FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米国の金融引き締め加速への警戒感が嫌気

米国での金融引き締め加速への警戒感が引き続き嫌気されたほか、国内での新型コロナウイルスの感染拡大も重石になった。米長期金利が上昇したことで、日本株はハイテク株などのグロース株を中心に利益確定売りが先行した。下げ幅は一時400円に迫る場面もあった。結局、前週末比256円安の2万8222円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:リスク回避の円買いもあり115.20円前後でもみ合い

ドル/円は、米連邦準備制度理事会(FRB)が早ければ3月にも利上げに踏み切るとの観測が先行、115.38円付近まで上昇した。東京市場は3連休明けで、仲値にかけて本邦輸入勢のドル買い・円売りも通常より多く観測された。しかし、前日のNY市場でつけた高値115.46円付近に接近すると上げは一服した。その後は、日経平均株価の続落でリスク許容度が低下していることから、ドル売り・円買いも見られ、115.35円付近でもみ合い相場となった。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、小幅に値を下げて115.20円付近でもみ合う展開になった。今晩のNY市場での株価動向やパウエルFRB議長の公聴会での証言を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、1.1340ドル前後でこう着相場となった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米MMFの資産残高が過去高水準を維持:ドル高基調をサポート

米国の投資信託協会(ICI)によると、米国の証券市場内で現預金に近い短期流動性資産のMMF(マネー・マーケット・ファンド)は、資産残高が最新1月5日週も4兆7026億ドルと過去最高水準が維持された。コロナ危機前である2019年12月末の3兆6044億ドルからは、+1.1兆ドル、+30.5%の大幅増で高止まりが続いたままである。内訳には海外マネーも直接的・間接的に含まれており、ドル/円を含めたドル高基調をサポートする一因になっている。

 

ドル買い比率は上昇するもポンドやユーロ買い比率は低下

QUICKが11日に算出した7日時点のFX5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドルの買い比率は54.1%と前の週末から6.9ポイント上昇した。円相場は前週前半に5年ぶりの円安・ドル高水準まで下落したが、その後は利益確定や株安を背景とした円買い・ドル売りが増えた。円買いが強まった場合で、個人投資家は相場の流れに逆らう『逆張り』の円売り・ドル買いに動いたとみられる。『英ポンド・円』取引でのポンド買い比率は、前の週末から5.8ポイント低い35.2%と2021年10月中旬以来、約3ヵ月ぶりの低水準だった。『ユーロ・円』取引のユーロ買い比率は1.6ポイント低い22.9%と21年10月下旬以来、2ヵ月半ぶりの低水準だった。

 

中国恒大集団の債権者会議の投票期間を13日まで延長

巨額債務を抱えた中国の不動産開発大手、中国恒大集団は、債権者会議の投票期間を13日まで延長すると発表した。中国恒大集団は5日、一部の人民元債保有者の会議を今月7-10日にオンライン形式で開き、繰り上げ償還の期日を1月8日から7月8日に延期する案などについて投票を行うと発表している。

 

トルコリラ安を止める決定的な策はなし

エルドアン大統領が自信を持って導入した為替リンクの個人用リラ建て定期預金だが、先週までで900億リラ以上が集まったとされている。しかしながら、外貨建てを含めた国内の総預金額(12月時点で4兆8700億リラ)の2%にも届いていない。リラ相場の下支えとはなっておらず、政府内からも効果に疑問の声が上がっている。今後は追加対策の必要性が更に高まってくることが予想され、先週一部で話がでた物価連動国債の関連報道には注意が必要である。トルコ中銀の外貨準備高不足は深刻であり、それを市場に見透かされているため、外貨売り介入の効果も限定的である。頼みの綱である他国との通貨スワップ協定についても、今年に入って何も伝わってきておらず、協議の難航が想像される。

 

南アランドは中旬以降に動意づく可能性も

ランド/円の年末年始は、市場流動性が低いこともあり、想定以上に大きく動くことが例年続いている。ただ、今年はある程度落ち着いた動きにはなっているものの、動意づくときは南アのニュースなどが直接的な要因ではなく、流動性の問題から上下に振らされる動きがみられている。今週は主だった経済指標の発表は少ないが、19日に11月消費者物価指数(CPI)、27日に南ア準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)などの重要イベントが今月中旬から後半に向けて控えている。イベントに向けた思惑相場になりやすい。なお、先週に入りドイツが南アの渡航制限を解除、豪州からも21カ月ぶりに直行便が就航するなど、徐々にオミクロン株確認後の国境封鎖が解かれてきている。中長期的には、正常化の動きはランドにはポジティブな要因となる。

 

メキシコで再び新型コロナウイルスの感染拡大

メキシコで新型コロナウイルスの感染が再び広がってきた。メキシコ保健省によると、8日の1日当たりの新規感染者数は3万671人と過去最多を更新した。累計の感染者数は400万人を超え、死亡者数も30万人に達する。変異型『オミクロン型』の拡大で検査体制は逼迫しつつある。これまで1日当たりの感染者数は2021年8月18日の2万8953人が最多だった。米ジョンズ・ホプキンズ大学によると、8日の新規感染者数は7日移動平均で約1万7800人と1カ月前の約9倍に膨らんでいる。メキシコでは検査体制の不備が浮き彫りになっている。メキシコシティでは7日に1日の検査回数が約2万3000回と1週間前に比べて3倍超に拡大した。街中の薬局では検査を待つ長蛇の列ができ、数時間待たないと受けられない場合もある。

 

11日米FRB議長再任の指名承認公聴会を予定

米上院銀行委員会は11日、米連邦準備制度理事会(FRB)議長再任の指名承認公聴会が予定されており、金利先高観が優勢となっている。超党派議員はFRBがインフレ対応で立ち遅れているとの見方を強めており、パウエル議長は、インフレ対応を巡り圧力にさらされる可能性が高い。労働市場の速やかな回復や高インフレで、FRBは12月連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、前回の引き締め時よりもペースを速める可能性を示唆した。速やかな金融正常化が予想されている。

 

今年4回の利上げを予測:ゴールドマン・サックス・グループ

ゴールドマンのチーフエコノミスト、ジャン・ハッチウス氏は調査リポートで、米労働市場の急速な改善と、昨年12月14、15日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨のタカ派的シグナルは、正常化の加速を示唆するとの見解を示した。ハッチウス氏は『そのため、われわれはランオフ(償還に伴う保有資産の減少)の予想される開始時期を12月から7月に前倒しする。リスクは一段と早まる方に傾いている。インフレ率は恐らくその時点でなお目標をはるかに上回ると予想され、ランオフ開始が0.25ポイントの利上げの代わりになるとは、もはや考えていない』と説明した。同氏はその上で、『われわれは3月と6月、9月の利上げを引き続き予想しているが、今や12月の利上げがそれに加わった』と説明した。

 

欧米市場イベント

○16:00   11月トルコ経常収支(予想:26.75億ドルの赤字)
○21:00   12月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比9.97%)
○21:00   11月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.5%)
○22:00   カザークス・ラトビア中銀総裁、講演
○23:12   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○23:30   ジョージ米カンザスシティ連銀総裁、講演
○24:00   米上院銀行委員会でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の再任指名公聴会
○12日03:00   米財務省、3年債入札

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