★日経平均株価:米金融引き締めへの過度な警戒感後退で買い優勢
前日の米国株高を好感して朝方に高く始まったが、その後は伸び悩んだ。米金融引き締めへの過度な警戒感が和らいだ一方、ウクライナ情勢などの不透明要因が相場の重石となった。半導体関連やグロース(成長)株が買い戻されたほか、米長期金利の上昇を受けて銀行などの金融株、資源高を受けて石油関連や非鉄金属なども物色され、幅広く買われた。日経平均の上げ幅は300円を超える場面があった。一方、原油高が上値を抑える要因となった。結局、前営業日比184円高の2万6577円で終了した。2月第4週(21日~25日)の投資部門株式売買動向によると、海外投資家(外国人)は2678億円売り越しとなり、売り越しは2週間ぶりとなった。個人投資家は1647億円の買い越しとなり、買い越しは2週連続となった。信託銀戸は502億円の買い越しとなり、買い越しは5週連続となった。
★東京外国為替市場:ややドル買いが優勢で115円台後半でもみ合い
ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の反発に支えられ、115.67円付近まで上昇した。前日にパウエル米FRB議長がウクライナ危機下にあっても、金融引き締めを進めていく方針を示したこともドル買い要因となった。午後に入ってもドル買い・円売り基調は続き、115.72円付近まで上昇する場面があった。しかし、2月28日につけた高値115.97円に接近すると上げは一服した。その後は、利益確定などのドル売り・円買いも見られ、小幅に下げて115.65円前後でもみ合いとなった。明日発表される2月米雇用統計を前に、積極的な売り買いは手控えられている。ユーロ/ドルは、本日ベラルーシで行われるロシアとウクライナの2回目となる停戦協議の行方を見極めたいとの雰囲気から、1.1100ドルを挟んで方向感に欠ける値動きとなった。
★ムーディーズがロシア国債を『投機的』に格下げ:3社が全て投機的水準
米格付け会社ムーディーズは3日に、ロシア国債の格下げを発表した。自国通貨建てと外貨建ての長期発行体格付けを、投資適格とされ『Baa3』から投機的水準にあたる『B3』に6段階引き下げた。経済制裁によるロシアの債務返済リスクが高まったとして、今後も格下げ方向での検討を続ける。同社は『(欧米による)制裁がロシアの世界の金融システムへのアクセスを妨げている』と指摘。その上で『3月16日に予定されている1億1700万ドル(約130億円)のクーポンの支払いが遅れないかを監視する』とした。格付け会社によるロシア国債の見直しが相次いでおり、2日にはフィッチ・レーティングスが長期外貨建て発行体格付けを『トリプルB』から『シングルB』に6段階引き下げた。S&Pグローバルは2月25日に外貨建て長期債務格付けを『トリプルBマイナス』から投機的水準の『ダブルBプラス』へと引き下げており、主要格付け3社の格付けが全て投機的水準とされたことになる。
★ロシアはCIPS活用で貿易損失の半分程度をカバー出来る可能性
市場参加者の間では、ロシアはSWIFTから永続的に離脱する可能性があるとみられており、『SWIFTに替わって中国の人民元国際決済システム(CIPS)の活用を大幅に拡大する可能性が高い』と予想されている。中国メディアの『環球時報』は2月28日、『ロシアがSWIFTの迂回先としてCIPSを通じれば貿易損失の約50%を挽回できる』と指摘した。
★トルコの2月インフレ指標を確認:ウクライナ情勢の影響
2月トルコ消費者物価指数(CPI)は前年比52%台まで伸び率加速が見込まれている。資源大国ロシアに対する経済制裁が強化されるなか、原油や天然ガス価格が高騰した。リラ安が改善されないこともあり、エネルギーを輸入に頼るトルコにとってはかなりの痛手である。金融当局やアナリストが予想していた『5月に55%前後でインフレ頭打ち』は、近いうちに上方修正されるとみられる。エルドアン政権は週初、住宅や農業用灌漑に使用される電力に対する付加価値税(VAT)を18%から8%に引き下げを発表した。先月には基本的な食料品のVATを引き下げるなどインフレ対策は講じられているが、その効果は限定的と見られている。
・16:00 2月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月3.80%/前年比52.95%)
★南アランドは金利面では買い・経済面では売り:今後の展開に注目
南ア国内情勢は、原油価格の高騰が痛手となっている。一昨日、メスター米クリーブランド連銀総裁が、ウクライナ情勢でインフレ上昇のリスクと経済成長鈍化のリスクがあることを述べていたが、すでに南アではインフレ上昇・経済停滞に直面している。金利面のランド買いと、経済面のランド売りが、今後どのような展開になるかが注目される。なお、音信が不通となっていた、南アのグローエンウォルド在ウクライナ大使は、昨日無事キエフから出国できたことが確認されている。
★メキシコ大統領の八方美人的な姿勢に対して米国側の反応に注目
