FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:世界景気の悪化懸念から売りが優勢に

ウクライナ情勢が一段と緊迫化する中、前日の米国株式市場の大幅な下落や原油価格の急騰が嫌気され、幅広い業種で売りが先行した。ウクライナ情勢を巡っては停戦交渉難航で対ロシアの経済制裁の長期化が警戒されており、市場は再びリスク回避ムードに傾いている。日経平均株価は前日まで3営業日で900円近く上昇した反動もあり、利益確定の売りも広がった。ロシアに対する制裁強化が世界景気を冷やすという見方から自動車株など景気敏感株を中心に幅広い銘柄売られた。半面、資源価格の上昇を受けて原油関連や非鉄金属には買いが向かい、相場の下支えとなった。結局、前営業日比451円安の2万6993円と反落して終了した。信用評価損益率は2月25日申し込み時点でマイナス14.32%と、前の週のマイナス12.93%からマイナス幅が1.39ポイント悪化し、悪化は2週連続となった。

 

東京外国為替市場:115円を挟んでもみ合う展開となり方向感出ず

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りに支えられ、115.10円付近まで値を上げた。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドルの買い戻しにつながった。ただ、ロシアとウクライナの軍事衝突が長期化するとの観測が浮上しているため、上値を追う動きは限られた。その後は、日経平均株価の大幅安を眺めたリスク回避の円買いも見られ、小幅に値を下げて115.00円付近でもみ合いになった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、115.05円前後で動きになった。ユーロ/ドルは、1.11ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

欧州市場では2月ユーロ圏消費者物価コア指数:予想は前年比+2.5%

1月実績は+2.3%だった。供給制約の状態は改善していないこと、各種サービス価格の上昇が報告されていることから、2月のコアインフレ率は1月実績を上回る可能性がある。

 

ECBはインフレリスクから難しい判断を迫られる可能性

ロシア大手行の国際的な資金決済からの排除により、ロシアの欧州向け資源輸出が滞るリスクが高まった。事実上の抜け道も用意した形だが、今回の措置で対ロシア貿易がどの程度縮小するかは不透明な要素も多い。ロシアの報復禁輸措置やウクライナの戦闘でのパイプライン破損時も、ガス供給の遮断リスクが高まる。供給不安による資源価格の高騰で、ユーロ圏のインフレ率は一段の上振れが避けられない。政策正常化を目指すECBは難しい判断を迫られる。金融市場の動揺封じ込めや景気の下支えを重視する場合、物価の上振れを容認することにつながり、将来的により厳しい金融引き締めが必要となる恐れがある。

 

金ETF(GLD)に資金が流入:年初来で30億ドル超

1日の米国市場で金を投資対象とするSPDRゴールド・シェアーズ(GLD)に資金が流入した。QUICK FactSet Workstationによれば8億2000万ドルの流入となり、1月21日(16億4000万どる)以来、1ヵ月半ぶりの大きさだった。これで年初来で30億ドル超の流入となった。この日のGLDは前日比1.81%高の181.62ドルで大幅続伸して終えた。ウクライナ情勢の緊迫化を受けて質への逃避で金が堅調な中、GLDもフローの流入を伴いながら買いが優勢だった。米FRBのタカ派姿勢への警戒感もあって堅調なGLDだが、過去1年では46億ドル超の流出超状態にある。

 

トルコはロシアへの国際的な生産の枠組みに参加しないことを表明

一部ロシアメディアは昨日、本日2日にもロシアとウクライナが停戦協議を行うと報じた。しかしながら、報道に対しトルコ大統領府報道官は、両国交渉団と連絡を取っているとしたうえで、両者の隔たりが大き過ぎて交渉が延期される可能性は高いとの見解を示した。またエルドアン大統領はルカシェンコ・ベラルーシ大統領と電話会談をしたようであり、東欧の紛争におけるトルコのプレゼンスが高まっている。もっとも西側諸国が対露制裁を強化しているにもかかわらず、チャヴシュオール・トルコ外相は昨日、国際的な制裁の枠組みにトルコは参加しないことを表明した。戦争終了後のロシアとの経済関係を睨んだ考えなのようだが、米欧のトルコへの反発は避けられない。

 

トルコはインフレ高進で通貨価値の減少は続く

昨日発表されたトルコ最大都市イスタンブールの小売物価指数は、前年比で55%%超まで伸び率が加速した。明日の2月トルコ消費者物価指数(CPI)も50%台乗せが確実視されている。トルコが輸入に頼る原油や天然ガスの価格上昇は止まらず、55%辺りで頭打ちするという市場の見方も今後上振れしてもおかしくない。インフレ対策の効果も薄く、通貨価値の減少は続く。

 

南アの良好な製造業指数を受けてもランドは反応薄

昨日発表された2月のABSA製造業PMIは58.6となった。2007年3月以来、最高の結果となった。通常であればランド買い要因だが、ウクライナ危機により今後の経済情勢が読めなくなっていることでランド相場は反応薄でだった。

 

米2月ISM製造業景況指数/1月建設支出は良好な結果

ISMが発表した2月ISM製造業景況指数は58.6と、1月57.6から予想以上に上昇した。支払い価格は75.6と、1月76.1から予想外に低下した。同時刻に発表された1月建設支出は前月比+1.3%となった。伸びは12月+0.8%から鈍化予想に反して拡大し、1998年6月来で最大を記録した昨年1月以降1年ぶり最大の伸びとなった。事前にマークイットが発表した米1月製造業PMI改定値は57.3と、予想外に速報値57.5から下方修正された。1月55.5からは上昇した。

 

米中間選挙へ向けた予備選開始

バイデン米大統領への審判となる11月の連邦議会中間選挙に向けた民主、共和両党の予備選が、南部テキサス州を皮切りに始まった。20211月に就任した上院の3分の1と下院の全議席が改選となり、両院で与党・民主党が過半数を維持できるかが最大の焦点になる。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.6%)
○17:55   2月独雇用統計(予想:失業率5.1%/失業者数変化▲2.50万人)
○19:00   2月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比5.4%)
19:00   2月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比2.5%)
○20:00   デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:15   2月ADP全米雇用報告(予想:38.8万人)
○23:00   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○23:30   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○24:00   カナダ銀行(BOC、中央銀行)、政策金利発表(予想:0.50%に引き上げ)
○24:00   パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、米下院金融サービス委員会で金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言
○3日00:30   EIA週間在庫統計
○3日01:00   レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○3日01:00   1月ロシア失業率(予想:4.2%)
○3日03:30   テンレイロ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○3日04:00   米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○3日05:00   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
〇国際原子力機関(IAEA)緊急理事会
○石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」閣僚級会合(オンライン)
〇欧州連合(EU)財務相緊急会合

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