FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:米FOMC通過でショートカバーによる買い戻し優勢

米連邦公開市場委員会(FOMC)を通過し、買い安心感が広がりショートカバーが一斉に入ったが、午後は動きが一巡した。市場では、日本株はイベント前に押さえつけられていただけに株高の反応になった。来年の利上げ3回の示唆は若干タカ派的となったが、インフレ対応として適切と捉えられたとの見方になったとの声が聞かれた。結局、前営業日比606円高の2万9066円と続伸して終了した。12月第2週(6日~10日)の海外投資家は2733億円の売り越しとなり、売り越しは5週連続となった。個人投資家は976億円の売り越しとなり、売り越しは4週ぶりとなった。信託銀行は2540億円の買い越しとなり買い越しは8週連続となった。

 

東京外国為替市場:約3週間ぶりの114円台乗せ

ドル/円は、米FOMCでテーパリングの加速や利上げ時期の前倒しが決定されたため、日米金融政策スタンスの違いを意識したドル買いが先行し、114.25円付近まで上昇した。仲値に向けて本邦輸入勢のドル買い・円売りも通常より多く観測された。ただ、東京市場では約3週間ぶりに114円台へ乗せたことで、利益確定などのドル売り・円買いに114.10円近辺まで押し戻された。午後は、日経平均株価や米長期金利を睨みながら、114.10円を挟んでもみ合いとなった。NY時間に発表される米経済指標や米国株価動向を見極めたいとのムードが広がった。ユーロ/ドルは、今晩に予定されているECB理事会を控えて様子見を決め込む市場参加者が多く、1.1285ドル前後でこう着した。

 

世界の公的部門と民間部門が抱える債務が急拡大:国際通貨基金

国際通貨基金(IMF)は15日、世界の公的部門と民間部門が抱える債務が2020年に急拡大し、計226兆ドル(約2京6千兆円)に達したとする試算を発表した。新型コロナウイルス禍の影響で、過去最大を更新した。世界の国内総生産(GDP)に対する債務残高は約2.6倍に拡大した。20年は28ポイントも増加し、第2次大戦後の年間の伸び率としては最大を記録した。IMFは『各国は多額の負債と物価高に直面しており、適切なバランスをとった政策が必要だ』と訴えた。

 

世茂集団の危機:中国不動産セクターへの懸念が再燃

発端となったのは、上海で同社のマンションを購入した人が、すでに物件に抵当権が設定されていたため所有権の移転ができなかったという週末の報道だった。バランスシートの規模では中国恒大集団の3分の1にも満たず、売上高で中国不動産開発会社のトップ10に入らない世茂集団が突然注視されている。多くの投資家にとって、世茂は今や中国不動産セクター最大の懸念事項である。同社のドル建て債は15日も値下がりとなった。香港上場株は前日比2.5%安で引け、4営業日続落となった。懸念すべきは、世茂の支払い遅延で起き得る中国不動産セクター自体のリスク再検証である。格付けが比較的高い不動産開発会社の資金調達コストを押し上げる可能性があるほか、中国恒大の危機を受けて安全と見なされている開発会社に殺到している住宅購入者にも動揺が及ぶ。

 

欧州市場では欧州中央銀行(ECB)理事会:予想は金融政策の現状維持

ラガルドECB総裁は12月3日、12月16日開催の理事会では不確実性があまりにも高いため、比較的短期の政策を設定する可能性があると述べた。ただ、決定の先延ばしはすべきでないとの認識を示している。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)は2022年3月で終了するが、インフレがいずれ落ち着くとのECBの見解は維持冴えれる見込みである。

 

トルコ中銀の利下げ幅と声明文の内容が注目

本日のリラ/円はトルコ中銀MPCが決定するであろう4会合連続の利下げの幅と、来年以降の金融政策に関する声明文の内容が注目となる。政策金利の引き下げ幅は、市場予想の中心値は1%である(主要政策金利1週間レポレートが現行15%から14%に)。見込み通りとなれば、インフレ高進にもかかわらず9月会合以降で5%も金利を引き下げたことになる。また、一部の大手英銀は引き下げ幅を2%と予想している。サプライズ好きなトルコ中銀なので、予想以上の緩和強化の可能性も頭に入れておいたほうが良いかもしれない。来年以降の政策についてカブジュオール中銀総裁は先日、金融緩和の休止を示唆した。本日の中銀声明で総裁と同様の見解が示されれば、ひょっとしたらリラの底打ち感がでるかもしれない。しかしながら、声明内容が政策の先行きについて曖昧な表現にとどまった場合、一部でくすぶっている『1月も追加利下げ』への思惑が高まる。

