FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:25日移動平均線が戻り目処で上値の重い展開

警戒されていた週開けの米国株式市場が波乱回避できたとして、直近で売られていた主力株を買い戻す動きが広がった。2万7000円台前半を通る25日移動平均線が戻りの目処として意識され、上値を抑える形となっており「一段高には追加の材料が必要」との声が聞かれた。結局、前営業日比317円高の2万6844円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:ドル/円は米長期金利の低下で上値の重い展開

ドル/円は、本邦輸入勢などからドル買い・円売りや日経平均株価の大幅高に支えられ、115.30円付近まで上昇した。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、ウクライナ情勢の続報を見極めたいとの雰囲気もあり、上値を追う動きは限られた。その後は、利益確定などのドル売り・円買いも見られ、115.20円前後で取引された。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、小幅に値を下げて115.05円を挟んでもみ合いとなった。今週予定されているパウエル米FRB議長の議会証言や2月米雇用統計を控えて、様子見を決め込む市場参加者も少なくなかった。ユーロ/ドルは、先週末に米欧がロシアに厳しい金融制裁を課したことで、欧州経済への打撃が大きいとの思惑から持ち高調整などのユーロ売り・ドル買いに押され1.1190ドル台へ下落した。

 

トルコがこれ以上ロシアと距離を置くことが出来るのかが注目

トルコのエルドアン大統領は『ロシアによるウクライナ攻撃は許容できない』と同国加盟の北大西洋条約機構(NATO)と足並みを揃えている。トルコ政府は、海峡条約で同国が制限することを認められている『黒海への軍艦通航の停止』を、沿岸・非沿岸国に警告した。ロシア軍艦を想定した措置であり、こちらもウクライナ寄りの対応である。ウクライナはトルコ製のドローン戦闘機を購入しており、在トルコのウクライナ大使によれば、すでにロシア軍相手に使用されている。そういったなかロシア外務省は昨日、ウクライナに武器を提供する国に対し、『ロシア軍に対して武器が使われた場合は相応の責任を負わせる』と発表したことが報じられている。戦争後を睨めば、ロシアにエネルギーや観光業などを頼るトルコとしては関係を維持しておきたいところである。対露制裁に積極的に手を挙げないのも、それどころではないというトルコ側の経済事情もある。トルコがこれ以上ロシアと距離を置くことができるのか、明らかな反プーチン色を強めるのか、エルドアン政権の対応が注目される。

 

南アランド動向は暫くはウクライナ情勢次第

今月の後半には南アの消費者物価指数発表(CPI)や、南ア準備銀行(SARB)・金融政策委員会(MPC)などのイベントがあることで、南ア国内情勢でランドも動意づくが、それまではウクライナ情勢次第となる。なお、今回のロシアによるウクライナ侵攻で、南ア国内で一番懸念されているのがエネルギー価格の上昇である。政府が毎週原油価格の基準値を発表しているが、今週はこれまで以上の上げ幅が予想されている。小麦価格も上昇していることもあり、すでにSARBの利上げがうわさされているが、通常とは違い金利高が通貨買いにはならないとことで、ランド相場は引き続き予測が難しくなる。

 

メキシコのGDP確報値が上方修正されリセッション入り回避

原油先物価格も足もとで荒い値動きとなっており、こちらも産油国通貨であるペソの波乱要因として意識しておく必要がある。なお、先週発表された10-12月期メキシコ国内総生産(GDP)確定値は前期比で横ばいとなり、速報値の0.1%減からはわずかに上方修正された。2期連続でのマイナス成長を回避したことで、定義上のリセッション(景気後退)入りも避けられた格好となったが、メキシコの回復が鈍いことには変わりなく、今週発表の2月メキシコ製造業PMIなどの結果も見極めたいところである。 

 

米インフレ率予測を引き上げ:ゴールドマン・サックス・グループ

ゴールドマンのエコノミストはリポートで、米金融当局が重視するインフレ指標の個人消費支出(PCE)価格指数上昇率が22年末までに3.7%に達すると予想した。従来見込んでいた3.1%から引き上げた。23年末までには2.4%に低下すると予想しているものの、従来想定の2.2%より高い。リポートは『22年の高いインフレ軌道は年内の残り7回の米連邦公開市場委員会(FOMC)全てでの利上げの十分な根拠となる。23年のインフレ見通しも高まったことから、来年には4回の0.25ポイント利上げを予想(従来予想は3回)、ターミナルレートも従来予想より若干高い2.75-3%を想定している』と説明した。ゴールドマンは今年末までにインフレがどの程度鎮静化するかは不確実だとし、『21年のインフレ急騰は新型コロナウイルス禍に起因する耐久消費財の需給不均衡が主因だったが、インフレ圧力はここ数カ月に範囲が広がるとともに強まった』と指摘した。

 

市場では3月FOMCでの50bpの利上げ観測が大幅後退

米FRBのパウエル議長は今週、半年に一度の金融政策を巡る議会証言を控えている。そんな中、市場での3月FOMCでの50ベーシスポイントの利上げ観測が後退しつつある。ロシアが予想に反しウクライナ軍事侵攻に踏み切った。ウクライナの予想以上の抵抗を受けプーチン大統領は核兵器の利用も除外しない態度を示したため欧米は対ロ金融制裁も実施した。今後の展開がより不透明となった。安全資産としての米国債にも投資資金が向かった。米金利先物市場では一時8割がた織り込まれていた3月FOMCでの50ベーシスポイントの利上げ観測も後退しつつある。一時7回近く織り込まれていた年内の利上げ確率も5回まで後退しつつある。しかし、エクスポージャーがほぼなくロシア、ウクライナ危機による米国経済への影響が最小限にとどまるとの見方に、FRB高官は高インフレの持続で、引き締めが必要との見方を変えていない。

 

米国市場では2月ISM製造業景況指数が公表:予想は58.0

1月実績は57.6に低下した。中間財の不足、製品輸送の困難、新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染拡大に関連した製造現場での人手不足などが低下の要因。2月については多少の改善は見込まれるものの、米国の経済成長が減速していることを示唆する数値になるとみられる。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月トルコ製造業PMI
○17:30   2月スイス製造業PMI(予想:64.0)
○17:50   2月仏製造業PMI改定値(予想:57.6)
○17:55   2月独製造業PMI改定値(予想:58.5)
○18:00   2月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:58.4)
○18:30   2月英製造業PMI改定値(予想:57.3)
○18:30   1月英消費者信用残高(予想:10億ポンド)
○18:30   1月英マネーサプライM4
○22:00   2月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.9%/前年比5.1%)
○22:30   12月カナダ国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%/前年比3.8%)
       10-12月期カナダGDP(予想:前期比6.5%)
○23:45   2月米製造業PMI改定値(予想:57.5)
○24:00   1月米建設支出(予想:前月比0.2%)
○24:00   2月米ISM製造業景気指数(予想:58.0)
○2日00:30   2月メキシコ製造業PMI
○2日03:30   サンダース英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○2日04:00   マン英MPC委員、講演
○2日04:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○2日04:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、あいさつ
○バイデン米大統領、一般教書演説
○先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議(オンライン)
○韓国(独立運動記念日)、インド(マハー・シヴァラートリー)、ブラジル(カーニバル)、休場

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