルトは現実的ではないが、通貨リラの買いづらさに繋がるのは確かである。

 

南アはスタグフレーションの懸念からランド買い難い

南ア国内での問題としては、原油と小麦の急騰により、インフレが懸念され、今月と5月の南ア準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)では0.50%ずつの利上げもあるのではないかとの声が高まっている。もっとも、南アは金利上昇下での景気後退(スタグフレーション)を懸念する声が多く、金利高がランド買いにはつながりにくい状況である。なお、本日は10-12月期南アフリカ国内総生産(GDP)が発表される。通常であれば非常に重要な経済指標だが、昨年の10‐12月期と今年の1-3月期では、ロシアのウクライナ侵攻による原油価格などの高騰により経済状況に相当の変化が生じているため、今回に限れば反応は限定的になりそうである。

 

米国のレギュラーガソリン平均価格が過去最高

CNNは7日、『全米自動車協会(AAA)の全米ガソリン価格は収集算出している石油価格情報サービス社によれば、米国のレギュラーガソリン平均価格が現在4.14ドルとなり過去最高(4.11)ドルを上回った』と報じた。ロシア軍が2月24日にウクライナに侵攻して以降、0.60ドル’(17%)上昇したことを意味する。AAAによれば、1年前の平均価格(2.768ドル)からは49%上昇している計算で、米個人消費への悪影響が警戒される。

 

米FRBの金融政策の舵取りはさらに困難に

対ロ制裁の一環として米国、同盟国は対ロ産原油の輸入禁止を検討している。バイデン大統領は7日、仏、独、英首脳とビデオ会談を予定している。ただ、欧州にとり、対ロ産原油が不可欠で、ドイツはこの案に反対姿勢を示している。米国は、かわりにべネスエラ、サウジからの輸入などを検討している模様である。供給不安から、石油を始め、商品価格が高騰しており、インフレをさらに押し上げる可能性がある。原油価格は2008年以降ほぼ14年ぶり高値を更新。NY原油先物は一時130ドル台となった。金も一時、20年来の2000ドル台を記録した。同時に、景気後退入りの確率を高めるため、FRBの金融政策の舵取りはさらに困難となる。

 

米国市場では1月貿易収支の公表:予想は▲872億ドル

12月の実績は▲807億ドルで赤字幅は市場予想を下回った。旅行や運輸を中心にサービスの輸出が増加した。ただ、財の貿易赤字は1000億ドルを超えており、過去最大となった。資本財と消費財の輸入が過去最大となった。1月については、資本財と消費財の輸入額が12月に増加した反動で輸入額はやや減少するとされるが、消費財の輸出は伸び悩む可能性があるため、貿易収支は悪化する可能性がある。

 

欧米市場イベント

○16:00   1月独鉱工業生産(予想:前月比0.5%/前年同月比▲1.7%)
○18:30   10-12月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比1.3%/前年同期比1.7%)
○19:00   10-12月期ユーロ圏GDP確定値(予想:前期比0.3%/前年比4.6%)
○未定   ポーランド中銀、政策金利発表(予想:3.25%に引き上げ)
○22:30   1月カナダ貿易収支(予想:16.0億カナダドルの黒字)
○22:30   1月米貿易収支(予想:871億ドルの赤字)
○24:00   1月米卸売売上高(予想:前月比1.0%)
○9日03:00   米財務省、3年債入札
○ロシア(国際婦人デー)、休場

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