FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国株の大幅下落に連れて売りが優勢に

日経平均は、連休明け18日の米国株式市場では主要3指数とも大幅に下落した流れを引き継いだ。東京市場では半導体など高PER(株価収益率)銘柄を中心に利益確定売りが強まり、日経平均は心理的節目である2万8000円を下回った。原油価格の高騰に伴うコスト高が国内企業の業績を下押しするとの懸念も重荷となった。下げ幅は一時900円を超えた。結局、前営業日比790円安の2万7467円で終了した。信用取引で買った株式の含み損益の度合いを示す信用評価損率は14日申し込み時点でマイナス10.61%と、前の週のマイナス11.3%からマイナス幅が0.69ポイント縮小した。改善は2週ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:日本株の大幅安でリスク回避の円買い

ドル/円は、米長期金利上昇を眺めたドル買いが入り、114.70円付近まで値を上げた。仲値にかけて国内輸入企業のドル買い・円売りも通常より多く観測された。ただ、今晩の米国株動向を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な上値追いは手控えられた。その後は、利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、114.65円付近へ緩んだ。午後に入ると、日経平均株価の大幅安を手掛かりにドル売り・円買いが進み、114.20円付近へ下落した。ウクライナ情勢を巡り、米国とロシアの間で緊張が高まっていることもリスク回避の円買いにつながった。ユーロ/ドルは、1.13ドル台前半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ヘッジファンドと機関投資家の売りに対して自社株買いが支え:BofA

BofAセキュリティーズの18日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は10~14日の1週間に米国株を15億5800万ドル買い越した。2週連続の買い越しとなる。この週は14日にJPモルガン・チェースが決算を発表し、1株当たり利益(EPS)は市場予想を上回ったものの、コスト増が警戒されて大幅安となったことが響いていS&P500指数が週間で0.3%安となって2週連続で下げて終えた時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が11億6500万ドルの売り越しで、2週ぶりの売り越しになった。機関投資家は22億1000万どるの売り越しで、3週連続の売り越しだった。個人投資家は10億8900万ドルの買い越しで、2週連続の買い越しとなった。企業の自社株買いは38億4400万ドルで4週移動平均(30億3700万ドル)を上回って活況だった。

 

ヘッジファンドの21年のリターン10.4%:3年連続で指数に負ける

英市場調査会社のウィズ・インテリジェンスによると、2021年のヘッジファンドの運用リターンは10.4%だった。前年の13.0%を下回った。20年にリターンが2割を超えた株式の買いと売りを組み合わせる『ロング・ショート』戦略の成績が、21年は1割強にとどまったことが影響した。21年に最も伸びたのはM&A(合併・買収)など個別企業のイベントに注目して運用する『イベントドリブン』戦略で、運用成績はプラス15%だった。様々な戦略を組み合わせる『マルチストラテジー』戦略や、相対的な価格差を狙う『レラティブバリュー』戦略のリターンも2桁を確保した。米S&P500種株価指数の年間上昇率は26.9%だった。ヘッジファンド全体の運用成績が指数に負けたのは3年連続となる。ヘッジファンドは引き続き苦戦した。

 

エルドアン大統領は利下げの主張を後退:20日の政策会合では据え置きを示唆

トルコのエルドアン大統領は、金利は緩やかかつ段階的に下がると発言した。週後半にトルコ中央銀行が政策決定会合を控える中で、これまでの急速な利下げの主張を後退させた。国営アナドル通信によると、エルドアン氏は『為替レート、金利はゆっくりと段階的に、急がずに低下すと』アルバニア訪問からの帰路に記者団に語った。
トルコのネバティ財務相はブルームバーグとの先週のインタビューで、経済が1-3月(第1四半期)にどう展開するか様子を見たいとの意向を示していた。この路線に大統領の発言は一致する。トルコ中銀は昨年9月以降、政策金利を5ポイント引き下げ、金融緩和の効果を見極めるため3月末まで緩和を停止する方針を示している。次回の政策会合は20日に開かれる予定で、大統領の発言は政策据え置きを示唆している。