エルドアン大統領が2名の財務副大臣を更迭した、と報じられた。

 

南アフリカは本日祝日:ランド/円も底堅い展開を予想

本日南アフリカは『和解の日』で祝日のため、通常よりも市場参加者が少ないなかでランド相場の動きも限定される。ただし、年末の金融市場で最も注目されていたFOMCを通過し、昨日のリスク選好地合いが引き継がれるようであれば、ランド/円も7円前半で底堅い展開が予想される。ただ、南アでインフレ加速が想定以上だったことは、同国経済にとって決してプラスとはならず、ランドの重しとなってしまうかもしれない。昨日発表された11月消費者物価指数(CPI)は前年比+5.5%と市場予想+5.4%から上振れ、また同月卸売物価指数(PPI)は前年比+9.6%と約10年ぶりの水準を記録した。次回の南アフリカ準備銀行(SARB、中央銀行)会合は1月下旬まで待たねばならず、その前に金融当局から、インフレ期待の高まりをけん制するため政策について何等かのシグナルが出される可能性もある。また今後、政府がどのような物価対策を取るのかが注目される。

 

負債に苦しむぺメックスを政府は今後も支援

巨額の負債に苦しむぺメックスは政府から定期的な財政支援および税制優遇措置を受けており、共有利益税もその一つである。ぺメックスに対する共有利益税の税率は2019年が65%、2020年が58%、今年が54%と段階的に引き下げられており、来年には40%までさらに引き下げが進むことが決まっている。10年以上も石油生産の落ち込みが続き、かつ1130億ドルもの債務を抱えているぺメックスにとって、政府からの継続的な支援は生命線である。格付け会社などはこうしたメキシコ政府の方針に以前から否定的な見解を示しているが、大統領は意に介していない模様である。今週の会見でも『我々は新自由主義政策に従うことはない』『ぺメックスは政府によって保護・支援を受けており、他の会社と同じように扱うことはない』と述べている。

 

米FRBはFOMCでタカ派色強める:予想通りの内容でリスク選好

米連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り政策金利(フェデラルファンドFF金利の誘導目標)を0.00-0.25%に据え置くことを決定した。さらに、ひと月の資産購入縮小規模を従来の150億ドルから300億ドルに拡大した。テーパーぺースを加速させる。1月の買い入れは国債、400億ドル、住宅ローン担保証券は200億ドルとする。また、スタッフ予測では、2022年3回、2023年3回の利上げを予想していることも明らかになり、タカ派色を強めた。 結果は市場エコノミストのほぼ予想通りとなり、米国株式相場もポジティブにとらえられた。

 

欧米市場イベント

○16:45   12月仏企業景況感指数(予想:113)
○17:15   12月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:55.5)
○17:15   12月仏サービス部門PMI速報値(予想:56.0)
○17:30   12月独製造業PMI速報値(予想:56.8)
○17:30   12月独サービス部門PMI速報値(予想:51.0)
○17:30   スイス国立銀行(中央銀行)、政策金利発表(予想:▲0.75%で据え置き)
○18:00   12月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:57.8)
○18:00   12月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:54.1)
○18:00   ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:0.50%に引き上げ)
○18:30   12月英製造業PMI速報値(予想:57.6)
○18:30   12月英サービス部門PMI速報値(予想:57.0)
○19:00   10月ユーロ圏貿易収支(予想:季節調整前76億ユーロの黒字/季節調整済58億ユーロの黒字)
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:14.00%に引き下げ) 

○21:00   英中銀金融政策委員会(MPC)2日目、終了後政策金利発表(予想:0.10 で据え置き、資産買取プログラムは8950億ポンドで据え置き)
○21:00   英中銀MPC議事要旨
○21:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○22:30   ラガルドECB総裁、定例記者会見
○22:30   10月カナダ卸売売上高(予想:前月比1.4%)
○22:30   11月米住宅着工件数(予想:156.7万件、前月比3.1%)
          建設許可件数(予想:166.3万件、前月比0.6%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:20.0万件/193.6万人)
○22:30   12月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:30.0)
○23:15   11月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.7%)
          設備稼働率(予想:76.8%)
○23:45   12月米製造業PMI速報値(予想:58.5)
○23:45   12月米サービス部門PMI速報値(予想:58.5)
○23:45   12月米総合PMI速報値
○17日04:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:5.25%に引き上げ)
○南アフリカ(和解の日)、休場
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル)

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