メキシコのロペスオブラドール大統領は、『メキシコはロシアのウクライナ侵攻で経済制裁を発動しない』と言及した。メキシコはロシアとの経済・外交的な結びつきは強くないので双方の影響は比較的小さいと思われるが、『世界の全ての政府と良好な関係を保ちたいため』というロペスオブラドール大統領の八方美人的な姿勢は、最大の貿易相手国である米国との関係をこじらせる可能性もあり、米国側の反応にも注目しておきたいところである。
★米議会証言で米金融政策に対する不透明感を払しょく
米下院金融サービス委員会で行われた半期に一度の議会証言において、パウエル米FRB議長が質疑応答の場で答えるかたちで『私は3月会合では0.25%利上げの方向に傾いている』と断言した。更に、『その後インフレ高進が続くようであれば、その後の会合で1回もしくは複数回で0.5%の利上げを行って、積極的に対応していく』方針であることも表明しました。また、『中立金利が2.0%から2.5%の間にあるのか議論している』ことも明かした。市場の3月FOMCでの0.5%利上げ観測を完全に打ち消した一方、その後については、かなりのタカ派的なスタンスを示したといえ、米10年債利回りは一気に1.9078%まで急騰した。1日の1.6800%からは何と22bpを超える急激な上昇となった。市場に突如拡散した米金融政策に対する不透明感をしっかりとケアしたといったところ。市場との対話という意味では、ウルトラC的な対応となった。
★米国市場では4日に2月雇用統計を公表
先行指標の中で雇用統計と相関関係が最も強いとされる民間の雇用者数を示すADP雇用統計の民間雇用者数を示すADP雇用統計の2月分は前月比+47.5万人と、予想を上回った。1月分も+50.9万人と、パンデミック発生来で最低の伸びとなった-30.1万人からプラスに大幅上方修正され、2月の結果にも期待が集まる。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は下院金融サービス委員会での半期に一度の証言で労働市場が非常にひっ迫しており、労働市場参加者の減少が賃金インフレの速やかな上昇に繋がっていると言及した。2月賃金の伸びも5.8%と1月から一段と拡大し20年5月来の大幅な伸びが予想されており、想定通りとなるとFRBの利上げ軌道を正当化し、ドル買いを支援することが予想される。
■市場エコノミスト予想失業率:3.9%(1月4.0%)非農業部門雇用者数:前月比+41万人(1月+46.7 万人)民間部門雇用者数:前月比+39.3万人(+44.4万人)平均時給:予想:前月比+0.5%、前年比+5.8%(+0.7%、+5.7%)
★欧米市場イベント
○16:00 2月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月3.80%/前年比52.95%)
○16:30 2月スイスCPI(予想:前月比0.3%)
○17:05 デコス・スペイン中銀総裁、講演
○17:50 2月仏サービス部門PMI改定値(予想:57.9)
○17:55 2月独サービス部門PMI改定値(予想:56.6)
○18:00 2月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:55.8)
○18:30 2月英サービス部門PMI改定値(予想:60.8)
○19:00 1月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比2.3%/前年比27.0%)
○19:00 1月ユーロ圏失業率(予想:6.9%)
○21:30 ECB理事会議事要旨(2月3日分)
○21:30 2月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○22:30 10-12月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比6.7%)
○22:30 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.5万件/147.5万人)
○23:45 2月米サービス部門PMI改定値(予想:56.7)
○23:45 2月米総合PMI改定値(予想:56.0)
○24:00 2月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:61.0)
○24:00 1月米製造業新規受注(予想:前月比0.7%)
○24:00 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米上院銀行委員会で金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言
○4日02:00 バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○4日02:45 マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、記者会見
○4日03:00 1月ブラジル貿易収支(予想:34.58億ドルの黒字)
○ウクライナ情勢に関する国連人権理事会の緊急会合(ジュネーブ)
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