FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:ウクライナ情勢を巡って緊迫化が強まり売り優勢に

ウクライナ情勢の緊迫化や米金融引き締め加速への警戒感を背景とした前週末の米国株安が相場の重石になった。朝方に安く始まった後も下げ幅を広げ、日経平均は心理的節目である2万7000円を割り込んだ。午後になると、ウクライナ情勢を巡って、米国務省がウクライナの隣国であるベラルーシやモルドバにいる米国民に即時出国することを勧告したと伝わった。そのため、リスク回避の姿勢が強まり下落幅が広がった。結局、前営業日比214円安の2万6865円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:115.30-40円でもみ合う展開

ドル/円は、日経平均株価の続落や米長期金利低下を眺めたドル売り・円買いが先行し、115.30円付近へ軟化した。本日は五・十日にあたり、仲値前後には本邦輸入勢のドル売り・円買いも通常より多く観測された。ただ、前日にブラード・セントルイス連銀総裁からタカ派色の濃い内容の発言が伝わり、米FRBが金融引き締めを加速するとの見方が広がっているため、下値を追う動きは限られた。その後は、日米金融政策スタンスの違いを意識したドルの押し目買いも見られ、115.40円付近へ値を戻した。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、小幅に値を下げて115.30円を挟んでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは、緊迫化するウクライナ情勢の続報を見極めたいとの雰囲気から、1.13ドル台前半で小動きに終始した。

 

欧州市場では10-12月期ユーロ圏域内GDP改定値が公表:速報値は前年比+4.6%

参考となる速報値は前年比+4.6%で7-9月期の+3.9%を上回る成長率を記録しており、新型コロナウイルス感染拡大前の経済規模に戻した。ただ、ドイツの経済成長率は前期比ベースでマイナスとなっており、改定値で上方修正される可能性は低いことから、ユーロ圏全体の成長率は速報値とほぼ同水準となる見込み。

 

ラガルドECB総裁は純資産購入終了前の利上げを否定

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は14日、『純資産購入が終了する前に利上げは行われない』と述べ、『われわれの政策のいかなる調整も漸進的なものになるだろう』と発言した。ラガルド総裁はストラスブールの欧州議会で、『インフレ見通しは不確かで、以前の予想よりも高止まりが長引くものの、今年中に減速する可能性が高い』と語った。ユーロ圏の景気については、『今年1-3月(第1四半期)の成長は引き続き抑制されたものになる見通しだが、回復が継続している』との認識を示した。
ラガルド総裁はその上で、『中央銀行として何が可能で何ができないかに関し、われわれは率直になる必要がある。われわれの金融政策は、天然ガスでパイプラインを満たしたり、港に滞る貨物を一掃したり、より多くの大型トラック運転手を養成したりすることはできない』と指摘した。

 

トルコのエルドアン政権は外交手腕が問われる状況

西側諸国がロシアに対して厳しい対応をとると表明し続けているが、北大西洋条約機構(NATO)加盟国でありながらもトルコの対応は難しくなる。というのも、トルコ主要産業の1つ観光業にとってロシアは最優良顧客である。トルコ政府は今年の観光収入をパンデミック前の水準まで回復すると予想しており、やはりロシアに頼るところも大きい。ロシアとの関係を維持し、観光業界の期待を裏切らないためにも、エルドアン政権の外交手腕が問われる。

 

メキシコ中銀と日銀の金融政策の相違からペソは買われやすい

先週10日にはメキシコ銀行(中央銀行)が今年最初の金融政策決定会合を開催。ロドリゲス新総裁の下で初の会合となるだけに注目されたが、市場の予想通り0.50%の利上げが決定された(5.50%から6.00%へ)。0.50%の利上げ決定は4対1となり、ロドリゲス総裁も0.50%の利上げを支持した。声明でも『インフレ圧力が予想以上に大きく長く続いている』としており、今後も金融引き締め方針は維持される見込みである。一方、日銀は長期金利上昇を抑制するため、2018年7月以来となる指し値オペを実実施するなど緩和し英が改めて確認されたことで、利上げに動くメキシコとは金利差拡大を意識した円売りなどが進みやすい状況にある。

 

米当局が銀行・ヘッジファンドのブロック取引調査:WSJ紙

有力欧米紙であるウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、米連邦当局がウォール街のヘッジファンドや銀行によるブロックトレード(大口取引)業務をめぐり調査していると報じている。調査対象にはモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックス・グループが含まれるという。

ブロックトレードとは、株式の取引で、証券会社を通じて同一銘柄を一度に大量に相対取引で売却または購入する取引のこと。大口投資家が市場への影響を抑えるために利用することが多く、主に立会外取引で行われる。

 

金利上昇と政治情勢緊迫のなか債券市場から現金化の動きに

金利上昇と政治情勢緊迫の環境の中、クレジット投資家の間に『売れるものは売れ』というムードが広がっていることが、バンク・オブ・アメリカ(BofA)の調査で示された。また、ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストらは現金保有に切り替えるよう顧客に伝えている。BofAがまとめた最新の欧州投資家調査によれば、投資適格社債のオーバーウエートポジションはネットベースで全体の16%に低下し、2019年2月以来の低水準になった。銀行債への強気な持ち高が減り、手元現金の水準が上昇している。ゴールドマンは14日、社債を『アンダーウエート』にするよう呼び掛けた。同日には社債や株式が下落した。ロシアがウクライナ国境付近で軍備を増強していることを巡って緊張が高まる中、安全逃避の動きが強まった。利上げ観測や中央銀行の資産購入テーパリング(段階的縮小)を背景に、債券投資家は今年に入って既に損失に見舞われている。

 

欧米市場イベント

○16:00   1月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○16:00   10-12月英失業率(ILO方式、予想:4.1%)
○19:00   2月独ZEW景況感指数(予想:55.0)
○19:00   2月ユーロ圏ZEW景況感指数
○19:00   10-12月期ユーロ圏域内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.3%/前年比4.6%)
○19:00   12月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前なし/季節調整済47億ユーロの赤字)
○22:15   1月カナダ住宅着工件数(予想:24.50万件)
○22:30   1月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.5%/前年比9.1%)
      食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.5%/前年比7.9%)
○22:30   2月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:12.2)
○16日02:30   ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○16日06:00   12月対米証券投資動向
○独露首脳会談

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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