 

南アの12月CPIと11月小売売上高に注目:利上げ期待の行方

南アの12月消費者物価指数(CPI)と11月小売売上高が発表される。両指標ともに重要だが、特にCPIの結果には市場の反応が大きくなるかもしれない。CPIは5.7%程度まで上昇するとの市場予想になっている。もし、予想通りの結果となった場合は、南ア準備銀行(SARB)の目標バンド上限の6%にかなり近づき、目標中心値4.5%を大幅に上回ることになる。南ア国内のエネルギー価格が上昇しているが、昨日も原油市場が2014年10月以来の水準まで上がるなど、大幅高になっている。今後もインフレ高進のリスクもある。また、国営電力会社エスコムが4月から約20%と、大幅に電力料金を値上げしようとしていることも懸念される。12月のCPIが予想通り、もしくは予想を上回ることがあれば、来週のSARB・金融政策委員会(MPC)での利上げ期待がかなり高まる可能性がある。

 

米主要500社の決算は4半期連続増益見通し

米主要500社の2021年10~12月期決算は4四半期連続で増益となりそうである。米調査会社ファクトセットは18日、米S&P500種株価指数を構成する銘柄の増益率が前年同期比で25%を超えるとの見通しを示した。増益率は4割近かった21年7~9月期から鈍化するものの、4半期続けて増益となる見込みである。ファクトセットがまとめた市場予想では米主要500社の増益率は現時点で21%超になる見込しである。しかし、過去5年間で実際の増益率は市場予想を8.6%程度を上回る結果となっていた状況を踏まえ、調査担当者は30%近い増益率になる可能性もあるとみている。

 

米3月のFOMCで50bpの利上げ観測も浮上

著名投資家でヘッジファンド運営会社パーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントを率いるビル・アックマン氏は、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレを抑制するために今年、25bpの利上げを3回から4回行うだろうとの見通しを示した。さらに、FRBがインフレファイターとしての信頼を取り戻すために3月の利上げ開始時に50bp引き上げ市場にショックを与える可能性があると指摘した。同氏の考えでは、FRBがいくらか信頼を失ったことがインフレ期待に影響を与えているとの見方で、50bpの利上げにより、インフレ期待を抑制することが可能になると説明した。ドイツ銀のエコノミストも顧客向けレポートの中でFRBの金融政策がかなり立ち遅れていたため、ここにきて想定以上に早期で、早いペースでの引き締めが必要になるとの考えを示した。3月に利上げを開始し、バランスシート縮小を早期に発表。第2四半期にも開始する可能性を指摘した。1990年半ばの引き締めサイクルのような50bp の利上げの可能性は予想しないが、除外はしないと指摘。大幅な利上げには、インフレの進展が抑制されている明確な証拠が必要になると説明した。一方、ここにきて、消費者信頼感を始め、回復鈍化の兆しも見られる。30年物の住宅ローン金利も前年に比べて75ベーシスポイント上昇しており、今まで経済の回復をけん引してきた住宅市場の伸びを抑制する可能性もある。FRBが回復をさらに損なうことなく、インフレを抑制できるかどうかが今後の焦点となる。

 

欧米市場イベント

○16:00   12月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%/前年比5.2%)
○16:00      CPIコア指数(予想:前年比3.9%)
          小売物価指数(RPI、予想:前月比0.7%/前年比7.1%)
○16:00   12月独CPI改定値(予想:前月比0.5%/前年比5.3%)
○17:00   12月南アフリカCPI(予想:前月比0.4%/前年比5.7%)
○18:00   11月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○19:00   11月ユーロ圏建設支出
○20:00   11月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比1.9%)
○21:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:30   11月カナダ卸売売上高(予想:前月比2.7%)
○22:30   12月カナダCPI(予想:前月比▲0.1%/前年比4.8%)
○22:30   12月米住宅着工件数(予想:165.0万件、前月比▲1.7%)
          建設許可件数(予想:170.1万件、前月比▲1.0%)
○20日02:00   ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○20日03:00   米財務省、20年債入札

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