FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:ソフトバンクGの下げが重石

寄り付は小高く始まったものの一転、ソフトバンクグループの下げが重石となり、一時300円超安となった。新型コロナウイルスの変異株『オミクロン株』を巡る警戒感も根強かった。前引けにかけては、NYダウ先物の概ね堅調に推移する中、下げ渋る展開になった。結局、前営業日比102円安の2万927円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利が上昇で113.00円前後のもみ合い

ドル/円は、日経平均株価の下落幅拡大がリスク回避の円買いを誘い、112.85円付近へ下落した。しかし、低下していた米長期金利が持ち直したこともあり、下値を追う動きは限られた。その後は、仲値に向けた国内輸入企業などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれると、113.10円付近へ値を上げた。ただ、米国で新型コロナウイルス変異株(オミクロン株)の感染が相次いで確認されているためドル買いは続かず、小幅に値を下げて113.00円前後でもみ合いとなった。午後に入っても、113.00円近辺で方向感に乏しい値動きが続いた。11月米雇用統計のイベントを終了したこともあり、様子見を決め込む市場参加者も多かった。ユーロ/ドルは、1.12ドル台後半で小幅な値動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

9月上旬以来ドル買い比率が高水準に

QUICKが6日算出した3日時点の店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計(週間)の建玉状況によると、円に対するドル買い比率は前の週末から4.4ポイント上昇の66.3%だった。9月上旬以来の高水準になった。新型コロナウイルスの変異型『オミクロン型』の感染拡大を受けて円買い・ドル売りが強まる中で、相場の流れに逆らう『逆張り』の個人は円売り・ドル買いに持ち高を傾けたとみられる。他の通貨ペアでも円売り・外貨買いが目立った。円に対するユーロ買い比率は2.1ポイント上昇の40.7%だった。円に対するオーストラリアドル買い比率も3.3ポイント上昇の78.5%だった。

 

中国恒大集団が債務不履行の可能性を示唆

中国の不動産大手である恒大集団は、『資金の流動性の悪化のため財務上の責任を履行できるかは不確定』するなど、2億6000万ドルの債務返済の履行ができない可能性があることを示唆する発表を行った。それを受け、地元政府が対応に乗り出した。

巨額の債務を抱えて経営難に陥っている中国恒大集団が広東省政府や中国人民銀行など政府の全面的な監督・指導のもとで、外貨建て債務の再編を目指すことになった、と報じている。中国政府は金融システム不安への波及や市場の動揺、取引先の連鎖破綻などを回避すべく、軟着陸(ソフトランディング)を探るという。ただ債権者平等の原則を重視する海外債権者との交渉は難航が予想される。

 

トルコ中銀の介入効果を疑問視する見方広がる

インフレ加速にもかかわらずのトルコのエルドアン大統領は低金利政策を推進し、通貨安についても大統領は『輸出を促進する』などと強気である。2023年の選挙に向けた大統領の賭けは金融市場から不評を買うばかりであり、信用リスクを示すトルコ5年物国債CDSは13カ月ぶりの水準まで上昇した。投資家のトルコ離れは顕著であり、リラ需要は高まりそうにない。さて、トルコ中銀は先週、外貨売りの為替介入を市場で直接実施した。1度目はサプライズも大きくリラ/円も8円前半から9円台乗せまで急騰したが、週末に行った2度目では20銭程度の上げに留まった。中銀の外貨準備高不足を市場に見透かされており、介入効果を疑問視する見方は広まっている。今後は、他中銀と通貨スワップ協定の締結ができるかが大きなポイントとなる 。

 

南アではネガティブな要素が満載でランドの重石:売り場探しの可能性も

南ア国内でも新型コロナウイルス・オミクロン株の感染が急速に拡大していることが重石になりそうである。また、オミクロン株の感染により、世界各国から南アへの渡航禁止が発令されている。南ア保健相は『差別的な渡航禁止措置』と訴えているが、改善される見込みはなく、経済的な損失は甚大になる。更には、南ア国内では引き続き電力負荷制限の規模は大きく、鉄鋼組合によるストライキや与党アフリカ民族会議(ANC)の支持率低下など、ネガティブな要素が満載である。また、先週発表された7-9月の失業率は、2008年の統計開始以来、過去最高となる34.9%まで悪化した。拡大失業率は前期の44.4%から46.6%まで増加し、若年層(15-24歳)失業率も63.3%から66.5%となり、過去最高を記録している。ポジティブなニュースを探すのが難しく、当面、ランド/円は売り場探しになる可能性が高いと思われる。

 

メキシコ中銀では女性で初めての総裁:大統領による中銀介入懸念も

議会にてロドリゲス財務公債省次官が女性で初めて次期中銀総裁に賛成78票、反対21票、棄権10票で承認された。ロドリゲス氏は公聴会で『私は金融政策において必要な経験を満たしていると信じている』と発言し、周囲からの経験不足の声を一蹴する自信ある姿を見せた。とはいえ、市場が予想していたエレラ前財務公債相に比べて力量不足感が否めないのは確かなわけで、中銀の先行き懸念が残るほか、ロペスオブラドール大統領の中銀介入に対する疑念も浮上している。

 

来年の米成長見通しを引き下げ:米ゴールドマン・サックス

米ゴールドマン・サックスは4日、2022年の米経済成長率見通しを従来の4.2%から3.8%に引き下げた。新型コロナウイルスの新たなオミクロン変異株の発生に伴うリスクと不確実性を理由に挙げた。今年第4・四半期の成長見通しも従来の3.3%から2.9%に下げた。

 

欧米市場イベント

○16:00   10月独製造業新規受注(予想:前月比▲0.3%/前年同月比5.5%)
○18:30   11月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:54.2)
○20:30   ブロードベント英中銀(BOE)副総裁、講演
○ユーロ圏財務相会合

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

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